第一種換気は高い?費用と価値を正しく比較する
結論から言うと、第一種換気は第三種換気より初期費用が高くなる傾向があります。
給気と排気の両方に機械を使用し、熱交換器やフィルターなども必要になるためです。
ただし、換気設備は本体価格だけで比較するものではありません。
初期費用、電気代、フィルター代、修理費、熱損失、室内の快適性まで含めて判断する必要があります。
「第一種換気は高いから不要」と最初から外すのではなく、何に費用がかかり、どのような価値が得られるのかを確認することが重要です。
第一種換気とは
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行う換気方式です。
給気ファンで外気を取り入れ、排気ファンで室内の空気を屋外へ出します。
給気量と排気量の両方を機械で管理するため、適切に設計・施工されていれば、住宅全体の空気の流れを計画しやすいことが特徴です。
第一種換気の中でも、高性能住宅で多く採用されるのが熱交換型です。
熱交換型換気は、捨てる室内空気が持つ熱を利用して、取り入れる外気の温度を室温へ近づけます。
第一種換気の基本的な仕組みは、第一種換気とは?で詳しく解説しています。
第一種換気の初期費用が高くなる理由
第三種換気は、自然給気口から外気を取り入れ、排気側だけを機械で動かす比較的シンプルな方式です。
一方、第一種換気では、次のような設備が必要になります。
- 給気ファン
- 排気ファン
- 熱交換器
- 給気フィルター
- 給排気口やダクト
- 制御装置
- 点検・清掃スペース
設備の種類や施工内容が増えるため、第三種換気より初期費用が高くなるのは当然です。
ただし、価格差は換気方式、ダクトの有無、住宅の床面積、機種、施工方法、住宅会社の標準仕様によって変わります。
根拠なく「差額は必ず何十万円」と判断せず、同じ住宅プランと同じ条件で見積もりを比較してください。
比較すべき4つの費用
第一種換気が高いかどうかを判断するときは、次の4つに分けて確認すると分かりやすくなります。
1.導入費用
換気設備本体、ダクト、給排気口、電気工事、設置工事などにかかる費用です。
住宅会社には、標準仕様に含まれているのか、追加オプションなのかを確認します。
2.電気代
第一種換気は給気と排気の両方にファンを使用するため、機器によっては第三種換気より消費電力が大きくなる場合があります。
ただし、消費電力はモーターや風量、ダクト抵抗などで異なります。カタログ上の消費電力を確認する必要があります。
3.維持管理費
給気フィルター、排気フィルター、熱交換素子などの清掃や交換が必要です。
交換頻度と費用だけでなく、純正部品を将来も購入できるか、自分で交換できる位置にあるかも確認してください。
4.修理・交換費
換気設備は、住宅より先に機械部分の修理や交換時期を迎える可能性があります。
ファン、モーター、制御基板などを部分交換できるのか、故障時に本体ごとの交換が必要なのかによって、将来の負担が変わります。
第三種換気では熱をそのまま捨てる
第三種換気では、暖房や冷房で整えた室内空気を排気ファンで屋外へ出し、外気を自然給気口からそのまま取り入れます。
冬に外気温が低ければ冷たい空気が入り、夏に外気温と湿度が高ければ、暑く湿った空気が入ります。
その分を、冷暖房設備で再び調整しなければなりません。
第一種熱交換換気も熱を100%回収できるわけではなく、ファンを動かす電力も必要です。それでも、排気と一緒に捨てる熱の一部を回収できるため、冷暖房中の換気による熱損失を抑える効果が期待できます。
国土交通省も、熱交換器によって室内の熱を回収しながら換気でき、冷暖房使用時の省エネルギーが期待できると説明しています。
第三種換気の特徴は、第三種換気とは?をご覧ください。
快適性も費用として考える
第一種熱交換換気の価値は、光熱費だけではありません。
第三種換気では、冬の冷たい外気が給気口から直接入るため、給気口の近くで冷気を感じる場合があります。
その結果、「寒いから」という理由で給気口を閉じてしまえば、計画換気が崩れます。
熱交換型の第一種換気は、外気を室温に近づけてから給気するため、給気による温度差を和らげやすくなります。
ただし、室温と同じ温度になるわけではありません。熱回収率は、測定条件や実際の風量、外気温、施工状況によって変わります。
カタログ上の数字だけで「寒くない」と断定する説明には注意が必要です。
高気密でなければ熱交換を生かしにくい
高性能な第一種換気を取り付けても、住宅に隙間が多ければ、外気が熱交換器を通らずに侵入します。
これを漏気といいます。
熱交換しない外気が隙間から入れば、設備本来の効果を生かしにくくなります。
第一種換気と高気密は、別々に考えるものではありません。
換気設備を比較するときは、完成後に気密測定を行うか、実測C値を提示するかまで確認してください。
詳しくは、高気密と換気の関係とは?で解説しています。
フィルター性能だけで選ばない
第一種換気では、給気側のフィルターを通して外気を取り込めます。
対応するフィルターを適切に使用すれば、花粉や外気中の粉じんなどを減らすことができます。
ただし、捕集性能だけを高くすると空気抵抗が増え、必要な給気量を確保できなくなる場合があります。
住宅会社には、次の点を確認してください。
- フィルターが対象とする粒子
- 交換と清掃の頻度
- 交換フィルターの価格
- フィルター装着時の換気風量
- 室内から安全に交換できるか
花粉対策については、高気密住宅は花粉症対策に効果がある?も参考にしてください。
第一種換気にもデメリットはある
第一種換気は、採用すれば必ず得になる設備ではありません。
主な注意点は次のとおりです。
- 第三種換気より初期費用が高い
- フィルター管理が必要
- ファンや基板が故障する可能性がある
- 機種によって清掃性が異なる
- ダクト計画が悪いと風量を確保しにくい
- 本体や点検口の位置によって音が気になる
- 気密性が低い住宅では性能を生かしにくい
重要なのは、デメリットを隠して「第一種換気だから安心」と販売しないことです。
採用するなら、将来の交換方法と費用まで説明できる住宅会社を選ぶ必要があります。
デザインハウス甲府の換気計画
デザインハウス甲府では、山梨の冬の冷え込みと夏の暑さを考え、第一種熱交換換気を重視しています。
住宅性能として組み合わせているのは、次の内容です。
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
換気設備だけを高性能にするのではなく、断熱・気密・換気を一体で計画します。
熱回収率の考え方については、熱回収率92%とは?をご覧ください。
俺流ポイント
第一種換気は、第三種換気より初期費用が高くなります。
ここを隠して「必ず元が取れます」と説明するつもりはありません。光熱費だけで差額を回収できるかは、住宅性能、家族構成、設定温度、地域、電気料金によって変わるからです。
私なら、初期費用だけではなく、30年使う設備として判断します。
確認するのは、本体価格、年間消費電力、フィルター代、修理方法、交換時の工事、気密測定の有無です。
高い設備とは、価格が高い設備ではありません。
性能を生かせないまま設置され、手入れできず、住み始めてから止められてしまう設備です。
反対に、住宅性能と換気計画に合い、無理なく維持できる設備なら、初期費用が高くても選ぶ価値があります。
山梨県甲府市・甲斐市周辺で換気設備を比較している方には、第一種と第三種の価格だけでなく、快適性、熱損失、維持管理費まで含めて具体的にご説明します。










