Q. なぜ造成地は注意が必要なのか?
A. 土を削った場所と盛った場所で地盤の性質が異なり、不同沈下、擁壁、排水、地震時の滑動などを確認する必要があるからです
造成地とは、斜面や田畑などを、住宅を建てられるように切土・盛土・擁壁などで整備した土地です。
造成地だから危険というわけではありません。
適切な設計、締固め、排水、擁壁工事、検査が行われた造成地なら、住宅用地として利用できます。
注意したいのは、造成された時期や方法が分からない土地、盛土の締固めや排水が不十分な土地、古い擁壁に支えられた土地です。
表面が平らで、きれいな分譲地に見えても、地下の状態までは分かりません。
土地を購入する前に、造成履歴、切土と盛土の位置、擁壁、排水、許可・検査書類、地盤調査を確認する必要があります。
造成地とは?
造成地は、元の地形へ工事を行い、住宅などを建てられる状態にした土地です。
主な造成方法には次のものがあります。
| 造成方法 | 内容 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 切土 | 斜面や高い土地を削る | 法面、地下水、周辺斜面 |
| 盛土 | 低い場所へ土を盛る | 締固め、沈下、排水 |
| 切盛土 | 切土と盛土を組み合わせる | 境界部分の不同沈下 |
| 谷埋め盛土 | 谷や沢を土で埋める | 地下水、滑動、排水 |
| 腹付け盛土 | 斜面へ土を盛り足す | 地震や豪雨による滑動 |
| 擁壁造成 | 高低差を擁壁で支える | 劣化、排水、適法性 |
平らな宅地でも、元は谷、斜面、田んぼだった可能性があります。
現在の地形だけで判断せず、造成前の状態を確認することが重要です。
盛土は締固めによって品質が変わる
盛土は、土を運び入れて積み上げるだけではありません。
適切な厚さごとに土を敷き、転圧機械で締め固めながら造成します。
締固めが不十分だと、建物を建てた後に土が圧縮され、地盤沈下が発生する可能性があります。
雨水や地下水が入り込むことで、土の状態が変化することもあります。
確認したいのは次の点です。
- どのような土を使ったか
- どの程度の厚さで盛ったか
- どのように締め固めたか
- 品質管理の記録があるか
- 造成工事の完了検査を受けたか
- 盛土してからどのくらい経過しているか
「造成済み宅地」という言葉だけでは、施工品質まで分かりません。
切土と盛土の境界は注意が必要
斜面を平らに造成する場合、山側を削り、その土を低い側へ盛る方法があります。
一つの敷地の中に、硬い地山と人工的に盛った地盤が混在することになります。
建物が切土部分と盛土部分の両方にまたがると、地盤の沈み方に差が出る可能性があります。
この不均一な沈下を不同沈下といいます。
不同沈下が発生すると、次のような症状が出ることがあります。
- 建物が傾く
- 基礎にひび割れが入る
- 窓やドアが閉まりにくくなる
- 床が傾く
- 外壁や内壁に亀裂が入る
- 給排水管へ負担がかかる
地盤調査では、敷地内の複数地点を確認し、切土・盛土の境界も踏まえて基礎や地盤改良を検討する必要があります。
谷埋め盛土は水の影響を受けやすい
元の谷や沢を土で埋めてつくられた造成地を、谷埋め盛土といいます。
谷は、もともと水が集まりやすい地形です。
造成後も地下水や雨水が集まりやすく、排水施設が適切に機能しなければ、盛土内部の水分が増える可能性があります。
大きな地震時には、盛土全体または一部が斜面方向へ移動する滑動崩落にも注意が必要です。
山梨県では、谷や沢を埋めた盛土面積が3,000㎡以上のものなどを、大規模盛土造成地として調査・公表しています。山梨県・大規模盛土造成地
ただし、地図に掲載されているだけで、直ちに危険と判断されるものではありません。
逆に、掲載されていないから絶対に安全という意味でもありません。個別の土地について追加確認が必要です。
腹付け盛土は斜面方向の滑動に注意する
傾斜地の上に土を盛り足して平らにしたものを、腹付け盛土といいます。
元の斜面と盛土の境界面が弱い場合、地震や大雨によって盛土が斜面方向へ動く可能性があります。
大規模盛土造成地では、造成前の地盤の角度が20度以上で、盛土の高さが5m以上の腹付け盛土などが対象になります。
