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なぜ光熱費に差が出るのか?

Q. なぜ住宅によって光熱費に差が出るのか?

A. 断熱・気密・窓・換気・設備・太陽光・暮らし方によって、必要なエネルギー量が変わるからです

同じ30坪程度の家でも、

  • 電気代が月1万円台の家
  • 月2万円を超える家
  • 冬は月3万円以上かかる家

があります。

この差は、単純に「節電しているか」だけで決まるものではありません。

大きく関係するのは、次の8項目です。

  • 断熱性能
  • 気密性能
  • 窓の性能と大きさ
  • 日射の取り入れ方・遮り方
  • 換気方式
  • 冷暖房・給湯設備
  • 太陽光発電
  • 家族の暮らし方

高性能な家は、少ないエネルギーで快適な室温を維持しやすくなります。

反対に、断熱や気密性能が低い家では、暖めても熱が逃げ、冷やしても外の熱が入るため、冷暖房機器が多くの電気を使います。

ただし、UA値が良いだけで光熱費が必ず安くなるわけではありません。

光熱費は、家の性能と設備、暮らし方を組み合わせて判断する必要があります。

1. 断熱性能によって逃げる熱が違う

冬にエアコンで室温を22℃まで暖めても、断熱性能が低い家では、屋根、壁、床、窓から熱が外へ逃げます。

室温を保つため、エアコンは何度も強く運転します。

夏は反対です。

外の熱が室内へ入りやすければ、冷房しても室温が上がり、エアコンの運転時間が長くなります。

断熱性能が高い家は、魔法瓶のように熱を完全に閉じ込めるわけではありませんが、外気の影響を受けにくくなります。

環境省の住宅脱炭素NAVIでは、東京23区・延床120㎡のモデル住宅について、年間の暖冷房光熱費を次のように試算しています。

断熱性能 年間の暖冷房光熱費
断熱等級3 12万7,330円
断熱等級4 8万7,652円
断熱等級5 6万1,305円
断熱等級6 5万5,093円

等級3と等級6では、年間約7万2,000円の差です。

35年間続くと単純計算で約253万円になります。

これは東京の一定条件によるシミュレーションです。山梨県の気候、間取り、家族人数、設定温度、電気料金などによって実際の金額は変わります。環境省「住宅脱炭素NAVI・光熱費の削減」

大切なのは、建築時の価格差だけでなく、毎年発生する光熱費差まで考えることです。

2. UA値だけでは光熱費は分からない

UA値は、家の外皮からどれだけ熱が逃げやすいかを示す設計上の数値です。

一般的には、UA値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。

しかし、UA値だけでは実際の光熱費は決まりません。

同じUA値0.46でも、次の条件によって結果が変わります。

  • 建物の隙間
  • 窓の方位
  • 窓の大きさ
  • 夏の日射遮蔽
  • 冬の日射取得
  • 換気方式
  • エアコン効率
  • 給湯方式
  • 床面積
  • 家族人数
  • 設定温度

