高気密住宅は花粉症対策に効果がある?
結論から言うと、高気密高断熱住宅に住んだからといって、花粉症が治るわけではありません。
ただし、住宅の気密性能や換気方法、フィルター、生活動線を適切に計画すれば、室内へ侵入する花粉を減らしやすくなります。
花粉症対策で重要なのは、「花粉症を治す家」ではなく、花粉をできるだけ家の中へ入れず、入った花粉を室内にためにくい家をつくることです。
住宅で花粉症は治せない
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉に対するアレルギー反応です。
そのため、高性能住宅や換気設備によって花粉症そのものを治療することはできません。また、住宅の性能だけで症状が改善すると断定することもできません。
一方で、家の中で花粉に触れる量を減らすことは、住環境として意味のある対策です。
外出先で花粉を避けることは難しくても、帰宅後に長い時間を過ごす室内の空気環境は、家のつくり方によって変えられます。
花粉はどこから家の中へ入るのか
花粉の主な侵入経路は、次のとおりです。
- 窓や玄関ドアの開閉
- 給気口から取り込む外気
- 建物の隙間から入る空気
- 衣服、髪、バッグへの付着
- 外干しした洗濯物や布団
気密性能が低い住宅では、窓まわりや配管まわりなど、設計者が把握していない隙間からも外気が入ります。
この空気には、花粉だけでなく、砂ぼこりや外気中の微粒子が含まれている可能性があります。
どこから空気が入っているか分からない住宅では、フィルターによる対策も十分に機能させにくくなります。
高気密住宅が花粉対策につながる理由
高気密住宅のメリットは、家を完全に密閉することではありません。
建物の不要な隙間を減らし、外気を計画した給気口から取り入れやすくすることです。
給気口に適切なフィルターが設置されていれば、花粉を減らしてから外気を取り込めます。隙間から無秩序に空気が入る住宅よりも、空気の入口を管理しやすくなるのです。
ただし、高気密住宅であっても花粉を完全に遮断できるわけではありません。
気密性能を確認するときは、設計上の目標だけでなく、完成した建物で気密測定を実施しているか確認してください。気密性能については、C値とは?でも詳しく解説しています。
花粉対策では換気を止めてはいけない
「花粉が入るから換気を止めた方がよい」と考える方もいますが、これはおすすめできません。
換気を止めると、室内の二酸化炭素、湿気、におい、建材や家具から発生する化学物質などを排出しにくくなります。
大切なのは換気を止めることではなく、フィルターを通した外気を計画的に取り入れることです。
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で管理します。給気側に適切なフィルターを備え、住宅の気密性が確保されていれば、空気の入口を管理しやすくなります。
詳しい仕組みは、高気密と換気の関係とは?をご覧ください。
フィルターは性能とメンテナンスを確認する
換気設備にフィルターが付いていれば、すべて同じ効果が得られるわけではありません。
住宅会社には、次の点を確認しましょう。
- どの程度の粒子を捕集できるのか
- 花粉に対応したフィルターを選べるか
- 交換や清掃の頻度
- 交換フィルターの価格と入手方法
- フィルターを付けた状態で必要な風量を確保できるか
性能の高いフィルターでも、汚れたまま使用すると換気風量が低下する可能性があります。また、換気設備に合わないフィルターを自己判断で重ねると、空気が流れにくくなることがあります。
フィルターは「付いているか」だけでなく、継続して手入れできるかまで確認することが重要です。
室内干しと玄関動線も花粉対策になる
花粉は換気口だけでなく、人や物と一緒に入ってきます。
そのため、花粉対策は住宅性能だけで完結しません。
玄関付近にコートや上着を収納できる場所を設ければ、花粉が付着した衣類をリビングや寝室へ持ち込みにくくなります。帰宅後に手洗いや洗顔をしやすい動線も効果的です。
ランドリールームや室内物干しスペースを計画し、花粉の多い時期に外干しを避けられるようにすることも大切です。
厚生労働省も、花粉対応フィルターの利用、外干しを控えること、床やカーテンの清掃、帰宅後の洗顔などを花粉対策として案内しています。
空気清浄機だけに頼らない
空気清浄機は、室内へ入った花粉への補助的な対策になります。
ただし、空気清浄機だけで住宅全体の換気を代替することはできません。二酸化炭素や湿気を屋外へ排出する役割は、換気設備が担います。
「花粉を入れにくくする対策」と「入った花粉を減らす対策」は、分けて考える必要があります。
まずは気密性能と計画換気で侵入経路を管理し、そのうえで室内干し、清掃、空気清浄機などを組み合わせるのが現実的です。
デザインハウス甲府の花粉対策
デザインハウス甲府では、室内の空気環境を住宅性能の一部として考えています。
標準性能として重視しているのは、次の内容です。
- C値0.7以下
- 全棟で気密測定を実施
- 第一種熱交換換気
- 熱回収率92%
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
断熱性能だけを高くしても、隙間が多ければ計画どおりの換気は期待できません。
高気密住宅は危険?で解説しているとおり、高気密住宅の問題は気密性そのものではなく、適切な換気計画やメンテナンスが伴っているかどうかです。
俺流ポイント
「この換気設備なら花粉症が治ります」という説明をする住宅会社があれば、私は一度立ち止まった方がよいと思います。
住宅は医療機器ではありません。
本当に確認するべきなのは、花粉症への効果をうたう言葉ではなく、C値、気密測定の有無、フィルター性能、換気風量、交換費用、清掃方法といった具体的な内容です。
花粉を完全に入れない家はつくれません。
しかし、空気の入口を管理し、花粉を持ち込みにくい動線を整え、室内に入った花粉を掃除しやすくすることはできます。
花粉症に配慮した家とは、特別な設備を一つ付けた家ではありません。
高気密・計画換気・適切なフィルター・室内干し・玄関動線・日常の清掃を一体で考えた家です。
山梨県甲府市・甲斐市周辺で、花粉や室内の空気環境に配慮した家づくりを検討している方は、間取りを決める前にご相談ください。換気設備の仕組みやフィルターの管理方法まで、具体的にご説明します。