土地の一区画だけを見ても、盛土全体の形状は分かりません。
分譲地全体の造成図や、造成前の地形まで確認することが重要です。
擁壁の状態が土地の安全性を左右する
高低差のある造成地では、土が崩れないように擁壁を設置します。
擁壁は、住宅とは別の大きな構造物です。
古い擁壁や資料のない擁壁では、次の問題が考えられます。
- 現在の基準に適合しているか分からない
- 建築確認や造成許可の記録がない
- 水抜き穴がない、または詰まっている
- ひび割れや膨らみがある
- 擁壁が傾いている
- 継ぎ足しされている
- 排水設備が機能していない
- 境界や所有者が不明確
擁壁に問題があれば、補強や造り直しに大きな費用がかかる可能性があります。
土地が安くても、擁壁工事を加えると総額が高くなることがあります。
排水計画が重要
造成地では、地盤の強さだけでなく水の処理が重要です。
雨水が盛土内部へ入り続けると、土の強度が低下したり、擁壁へかかる水圧が増えたりする可能性があります。
確認したいのは次の部分です。
- 敷地表面の勾配
- 雨水桝
- 排水管
- 側溝
- 擁壁の水抜き穴
- 地下排水設備
- 道路への排水経路
- 隣地から流れ込む水
- 大雨時の水たまり
- 法面からの湧水
晴れた日に見るだけでは、水の問題を確認できません。
可能であれば、雨の日や大雨の翌日にも土地を見てください。
地盤改良だけでは造成地全体を直せない
地盤調査の結果によっては、表層改良、柱状改良、杭などが提案される場合があります。
これらは、主に建物を支えるための対策です。
しかし、地盤改良をすれば、次の問題まですべて解決するわけではありません。
- 造成地全体の滑動
- 擁壁の劣化や倒壊
- 地下水や雨水の問題
- 隣接斜面の崩壊
- 敷地外を含む大規模な盛土
- 古い排水施設の故障
建物直下の地盤対策と、造成地全体の安全性は分けて考える必要があります。
「地盤改良をすれば大丈夫」という一言だけで判断しないでください。
新しい造成地なら安心とは限らない
新しい造成地は、現在の基準に基づいて許可や工事が行われ、図面や検査記録が残っている可能性があります。
しかし、新しいから絶対に沈下しないわけではありません。
盛土の材料、締固め、排水、施工管理によって品質は変わります。
反対に、古い造成地でも、長期間問題がなく、適切に維持管理されている場合があります。
判断すべきなのは、造成された年代だけではありません。
- どのように造成したか
- 記録が残っているか
- 現在の状態に異常がないか
- 周辺で沈下や擁壁の変状がないか
- 専門家が安全性を確認できるか
この5点が重要です。
盛土規制法の対象か確認する
危険な盛土を包括的に規制するため、2023年5月に盛土規制法が施行されました。
規制区域内で一定規模以上の盛土や切土を行う場合、原則として許可や届出などが必要になります。国土交通省・盛土規制法
ただし、法律が施行されたことだけで、過去につくられた造成地の安全性が自動的に保証されるわけではありません。
過去の許可、完了検査、造成図、擁壁図などを確認する必要があります。
土地の所在地によって相談窓口が異なるため、市町村や山梨県の担当部署へ確認してください。
購入前に集めたい資料
造成地を検討するときは、次の資料を確認しましょう。
- 造成前の地形図
- 古い航空写真
- 開発許可書
- 造成工事の検査済証
- 造成計画平面図
- 切土・盛土を示す断面図
- 擁壁の構造図
- 排水計画図
- 地盤調査報告書
- 擁壁や排水設備の修繕履歴
- 境界確定図
- ハザードマップ
- 大規模盛土造成地マップ
資料がない場合は、資料がないというリスクを前提に、建築士、地盤会社、擁壁の専門家などへ相談してください。
現地で確認したい危険信号
| 確認場所 | 注意したい状態 |
|---|---|
| 地面 | 段差、沈下、長い亀裂 |
| 擁壁 | ひび割れ、傾き、膨らみ |
| 水抜き穴 | 詰まり、常時大量の水 |
| 道路 | 補修跡、波打ち、沈下 |
| 側溝 | 水が流れない、土砂が堆積 |
| 建物 | 基礎や外壁のひび割れ |
| 電柱・塀 | 不自然な傾き |
| 法面 | 崩れ、湧水、植生の乱れ |
| 周辺宅地 | 複数の家で同じ亀裂や傾き |
| 雨天時 | 水たまり、敷地への流入 |
