本当に良い換気とは?設備の名前だけでは決まらない
本当に良い換気とは、高価な設備を取り付けた住宅ではありません。
必要な量の外気が居室へ入り、室内を通り、湿気やにおいと一緒に確実に排出される住宅です。
さらに、住み始めた後もフィルターや給排気口を清掃でき、必要な換気量を維持できなければなりません。
第一種換気、第二種換気、第三種換気という方式や、熱回収率などのカタログ数値だけでは、良い換気かどうかは判断できません。
重要なのは、空気の入口・通り道・出口・実際の風量・維持管理です。
換気設備の本当の役割
住宅では、人の呼吸、調理、入浴、室内干しなどによって、二酸化炭素、湿気、においが発生します。
また、建材や家具などから化学物質が発生する可能性もあります。
換気設備の役割は、これらを含む室内空気を屋外へ排出し、外から新しい空気を取り入れることです。
通常のエアコンは、室内の空気を循環させて温度を調整します。換気機能を備えていない一般的なエアコンでは、二酸化炭素を屋外へ排出できません。
空気清浄機も、空気中の粒子などを減らす補助設備であり、外気を取り入れる換気の代わりにはなりません。
換気の基本については、換気とは?をご覧ください。
良い換気を決める5つの条件
本当に良い換気には、次の5つの条件が必要です。
- 必要な換気量を確保できる
- 給気から排気までの経路が明確
- 想定外の隙間から空気が入らない
- 温度と快適性を損ないにくい
- 清掃と部品交換を継続できる
高性能な換気設備を選んでも、この条件がそろわなければ、実際の住宅では十分な性能を発揮できません。
換気設備単体ではなく、建物と住み方を含めた一つのシステムとして考える必要があります。
設計風量と実際の風量は同じとは限らない
換気設備のカタログには、処理風量や設計風量が記載されています。
しかし、設備に能力があっても、その風量が各部屋で確保されているとは限りません。
実際の風量は、次の条件によって変わります。
- ダクトの長さと曲がり
- 給排気口の位置
- フィルターの抵抗
- 建物の気密性能
- 室内ドアのアンダーカット
- レンジフードなど他の換気設備
- 屋外の風や圧力差
- フィルターの汚れ
設計図に換気量が記載されていても、施工後に同じ風量が出るとは限りません。
住宅会社には、設計上の換気量だけでなく、完成後の風量をどのように確認・調整するのか聞いてください。
空気の通り道が重要
良い換気は、給気口と排気口を設置するだけでは完成しません。
例えば、リビングや寝室から外気を取り入れ、廊下やドアの下を通し、トイレ、洗面所などから排出する計画があります。
しかし、家具やカーテンで給気口をふさいだり、ドアの下に通気できる隙間がなかったりすると、空気は計画どおりに流れません。
間取り変更によって壁やドアを追加した場合も、換気経路が分断される可能性があります。
給気口、通気経路、排気口を図面上で確認し、「この部屋の空気はどこから入り、どこへ出るのか」を説明してもらうことが大切です。
高気密でなければ換気経路を管理できない
高気密住宅は息苦しいと誤解されることがありますが、気密性能を高める目的は換気を止めることではありません。
建物の不要な隙間を減らし、決められた給気口から外気を取り入れるためです。
隙間が多い住宅では、窓まわり、床、配管まわりなどから外気が入ります。
すると、給気口から遠い部屋へ必要な空気が届かず、換気されにくい場所が生まれる可能性があります。
高気密と換気は反対の性能ではなく、計画換気を成立させるための組み合わせです。
詳しくは、高気密と換気の関係とは?で解説しています。
第一種換気なら必ず良いわけではない
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で管理するため、空気の流れを計画しやすい方式です。
熱交換型なら、排気する室内空気から熱を回収し、外気を室温へ近づけて取り込めます。
しかし、第一種換気を採用しただけで、必ず良い換気になるわけではありません。
建物に隙間が多い、風量調整が不適切、フィルターが目詰まりしている、給排気口の位置が悪いといった状態では、設備本来の性能を生かせません。
