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なぜ在来工法は付加断熱が必要になるのか?

Q. なぜ在来工法は付加断熱が必要になるのか?

A. 一般的な柱寸法の壁内だけでは、高い断熱性能に必要な厚さを確保しにくく、柱などの熱橋も残るからです

最初に誤解してはいけないのは、在来工法なら必ず付加断熱が必要というわけではないことです。

在来工法でも、

  • 高性能な断熱材を使う
  • 窓性能を高める
  • 天井や床の断熱を強化する
  • 建物形状をコンパクトにする
  • 窓の数と大きさを調整する

ことで、充填断熱だけでも目標とする断熱等級やUA値を実現できる場合があります。

ただし、断熱等級6以上など、より高い断熱性能を安定して目指す場合、一般的な柱寸法の壁内だけでは断熱材の厚さに限界があります。

また、柱、梁、間柱などの構造材は、断熱材より熱を通しやすいため、壁の中に熱橋が残ります。

そこで、柱の外側から建物を断熱材で覆う付加断熱を採用することがあります。

付加断熱には性能上のメリットがありますが、材料、施工工程、防水処理が増えるため、価格と施工難易度も上がります。

1. 付加断熱とは何か

付加断熱とは、柱と柱の間に入れる充填断熱に加えて、柱や構造用面材の外側へ断熱材を施工する方法です。

基本的な構成は次のようになります。

  1. 室内側の仕上げ
  2. 防湿・気密層
  3. 柱の間の充填断熱
  4. 構造用面材
  5. 外側の付加断熱
  6. 透湿防水層
  7. 通気層
  8. 外壁材