UA値は必要な数字ですが、光熱費を決める要素の一つです。

「UA値0.46だから電気代が必ず月1万円になる」という説明はできません。

3. C値によって隙間から逃げる空気が変わる

断熱材を厚くしても、建物に隙間が多ければ、暖めた空気や冷やした空気が外へ逃げやすくなります。

この隙間の程度を示すのがC値です。

C値は、建物全体の隙間面積を延床面積で割った数値で、小さいほど隙間が少ないことを示します。

問題は、C値が設計図だけでは分からないことです。

気密性能は、

  • 断熱材の施工
  • 配管周辺の処理
  • コンセント周辺
  • 窓の取付け
  • 床と壁の取合い
  • 天井や屋根の取合い

など、現場の施工品質に左右されます。

そのため、完成した建物で気密測定を行わなければ、本当のC値は分かりません。

デザインハウス甲府では、全棟で気密測定を行い、C値0.7以下を基準としています。

「高気密住宅です」という言葉ではなく、建てた一棟ごとの測定結果を確認してください。

4. 窓の性能と面積で変わる

住宅の中で、熱が出入りしやすい場所が窓です。

環境省によると、住宅では窓などの開口部からの熱の出入りが5~7割になる場合があるとされています。環境省「電気も省エネ・断熱住宅」

窓の性能は、次の要素で変わります。

  • アルミサッシ
  • アルミ樹脂複合サッシ
  • 樹脂サッシ
  • ペアガラス
  • トリプルガラス
  • Low-Eガラス
  • アルゴンガス
  • スペーサー
  • 窓の大きさ
  • 開き方

高性能な窓を採用しても、必要以上に大きな窓を大量に付ければ、熱の出入りは増える可能性があります。

「大きな窓は高級」という思い込みで決めてはいけません。

必要な場所へ、必要な大きさと性能の窓を配置することが大切です。

5. 日射設計で夏と冬の光熱費が変わる

窓は熱が逃げる場所であると同時に、太陽の熱を取り入れる場所でもあります。

冬は南側の窓から日射を取り入れることで、自然の熱を暖房として利用できます。

夏は、強い日射を室内へ入れると、冷房負荷が増えます。

そのため、

  • 軒
  • 庇
  • 外付けシェード
  • すだれ
  • 樹木
  • Low-Eガラス
  • 窓の方位

などで日射を調整します。

西側の大きな窓は、夏の午後に強い日射が入りやすくなります。

デザインだけで窓を配置すると、断熱等級が高くても夏の冷房費が増える可能性があります。

UA値だけでなく、方位ごとの窓と日射遮蔽まで設計する必要があります。

6. 換気方式によって失う熱が変わる

住宅では、24時間換気によって室内の空気を外へ排出し、新鮮な空気を取り入れます。

しかし、冬に暖めた空気をそのまま排出し、外の冷たい空気をそのまま取り入れれば、暖房負荷が増えます。

熱交換型の第一種換気では、排気する空気の熱を回収し、取り入れる外気へ移すことができます。

確認したいのは、次の項目です。

  • 第一種換気か第三種換気か
  • 熱交換型か
  • 熱回収率
  • 換気設備の消費電力
  • フィルターの清掃状態
  • 給気口と排気口の位置
  • 将来の交換費用

デザインハウス甲府では、熱回収率92%の第一種熱交換換気を標準としています。

ただし、熱交換率が高くても、フィルターが詰まっていたり、建物の気密性能が低かったりすれば、計画どおりに換気できない可能性があります。

断熱、気密、換気は別々ではなく、組み合わせて考えてください。

7. 家の大きさで光熱費が変わる

同じ断熱等級6の家でも、24坪の家と40坪の家では、冷暖房する空間の量が違います。

床面積が大きくなれば、

  • 外壁面積
  • 屋根面積
  • 窓の数
  • 部屋数
  • 空調する体積

も増えやすくなります。

必要以上に大きな家は、建築費だけでなく光熱費も増やします。

使用しない客間、広過ぎる廊下、将来使わなくなる子ども部屋も、冷暖房や維持管理の対象になります。

光熱費を抑える最も確実な方法の一つは、住宅性能を高めながら、使わない床面積を減らすことです。

8. エアコンの性能と使い方で変わる

エアコンは、機種、容量、設置場所、使い方によって消費電力が変わります。

  • 住宅に対して容量が大き過ぎる
  • 小さ過ぎて常に最大運転する
  • 古い機種を使っている
  • フィルターが汚れている
  • 室外機の周囲が塞がれている
  • 設定温度が極端
  • 頻繁に電源を切る
  • 空気が循環しにくい場所にある