反対に、第三種換気でも、高い気密性能、適切な給気口配置、十分な排気量、継続した清掃が確保されていれば、合理的な換気計画になります。
方式の番号ではなく、住宅全体として性能を発揮できるかが重要です。
熱回収率だけで判断しない
第一種熱交換換気では、熱回収率が性能として表示されます。
熱回収率が高ければ、換気によって捨てる熱を減らす効果が期待できます。
ただし、熱回収率92%だから、暖房費を92%削減できるわけではありません。
また、住宅に隙間が多ければ、外気が熱交換器を通らずに侵入します。
熱回収率を見るときは、次の項目も確認してください。
- 測定条件
- 設計風量
- 消費電力
- 有効換気量
- フィルター装着時の風量
- 実測C値
- 清掃後も性能を維持できるか
熱回収率92%とは?でも数字の見方を解説しています。
CO2濃度は換気状態を知る目安になる
室内の換気状態を確認する方法の一つが、二酸化炭素濃度の測定です。
人が多い部屋でCO2濃度が上がり続ける場合は、外気導入量が不足している可能性があります。
厚生労働省は、換気状況を確認する目安としてCO2濃度おおむね1,000ppm以下を示しています。
ただし、この数値だけで室内空気の安全性をすべて判断できるわけではありません。
CO2センサーでは、花粉、PM2.5、化学物質、カビ、においなどを直接測定できません。センサーの精度や設置位置によっても測定値は変わります。
CO2濃度は、換気が適切に働いているかを知るための一つの指標として使います。
湿度は換気だけでは管理できない
換気には、室内で発生した湿気を排出する役割があります。
しかし、換気設備だけで年間を通して最適な湿度を維持できるとは限りません。
冬は外気が乾燥しているため、換気によって室内も乾燥しやすくなります。夏は外気そのものが高温多湿のため、外気を取り入れるだけでは除湿できません。
室内干し、入浴、調理、家族の人数などによっても湿度は変わります。
結露やカビを防ぐには、断熱、防湿、換気、冷暖房、除湿、住み方を組み合わせる必要があります。
換気とカビの関係とは?でも詳しく説明しています。
メンテナンスできなければ良い換気ではない
換気設備は24時間運転するため、フィルターや給排気口にほこりや虫などが付着します。
フィルターが目詰まりすると、空気抵抗が増え、必要な風量を確保できない可能性があります。
性能だけでなく、次の内容を確認してください。
- フィルターの清掃頻度
- 交換部品の価格と入手方法
- 室内から安全に作業できるか
- 本体と点検口の位置
- 給排気口を清掃できるか
- ファンや基板を部分交換できるか
- 将来の本体交換方法
脚立を使わなければ届かない、点検口が狭い、家具を動かさなければ清掃できない設備は、次第に手入れされなくなる可能性があります。
住む人が維持できることも、換気性能の一部です。
デザインハウス甲府の換気計画
デザインハウス甲府では、換気を設備単体ではなく、断熱・気密と一体の住宅性能として考えています。
重視しているのは、次の内容です。
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 清掃と交換を考えた設備計画
高性能な設備を付けることではなく、計画した空気の流れを実際の住宅で成立させることが目的です。
俺流ポイント
私なら、「第一種換気だから高性能です」という説明だけでは住宅会社を選びません。
聞くのは、各部屋の必要風量、空気の通り道、完成後の風量確認、実測C値、フィルター代、清掃方法、故障時の対応です。
そこまで答えられず、熱回収率だけを強調する会社は選びません。
換気設備の価格や方式は目立ちます。しかし、住み始めてから重要になるのは、音が気にならないか、寒さを理由に止めずに済むか、自分で清掃できるか、必要な風量を維持できるかです。
本当に良い換気とは、カタログ上で高性能な設備ではありません。24時間止めずに使い続けられ、必要な空気が家全体へ届く換気です。
山梨県甲府市・甲斐市周辺で換気設備を比較している方には、方式や熱回収率だけでなく、気密測定、空気経路、維持管理まで具体的にご説明します。