壁の内側と外側の両方へ断熱材を施工することで、断熱材の総厚を増やし、構造材部分から逃げる熱も抑えます。

外断熱と呼ばれることもありますが、用語や壁構成は住宅会社によって異なります。

「外断熱です」という説明だけでなく、壁のどの位置へ、何の断熱材を何mm施工するのか確認してください。

2. 在来工法の壁内には厚さの限界がある

在来工法では、柱の間へ断熱材を入れる充填断熱が広く採用されています。

壁内に入れられる断熱材の厚さは、基本的に柱や胴縁などの寸法に影響されます。

一般的な在来工法で105mm角の柱を使う場合、壁内へ施工できる断熱材の厚さにも限界があります。

120mm角の柱を使えば断熱層を厚くできますが、柱、建具、納まり、コストなども変わります。

目標とするUA値を壁内の断熱材だけで実現できない場合は、

  • 熱伝導率の低い断熱材へ変更する
  • 柱寸法を大きくする
  • 外側へ付加断熱を追加する
  • 窓や他の部位を強化する

などの方法が必要になります。

付加断熱は、その中の一つです。

3. 断熱材は種類と厚さの両方が重要

断熱材の性能は、商品名だけでは決まりません。

主に、

  • 熱伝導率
  • 施工厚
  • 施工面積
  • 施工精度

によって決まります。

熱伝導率が低い断熱材ほど、同じ厚さでも熱を伝えにくくなります。

一方、比較的安価な断熱材でも、十分な厚さを確保し、隙間なく施工できれば高い性能を目指せます。

確認するべきなのは、

「断熱材はグラスウールです」

「吹付け断熱を使っています」

という商品分類ではありません。

「熱伝導率はいくつで、壁、屋根、床へ何mm施工するのか」です。

4. 柱や梁が熱橋になる

壁の中へ断熱材を隙間なく入れても、柱、間柱、梁などの構造材部分には断熱材が入りません。

木材にも断熱性はありますが、一般的な断熱材と比べると熱を通しやすいため、熱橋になります。

熱橋とは、周囲より熱が逃げやすくなる経路です。

室内側から見ると断熱材で壁全体が覆われているように見えても、実際には柱や間柱の部分で性能が低下します。

付加断熱で構造材の外側を連続して覆えば、柱や間柱から逃げる熱を抑えやすくなります。

これが、付加断熱を採用する大きな目的の一つです。

5. UA値は断熱材部分だけの数字ではない

UA値は、住宅全体の熱の逃げやすさを表す数値です。

計算には、

  • 外壁
  • 屋根・天井
  • 床・基礎
  • 窓
  • 玄関ドア
  • 熱橋部分

などが関係します。

壁の断熱材を厚くすればUA値は改善します。

しかし、窓が大きく性能が低い場合や、屋根・床の断熱が弱い場合は、壁だけを強化しても家全体のUA値は大きく改善しないことがあります。

付加断熱は有効な方法ですが、住宅全体のバランスを見て採用する必要があります。

「付加断熱があるから高性能」とは限りません。

6. 断熱等級6なら必ず付加断熱が必要とは限らない

断熱等級は、地域区分とUA値などによって決まります。

そのため、断熱等級6を取得する方法は一つではありません。

例えば、

  • 充填断熱を高性能化する
  • 壁の厚さを増やす
  • 窓を高性能化する
  • 窓面積を調整する
  • 屋根・天井断熱を強化する
  • 床や基礎断熱を強化する
  • 建物を単純でコンパクトな形にする

ことでもUA値は変わります。

在来工法でも、建物の形、窓、断熱材によっては、付加断熱なしで断熱等級6を実現できる場合があります。

反対に、大きな窓や複雑な形状を採用する場合は、付加断熱を追加しなければ目標UA値に届かない可能性があります。

「断熱等級6だから付加断熱が必要」と一律に決めるのではなく、建物ごとの計算で判断してください。

7. 窓性能を抑えるために付加断熱を使う場合がある

UA値は住宅全体の平均値です。

そのため、壁の性能を大幅に高めることで、窓の性能が多少低くても目標UA値へ到達する場合があります。

計算上は同じ断熱等級でも、

  • 高性能な壁+一般的な窓
  • 一般的な壁+高性能な窓

という異なる組み合わせが可能です。

しかし、室内の体感は同じとは限りません。

窓の表面温度が低ければ、窓の近くで冷気や放射による寒さを感じることがあります。

付加断熱を採用していても、窓の商品名、枠、ガラス、ガス、スペーサーまで確認してください。

家全体のUA値だけでなく、弱点となる窓の性能も重要です。

8. 付加断熱は壁内結露対策にも関係する

冬は室内が暖かく、屋外が寒いため、壁の中に温度差が生まれます。

室内の湿気が壁内へ入り、温度の低い部分で露点に達すると、壁内結露が発生する可能性があります。

付加断熱で構造用面材や柱の外側を暖かく保てれば、壁内結露のリスクを抑えやすくなる場合があります。

ただし、付加断熱を付ければ自動的に結露しないわけではありません。

  • 室内側の防湿層
  • 気密層
  • 断熱材の透湿抵抗
  • 構造用面材
  • 透湿防水層
  • 通気層
  • 地域の気候
  • 室内湿度

を考えた壁体設計が必要です。

断熱材の種類や配置を間違えると、壁内の水分が抜けにくくなることもあります。

温熱計算と防露計算に基づいて設計するべきです。

9. 付加断熱には専用の施工技術が必要

付加断熱は、外壁側へ断熱材を追加するだけではありません。

外壁材を支えるための下地や留め付け方法が必要です。

断熱材を厚くするほど、外壁材が構造体から離れます。

そのため、

  • 外壁材の重量
  • 下地材の寸法
  • ビスの長さと間隔
  • 風圧力
  • 地震時の変形
  • 防水層の位置
  • 窓周辺の納まり

を検討しなければなりません。

施工に慣れていない会社が採用すると、

  • 断熱材に隙間ができる
  • 下地の留め付けが不十分
  • 窓周辺から漏水する
  • 通気層が確保できない
  • 防水シートを傷つける
  • 外壁がたわむ

