Q. なぜ安い家ほど高くつくことがあるのか?
A. 最初の表示価格が安くても、付帯工事、オプション、光熱費、修繕費、交換費を加えると、生涯総額が高くなる場合があるからです
安い家が悪いわけではありません。
建物をコンパクトにする、形を単純にする、仕入れを統一する、広告費を抑えるなど、企業努力によって価格を下げている住宅会社もあります。
一方で、安く見せるために、
- 付帯工事を除外する
- 建築確認費を別にする
- 外構工事を入れない
- 必要な設備をオプションにする
- 断熱・気密性能を下げる
- 気密測定や構造計算を省く
- 保証や検査費を減らす
住宅会社もあります。
問題なのは価格が安いことではありません。
なぜ安いのか分からないまま契約することです。
住宅は、契約時の価格ではなく、住み始めるまでの総額と、35年間以上の光熱費・修繕費まで含めて比較する必要があります。
1. 本体価格だけが安く表示されている
住宅広告で大きく表示されるのは、本体価格です。
しかし、本体価格だけでは生活を始められないことがあります。
別途になりやすいのは、
- 仮設工事
- 屋外給排水工事
- 水道引込工事
- 地盤調査
- 地盤改良
- 建築確認・設計費
- 照明
- カーテン
- エアコン
- 太陽光発電
- 外構工事
- 登記・融資費用
- 消費税
などです。
本体価格1,700万円でも、これらを加えて2,300万円になるなら、1,700万円だけを他社と比較しても意味がありません。
家族が住宅ローンで返済するのは、広告価格ではなく最終総額です。
2. 坪単価を安く見せている
坪単価には統一された計算ルールがありません。
住宅会社によって、
- 延床面積で割る
- 施工床面積で割る
- 本体価格だけを使う
- 税別価格を使う
- バルコニーや吹き抜けを面積へ含める
など、計算方法が違います。
例えば、建物価格2,000万円、延床面積30坪、施工床面積34坪の場合です。
| 計算方法 | 坪単価 |
|---|---|
| 延床面積30坪で計算 | 約66.7万円 |
| 施工床面積34坪で計算 | 約58.8万円 |
同じ建物でも、割る面積を変えるだけで坪単価は約7.9万円下がります。
坪単価ではなく、同じ仕様で住み始めるまでの税込総額を確認してください。
3. 契約後にオプションが増える
初回見積りでは最低限の仕様にして、契約後の打ち合わせでオプションを追加する販売方法があります。
後から増えやすいのは、
- 高性能窓
- 断熱材の追加
- 第一種換気
- 気密測定
- 制震装置
- 太陽光発電
- 食器洗い乾燥機
- カップボード
- 収納棚
- コンセント
- 照明
- 網戸
などです。
モデルハウスで見た設備が、標準価格へ含まれているとは限りません。
モデルハウスと同じ仕様にした場合の総額を、契約前に出してもらうことが重要です。
4. 付帯工事が「別途」になっている
建物本体が安くても、付帯工事が高ければ総額は安くなりません。
特に注意したいのは、
- 屋外給排水
- 仮設工事
- 残土処分
- 小運搬
- 深基礎
- 浄化槽
- 水道加入金
- 交通誘導員
- 地盤改良
です。
見積書に「別途」「一式」「現場状況による」と書かれている場合は、想定金額を確認してください。
不確定だから0円にするのではなく、予備費として資金計画へ入れる必要があります。
5. 外構工事が含まれていない
外構工事が別途だと、建物価格を安く見せられます。
しかし、
- 駐車場
- 玄関アプローチ
- フェンス
- 門柱
- 土留め
- 雨水排水
- カーポート
がなければ、実際の生活に支障が出ます。
「外構は住んでから考えましょう」と後回しにすると、住宅ローンへ含められず、現金や別ローンが必要になる場合があります。
土地と建物を配置した段階で、必須外構の見積りを作成してください。
6. 断熱性能を下げて安くしている
断熱材、窓、玄関ドアの性能を下げれば、建築費を抑えられます。
しかし、断熱性能が低い家では、