一つのひび割れだけで危険と断定することはできません。
しかし、複数の異常がある場合や、原因を説明できない場合は、契約前に専門家の調査を受けるべきです。
造成地を購入する前の質問
- この土地は切土ですか、盛土ですか
- 切土と盛土の境界はどこですか
- 造成前はどのような地形でしたか
- 開発許可書と検査済証はありますか
- 擁壁の確認資料はありますか
- 排水設備はどのようになっていますか
- 大規模盛土造成地に該当しますか
- 過去に沈下や擁壁補修はありましたか
- 建物以外に必要な地盤・擁壁工事はいくらですか
- この土地に希望する建物を安全に配置できますか
不動産会社だけでなく、購入前に住宅会社や建築士にも確認してもらいましょう。
山梨県で造成地を見るときの注意点
山梨県は、盆地、丘陵地、山間部など地形の変化が大きい地域です。
甲府市周辺の平坦地だけでなく、甲斐市、南アルプス市、笛吹市、北杜市、富士吉田市などでは、斜面を造成した住宅地もあります。
見晴らしのよい高台でも、盛土、擁壁、道路の勾配、排水、冬の凍結などを確認する必要があります。
また、安い土地でも、次の費用が必要になれば総額が大きく変わります。
- 擁壁の補強・再築造
- 深い地盤改良
- 高低差への基礎対応
- 排水設備
- 階段やスロープ
- 土留め
- 残土処分
- 工事車両の搬入対策
土地価格だけで判断せず、建物を安全に完成させるまでの総額を出してください。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、土地と建物を別々に考えません。
土地が安くても、造成、擁壁、地盤改良、給排水、外構工事が増えれば、家づくりの総額は高くなります。
土地を購入する前に、希望する建物を配置できるか、追加工事が必要かを確認することが重要です。
建物は、壁厚約160mmの2×6工法、許容応力度計算による耐震等級3、制震装置evoltzを標準としています。
断熱等級6、UA値0.46以下、C値0.7以下を基準とし、全棟で気密測定を行います。
熱回収率92%の第一種熱交換換気、8kW以上の太陽光発電、長期優良住宅、完成保証も標準です。
24坪平屋3LDKは、付帯工事、建築確認申請費、消費税込みで2,050万円。30坪二階建て3LDKは、同条件で2,200万円です。
土地に予算を使いすぎて、耐震、断熱、気密などの住宅性能を削らないよう、土地と建物の総額を最初に確認します。
よくある質問
造成地は買わない方がよいですか?
一律に避ける必要はありません。造成方法、許可・検査、地盤、擁壁、排水の状態を確認して判断します。
大規模盛土造成地マップに載っていたら危険ですか?
掲載だけで直ちに危険とは判断できません。盛土の位置を示す情報として利用し、必要に応じて行政や専門家へ確認してください。
地盤調査で問題がなければ安心ですか?
建物直下の支持力を確認する材料にはなりますが、造成地全体の滑動、擁壁、排水まで保証するものではありません。
古い造成地と新しい造成地はどちらが安全ですか?
年代だけでは判断できません。工事方法、記録、現在の状態、維持管理を確認する必要があります。
擁壁がある土地は避けるべきですか?
適法性と安全性を確認でき、状態が良好なら購入対象になります。資料がなく、ひび割れや傾きがある場合は慎重な調査が必要です。
俺流結論
造成地が危険なのではありません。
造成方法と現在の状態を確認せずに買うことが危険なのです。
見た目がきれいな分譲地でも、地下には切土と盛土の境界があるかもしれません。
安い高台の土地でも、古い擁壁の造り直しに大きな費用がかかるかもしれません。
地盤改良をすれば、すべて解決するわけでもありません。
建物直下を補強しても、造成地全体や擁壁が動けば、家は影響を受けます。
土地を購入する前に、造成前の地形、開発許可、検査済証、擁壁、排水、大規模盛土造成地の情報を確認してください。
資料がないなら、「たぶん大丈夫」で契約せず、調査費と将来の工事リスクを総額へ入れるべきです。
私は、安く買える土地より、なぜ安全と判断できるのかを説明できる土地を選ぶべきだと考えています。
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