といった問題につながる可能性があります。

付加断熱は、材料より施工実績と品質管理が重要です。

10. 窓周辺の納まりが複雑になる

付加断熱を施工すると、壁全体が厚くなります。

そのため、窓の取り付け位置や周辺の防水処理が複雑になります。

確認したいのは、

  • 窓を構造体のどの位置へ取り付けるか
  • 窓まわりの断熱欠損をどう防ぐか
  • 防水テープをどのように施工するか
  • 水切りをどう納めるか
  • 外壁との段差をどう処理するか
  • 窓台へ水がたまらないか

です。

窓周辺は、断熱、気密、防水が交わる重要な場所です。

付加断熱の厚さだけでなく、窓まわりの施工図を確認できる会社が安心です。

11. 配管や換気口の貫通部が増える

外壁には、

  • エアコン配管
  • 給排気口
  • 電気配線
  • 屋外コンセント
  • 給湯器配管
  • 水道管

などが貫通します。

付加断熱を採用した場合、これらが断熱材、防水層、気密層を貫通します。

処理が不十分だと、

  • 断熱欠損
  • 隙間風
  • 雨水侵入
  • 結露
  • 虫の侵入

につながる可能性があります。

壁を閉じる前に、貫通部の防水・気密処理を検査する必要があります。

12. 付加断熱は建築費が上がる

付加断熱を採用すると、一般的に次の費用が増えます。

  • 外側の断熱材
  • 外壁下地
  • 長いビスや専用金物
  • 窓周辺の部材
  • 防水処理
  • 施工手間
  • 現場検査
  • 設計・納まり検討

同じ断熱等級6でも、充填断熱だけで実現する住宅と、充填断熱+付加断熱で実現する住宅では、建築費が異なる場合があります。

ただし、価格が高いから必ず性能が良いとは限りません。

付加断熱の仕様が過剰になっていたり、広告費やブランド料が含まれていたりすることもあります。

価格差を見るときは、UA値、C値、窓、換気、施工、検査まで条件をそろえてください。

13. 付加断熱の追加費用だけでは比較できない

「付加断熱は追加で100万円です」

このように説明されても、その金額だけでは高いか安いか判断できません。

確認するべきなのは、

  • 付加断熱材の種類
  • 熱伝導率
  • 厚さ
  • 施工面積
  • 壁全体の熱貫流率
  • 追加後のUA値
  • 窓仕様
  • 気密測定
  • 防露計算
  • 外壁下地と金物
  • 保証内容