- 冬に熱が逃げる
- 夏に熱が入る
- 冷暖房時間が長くなる
- 部屋間の温度差が大きくなる
- 窓周辺で寒さを感じる
- 結露しやすくなる
可能性があります。
建築時には安くても、毎月の光熱費が長期間増えれば、差額は大きくなります。
仮に光熱費の差が月8,000円なら、
| 期間 | 差額 |
|---|---|
| 1年間 | 9万6,000円 |
| 10年間 | 96万円 |
| 20年間 | 192万円 |
| 35年間 | 336万円 |
これは単純計算であり、実際の差は地域、家族構成、電気料金、設備、運転方法によって変わります。
それでも、月額差を長期間で確認する必要があることは分かります。
7. 気密測定を省いている
断熱材が高性能でも、建物に隙間が多ければ、外気が出入りします。
気密性能はC値で表し、完成した建物で測定しなければ分かりません。
気密測定を省けば、
- 測定費
- 検査時間
- 隙間を探す手間
- 補修作業
を削減できます。
その分、建築価格は安くできるかもしれません。
しかし、設計どおりの性能が出ているか確認できません。
「高気密住宅です」という説明ではなく、全棟で気密測定を行い、結果を施主へ渡すかを確認してください。
8. 窓の性能を下げている
窓は、住宅の中で熱が出入りしやすい部分です。
窓の価格は、
- アルミ
- アルミ樹脂複合
- 樹脂
- ペアガラス
- トリプルガラス
- Low-Eガラス
- ガス入り
- スペーサー
などによって変わります。
安価な窓を採用すれば建築費は下がります。
しかし、窓の表面温度が下がると、室温が高くても寒く感じたり、結露が発生したりする可能性があります。
UA値だけでなく、窓枠、ガラス、ガスの仕様まで確認してください。
9. 換気設備を安くしている
換気設備にも価格差があります。
第三種換気は、自然給気と機械排気を組み合わせる一般的な方式です。
第一種熱交換換気は、給気と排気を機械で行い、排気する空気の熱を回収します。
第一種熱交換換気は、
- 本体
- 熱交換器
- フィルター
- 給排気設備
- 配線
- 施工
が必要なため、初期費用が高くなりやすい設備です。
しかし、冬に外気をそのまま室内へ入れる方式と、排気熱を利用して給気を暖める方式では、暖房負荷や給気口周辺の体感が変わります。
初期費用だけでなく、熱回収率、消費電力、フィルター交換費、維持管理まで比較してください。
10. 耐震性能の確認を簡略化している
構造計算や性能評価には、設計、申請、審査の費用がかかります。
これらを簡略化すれば、住宅価格を抑えられる場合があります。
しかし、同じ耐震等級3という表示でも、
- 壁量計算
- 品確法による計算
- 許容応力度計算
- 耐震等級3相当
- 正式な等級取得
では内容が異なります。
許容応力度計算では、柱、梁、耐力壁、床、接合部などへ加わる力を詳細に確認します。
構造性能は、完成後に簡単に追加できません。
安さのために最も見えない部分を削ってはいけません。
11. 制震装置を外している
制震装置は、地震の揺れによるエネルギーを吸収し、建物の変形や損傷を抑えるための設備です。
制震装置を外せば、初期費用は下がります。
しかし、大地震や余震で建物が損傷すれば、
- 内壁
- 外壁
- 建具
- 構造体
- 仮住まい
の修理費が必要になる可能性があります。
制震装置は耐震性能の代わりではありません。
許容応力度計算による耐震等級3を確保し、そのうえで制震を加えることが重要です。
12. 太陽光発電を含めず安く見せている
太陽光発電を付けなければ、初期価格は安くなります。
一方、搭載する場合は、
- パネル容量
- パワーコンディショナー
- 架台
- 工事費
- 構造計算
- 保証
- 将来の交換費
を確認する必要があります。
太陽光発電の有無は、単純に安い・高いだけで判断できません。
初期費用、年間発電量、自家消費、電気料金、交換費を含めて比較します。
また、屋根へ載せる重量を構造計算へ反映することも重要です。