などによって、効率が落ちる場合があります。

高性能住宅なら、必ずエアコン1台で全館冷暖房できるとは限りません。

必要な能力は、地域、床面積、間取り、窓、日射、家族の暮らし方によって変わります。

経験だけで機種を決めず、冷暖房負荷に合った容量を選ぶことが重要です。

9. 給湯が光熱費へ大きく影響する

家庭で使うエネルギーは、冷暖房だけではありません。

浴室、シャワー、洗面、キッチンで使うお湯も光熱費に影響します。

給湯費が増える主な原因は、

  • 家族人数が多い
  • シャワー時間が長い
  • 追いだきが多い
  • 浴槽のお湯を毎日入れ替える
  • 配管が長い
  • 給湯器の効率が低い
  • エコキュートの沸き上げ設定が合っていない
  • 昼間の高い電力で沸かしている

などです。

オール電化住宅では、エコキュートの設定も重要です。

太陽光発電がある場合は、生活や契約プランに合わせて、昼間の余剰電力で沸き上げる方法も検討できます。

光熱費を見るときは、冷暖房費と給湯費を分けて考えてください。

10. 太陽光発電で購入電力量が変わる

太陽光発電があれば、昼間に発電した電気を自宅で使用できます。

その分、電力会社から購入する電力量を減らせます。

重要なのは、売電額だけではありません。

  • 発電量
  • 自家消費量
  • 電力会社からの購入量
  • 売電量
  • 自家消費率

を分けて確認することです。

同じ8kWの太陽光発電でも、

  • 屋根の向き
  • 勾配
  • 周辺建物の影
  • 季節
  • 天候
  • 家族が昼間在宅しているか
  • エコキュートの運転時間
  • 電気自動車の充電

によって経済効果が変わります。

売電収入を住宅ローン返済へ入れ過ぎるのは危険です。

太陽光発電は、電気を売る設備というより、将来高くなる可能性がある電気を買わないための設備として考えた方が安全です。

11. 家族人数と生活習慣で変わる

同じ家に住んでも、家族によって光熱費は違います。

  • 2人家族か5人家族か
  • 在宅時間
  • 共働きか在宅勤務か
  • 設定温度
  • 入浴回数
  • シャワー時間
  • 洗濯乾燥機の使用
  • 食器洗い乾燥機の使用
  • IH調理時間
  • 電気自動車の充電
  • ペットのための24時間空調

などが影響します。

そのため、SNSで「この家は電気代1万円でした」という投稿を見ても、そのまま自分の家へ当てはめることはできません。

比較するときは、少なくとも次の条件をそろえてください。

  • 地域
  • 床面積
  • 家族人数
  • オール電化か
  • 太陽光発電容量
  • 売電を含むか
  • 電気自動車の有無
  • 年間使用量
  • 電気料金プラン
  • 室温

請求金額だけでは、住宅性能は比較できません。

12. 電気料金プランによっても変わる

同じ使用電力量でも、契約する電力会社や料金プランによって請求額が変わります。

  • 基本料金
  • 使用量単価
  • 時間帯別単価
  • 燃料費調整
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金
  • オール電化プラン
  • 市場連動型プラン

が異なるからです。

「電気代が高い=家の性能が低い」とは限りません。

まず、請求金額ではなく使用電力量で確認します。

例えば同じ月2万円でも、電気単価が上がった結果なのか、使用量が増えたのかで原因が違います。

光熱費を検証するときは、次の数字を見てください。

  • 月間使用電力量
  • 太陽光発電量
  • 自家消費量
  • 購入電力量
  • 売電電力量
  • 1kWh当たりの実質単価

月5,000円、1万円の差は小さくない

光熱費は毎月支払うため、一度の差は小さく感じます。

しかし、35年間では次の金額になります。

毎月の差 年間の差 35年間の差
3,000円 3万6,000円 126万円
5,000円 6万円 210万円
8,000円 9万6,000円 336万円
1万円 12万円 420万円
2万円 24万円 840万円