です。

例えば、付加断熱へ100万円かけても、気密測定をせず、窓や換気性能が低ければ、期待した快適性にならない可能性があります。

追加費用に対して、どの性能がどの程度改善するのかを数字で確認してください。

14. 2×6工法は壁内の断熱層を厚くしやすい

2×6工法では、約140mmの構造材を使用するため、壁内に厚い断熱層を確保しやすくなります。

デザインハウス甲府では、内外装を含む壁厚約160mmの構成を採用しています。

一般的な105mm柱の在来工法と比較すると、壁内だけで確保できる断熱材の厚さに差があります。

そのため、目標とする断熱性能によっては、2×6工法では付加断熱を追加しなくてもUA値0.46以下を実現しやすくなります。

ただし、2×6工法なら自動的に高断熱になるわけではありません。

  • 断熱材の種類
  • 施工精度
  • 窓
  • 屋根・天井
  • 床
  • 気密
  • 換気

まで適切に計画する必要があります。

15. 2×6工法でも付加断熱が必要な場合はある

2×6工法でも、より小さなUA値や断熱等級7を目指す場合、付加断熱が必要になることがあります。

また、

  • 窓が大きい
  • 建物形状が複雑
  • 寒冷な地域
  • 熱橋をさらに減らしたい
  • 高い室温安定性を求める

場合も、付加断熱を検討する可能性があります。

工法名だけで必要性を判断するのではなく、最終間取りと仕様による外皮計算で決めるべきです。

充填断熱と付加断熱の比較

比較項目 充填断熱 充填断熱+付加断熱
施工位置 柱や間柱の間 壁内+構造体の外側
断熱材の総厚 柱寸法の影響を受ける 厚くしやすい
柱の熱橋 残りやすい 外側から覆いやすい
建築費 比較的抑えやすい 材料・施工費が増える
壁厚 比較的薄い 厚くなる
窓まわり 一般的な納まり 納まりが複雑になりやすい
防水施工 標準的 より慎重な施工が必要
施工難易度 工法に慣れた会社が多い 専門的な経験が必要
適する住宅 目標性能を壁内で確保できる家 高い断熱性・熱橋対策を求める家

どちらが正解ということではありません。

目標性能、地域、構造、予算に合わせて選ぶ必要があります。

付加断熱を採用する前の確認項目

  1. 付加断熱なしのUA値はいくつですか
  2. 付加断熱後のUA値はいくつですか
  3. どの断熱等級を目指していますか
  4. 壁内の断熱材は何を何mm施工しますか
  5. 付加断熱材は何を何mm施工しますか
  6. 断熱材の熱伝導率はいくつですか
  7. 柱や間柱の熱橋をどのように計算しますか
  8. 防露計算を行いますか
  9. 室内側の防湿・気密層はどう施工しますか
  10. 外側の防水層と通気層はどう施工しますか
  11. 窓周辺の断熱・防水方法は何ですか
  12. 外壁下地の留め付け方法は何ですか
  13. 配管貫通部をどのように処理しますか
  14. 全棟で気密測定を行いますか
  15. 保証するC値はいくつですか
  16. 付加断熱の追加費用はいくらですか
  17. 追加費用に対する光熱費削減効果はどの程度ですか
  18. 付加断熱の施工実績を確認できますか

「付加断熱なので高性能です」という言葉だけでは判断できません。

デザインハウス甲府の考え方

デザインハウス甲府では、付加断熱そのものを否定していません。

目標とするUA値、地域、間取り、窓面積によっては、有効な断熱方法です。

ただし、断熱材を外側へ追加すれば、材料費、下地、金物、防水処理、施工手間が増えます。

デザインハウス甲府では、2×6工法の厚い壁を利用し、壁内へ十分な断熱層を確保することで、付加断熱へ過度に依存せず、断熱等級6、UA値0.46以下を標準としています。

さらに、

  • 約160mmの壁厚
  • Low-E複層ガラス
  • アルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシ
  • 全棟気密測定
  • C値0.7以下
  • 熱回収率92%の第一種熱交換換気

を組み合わせます。

断熱材だけで性能を考えるのではなく、断熱、気密、窓、換気をセットで考えることが重要です。

俺流結論

在来工法だから付加断熱が絶対に必要という説明は正確ではありません。

在来工法でも、断熱材、窓、建物形状を適切に選べば、充填断熱だけで断熱等級6を実現できる場合があります。

しかし、一般的な柱寸法の壁内には、断熱材の厚さに限界があります。

さらに、柱や間柱という熱橋が残ります。

その弱点を補い、さらに高い断熱性能を目指す方法が付加断熱です。

ただし、付加断熱は無料ではありません。

断熱材だけでなく、外壁下地、長いビス、防水、窓まわりの処理、施工手間まで増えます。

施工に慣れていなければ、雨漏りや断熱欠損のリスクもあります。

私なら、「付加断熱を採用しています」という言葉だけでは判断しません。

「追加前と追加後でUA値はいくつ変わりますか」

「窓と換気の仕様は何ですか」

「C値を全棟で測定しますか」

「防露計算をしていますか」

「追加費用はいくらですか」

ここまで確認します。

断熱性能を上げる方法は一つではありません。

付加断熱を増やして高く売る方法もあれば、最初から壁内へ厚い断熱層を確保できる工法を使い、施工工程と価格を抑える方法もあります。

大切なのは、「付加断熱があるか」ではありません。

必要なUA値、C値、窓性能、換気性能を、適正な総額で実現できるかです。

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