13. 安い外壁や屋根で修繕周期が短くなる
外壁や屋根は、雨、風、紫外線を受け続けます。
初期費用の安い材料でも、適切に維持管理すれば使用できます。
しかし、塗装、防水、シーリングなどの修繕周期が短ければ、長期間の費用が増える可能性があります。
比較するべきなのは、
- 材料の商品名
- 保証期間
- メーカー推奨の点検時期
- 塗装や交換の目安
- シーリング仕様
- 足場が必要か
- 1回当たりの概算費用
です。
「メンテナンスフリー」という言葉だけで判断してはいけません。
永久に点検不要な外装材はありません。
14. 複雑な設備は将来交換費が高くなることがある
高性能設備を多く採用すれば必ず得になるとは限りません。
一方、安価な設備を短期間で交換する場合も、長期費用は増えます。
重要なのは、初期価格だけでなく、
- 耐用年数の目安
- 修理できるか
- 部品供給
- 交換費
- メーカー依存
- 故障時の代替手段
を確認することです。
安い設備を何度も交換するのか、適正価格の設備を長く使うのかを比較してください。
15. 保証と検査を削っている
保証や第三者検査には費用がかかります。
そのため、
- 完成保証がない
- 検査回数が少ない
- 気密測定をしない
- 構造評価を取得しない
- 施工写真を残さない
会社は価格を下げられる可能性があります。
しかし、住宅会社が完成前に倒産した場合、完成保証がなければ工事継続や追加費用で問題が起こる可能性があります。
保証は期間だけでなく、
- 誰が保証するか
- 会社が倒産しても有効か
- 何が対象か
- 免責条件
- 上限額
まで確認してください。
16. 修理対応を外部へ任せている
住宅価格が安くても、完成後の相談窓口が明確でなければ、修理のたびに業者を探すことになります。
- 水漏れ
- 建具調整
- 換気設備
- 給湯器
- 外壁
- 屋根
- 電気設備
など、住宅には将来必ず点検や修理が発生します。
アフターサービスの人員や仕組みを減らせば、販売価格を抑えられます。
その安さと引き換えに、施主が将来の手配と費用を負担する可能性を確認してください。
17. 住宅ローンの利息で差が広がる
契約後に追加費用が200万円発生し、それを住宅ローンへ含めると、支払額は200万円では終わりません。
仮に金利1.5%、35年で200万円を借りると、毎月返済は約6,100円、総返済額は約257万円です。
後から追加された200万円によって、利息を含めると約57万円負担が増えます。
最初の見積りが200万円安くても、契約後に同額追加されれば、「安かった」という判断は消えます。
18. 売却時に価格差が出る可能性がある
将来住宅を売却するとき、買主や金融機関は、
- 耐震性能
- 断熱性能
- 長期優良住宅
- 維持保全記録
- 検査記録
- 修繕状況
- 保証
- 土地条件
などを確認する可能性があります。
安く建てても、性能を証明する書類がなく、劣化や修繕が多い住宅では、売却しにくくなる可能性があります。
建築時の価格だけでなく、将来残る住宅価値まで考える必要があります。
企業努力による良い安さ
安くても、次のような理由なら合理的です。
- 建物をコンパクトにする
- 四角く単純な形状にする
- 規格プランを活用する
- 建材と設備を統一仕入れする
- 展示場や広告費を抑える
- 営業経費を抑える
- 不要な装飾を減らす
- 施工を標準化する
- 直接発注で中間経費を減らす
これらは、住宅性能を維持しながら価格を抑える方法です。
後から高くなる危険な安さ
注意したいのは、次のような安さです。
- 付帯工事を除外している
- 外構工事を0円にしている
- 消費税を含めていない
- 標準仕様が曖昧
- モデルハウスがオプションだらけ
- 地盤改良予備費がない
- 断熱・気密・換気を削っている
- 耐震等級3相当で済ませている
- 検査や保証が少ない
- 修繕周期の短い材料を使っている
安い理由が書面で説明できない場合は、契約を急ぐべきではありません。