建築時に100万円安い家でも、光熱費が毎月5,000円高ければ、35年間の単純合計では210万円の差になります。

初期価格で100万円得をしても、長期的には110万円多く支払う計算です。

実際には電気料金、設備交換、家族人数などが変化するため、金額は一定ではありません。

それでも、住宅ローンだけでなく、毎月の光熱費まで資金計画に入れることが重要です。

光熱費を比較するチェック項目

住宅会社には、次の内容を確認してください。

確認項目 見る数字
断熱性能 断熱等級・UA値
気密性能 全棟測定・C値
窓 枠・ガラス・ガス・方位
日射 取得と遮蔽の計画
換気 方式・熱回収率・消費電力
冷暖房 負荷計算・台数・容量
給湯 機種・効率・運転方法
太陽光 容量・年間発電量
自家消費 購入量・売電量
省エネ計算 一次エネルギー消費量
光熱費 年間試算と計算条件

国の省エネ性能表示制度でも、一定条件に基づく目安光熱費を表示できます。

ただし、実際の光熱費を保証する数値ではありません。住宅の比較材料として使う数字です。国土交通省「目安光熱費」

「光熱費ゼロ」という言葉に注意する

太陽光発電を搭載した住宅で、「光熱費ゼロ」「実質0円」と宣伝されることがあります。

しかし、次の条件を確認しなければ判断できません。

  • 買った電気と売った電気を相殺しているか
  • 売電収入を含んでいるか
  • ガス代や灯油代を含んでいるか
  • 太陽光設備の購入費を含んでいるか
  • パワーコンディショナーの交換費を含んでいるか
  • 何年間の試算か
  • 電気料金と売電単価を何円で計算したか
  • 家族人数と生活条件

年間の売電収入が購入電気代を上回っても、太陽光設備の初期費用や将来の交換費まで含めて利益が出ているとは限りません。

「光熱費ゼロ」という結果ではなく、計算条件を確認してください。

デザインハウス甲府の考え方

デザインハウス甲府では、建築時の価格だけでなく、住み始めてからの光熱費を抑えやすい住宅性能を標準としています。

  • 2×6工法・壁厚約160mm
  • 断熱等級6
  • UA値0.46以下
  • 全棟気密測定
  • C値0.7以下
  • Low-Eアルミ樹脂複合サッシ・アルゴンガス入り
  • 熱回収率92%の第一種熱交換換気
  • 太陽光発電8kW以上
  • オール電化

ただし、これらの性能があっても、すべての家で同じ電気代になるとは説明していません。

床面積、間取り、方位、日射、家族人数、設定温度によって光熱費は変わるからです。

大切なのは、根拠のない「電気代が安くなります」という言葉ではありません。

性能数値、気密測定、発電量試算、使用条件を確認し、現実的な光熱費を予測することです。

俺流結論

住宅によって光熱費に差が出る最大の理由は、同じ室温をつくるために必要なエネルギー量が違うからです。

断熱性能が低い、隙間が多い、窓が大き過ぎる、日射遮蔽がない、換気で熱を捨てる。

このような家では、エアコンが何度も強く運転し、光熱費が増えやすくなります。

一方、高断熱、高気密、適切な窓、熱交換換気、太陽光発電を組み合わせれば、少ない購入電力で快適に暮らしやすくなります。

ただし、光熱費は住宅性能だけでは決まりません。

家族人数、在宅時間、入浴、設定温度、電気料金プランも影響します。

だから私は、他人の電気代と請求金額だけを比べるのではなく、

  • 断熱等級
  • UA値
  • 実測C値
  • 換気方式
  • 年間購入電力量
  • 太陽光の自家消費量

を確認するべきだと考えています。

住宅ローンはいずれ終わります。

しかし、光熱費はその家に住み続ける限り支払います。

本当に安い家とは、建てるときだけ安い家ではありません。

家族が我慢せず快適に暮らしながら、30年後も光熱費を抑えやすい家です。

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