初期価格ではなく35年間で比較する
次は考え方を示すための仮定例です。
| 費用 | A:初期価格が安い家 | B:性能・保証を含む家 |
|---|---|---|
| 契約前価格 | 1,800万円 | 2,100万円 |
| 契約後追加 | 300万円 | 50万円 |
| 35年間の光熱費差 | +280万円 | 基準 |
| 修繕・交換費差 | +150万円 | 基準 |
| 比較上の総負担 | 2,530万円 | 2,150万円 |
この金額は個別住宅の実績ではなく、比較方法を示す仮定です。
重要なのは、Aが最初は300万円安く見えても、追加、光熱費、修繕費を含めるとBより380万円高くなる可能性があることです。
実際には、同じ面積、同じ家族構成、同じ使用条件で個別に計算してください。
契約前に確認する20の質問
- この価格で住み始められますか
- 含まれていない費用は何ですか
- 付帯工事は含まれていますか
- 建築確認・設計費は含まれていますか
- 消費税は含まれていますか
- 外構費はいくら見込んでいますか
- 地盤改良予備費はいくらですか
- 照明、カーテン、エアコンは含まれていますか
- モデルハウスと同じ仕様はいくらですか
- 耐震等級3は許容応力度計算ですか
- 制震装置は標準ですか
- 断熱等級とUA値はいくつですか
- 全棟で気密測定をしますか
- 保証するC値はいくつですか
- 換気方式と熱交換率はいくつですか
- 太陽光発電は何kW含まれていますか
- 外壁・屋根の修繕計画はありますか
- 完成保証はありますか
- 35年間の光熱費・修繕費を試算できますか
- 土地・建物・外構を含む税込総額はいくらですか
「他社より安い」という説明ではなく、安い理由を項目ごとに確認してください。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府は、安い家を否定していません。
むしろ、必要な性能を維持しながら総額を抑えることが重要だと考えています。
そのために、
- 建物をコンパクトにする
- 形状を単純にする
- 2×6工法で施工を標準化する
- 仕入れを統一する
- 過剰な展示場・広告費を抑える
- 必要以上の装飾を減らす
という方法を使います。
一方、削らないのは、
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 制震装置evoltz
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 熱回収率92%の第一種熱交換換気
- 太陽光発電8kW以上
- 長期優良住宅
- 完成保証
です。
さらに、付帯工事、建築確認、消費税を含めた正直な総額で比較できるようにします。
俺流結論
安い家ほど高くつくことがある理由は、最初に払わなかったお金を、後から別の形で払うからです。
契約後の追加費用。
毎月の高い光熱費。
短い周期で必要になる修繕費。
地震後の補修費。
故障した設備の交換費。
そして、住宅ローンの利息です。
しかし、安い家がすべて悪いわけではありません。
私が確認するのは、安いか高いかではなく、なぜその価格なのかです。
建物をコンパクトにしたから安い。
形状を単純にしたから安い。
仕入れと施工を標準化したから安い。
広告費を抑えたから安い。
この安さなら合理的です。
反対に、付帯工事、耐震、断熱、気密、換気、保証を外したから安いのであれば、後から高くなる可能性があります。
削るべきなのは、必要以上の床面積、複雑な形、過剰な装飾です。
削ってはいけないのは、家族の命、健康、将来の支出に関係する性能です。
家の価格は、契約書へ書かれた最初の金額では決まりません。
住み始めるまでの総額と、その後35年間に支払う光熱費、修繕費、交換費まで含めて決まります。
安い家を選ぶのではありません。
安い理由を説明でき、生涯総額を抑えられる家を選んでください。
関連Q&A










