Q. 火災保険はいくら必要?
A. 建物の保険金額は「同等の家を再建する費用」、保険料は5年間で15万〜40万円程度を一つの目安にします。
ただし、火災保険料は次の条件で大きく変わります。
- 建物の所在地
- 木造・鉄骨・コンクリートなどの構造
- 建物の保険金額
- 水災補償の有無
- 地震保険の有無
- 家財保険の金額
- 免責金額
- 補償範囲
- 契約する保険会社
地震保険、水災補償、家財保険まで付けると、5年間で30万〜60万円以上になる場合もあります。
住宅資金計画では、見積り前の仮予算として30万円程度を入れ、建築地と建物仕様が確定した段階で複数社から見積りを取得します。
「いくら必要」には2つの意味がある
火災保険では、次の2つを分けて考える必要があります。
保険金額
火災や自然災害で損害を受けたとき、保険会社から支払われる補償の上限額です。
保険料
契約者が保険会社へ支払う料金です。
「火災保険3,000万円」は受け取れる保険金額を示し、「5年間で25万円」は支払う保険料を示します。
建物の保険金額はいくらにする?
建物の保険金額は、土地代や住宅ローン借入額ではなく、同程度の建物を再建するために必要な金額を基準にします。
例えば、住宅取得総額が3,500万円でも、内訳が次のような場合があります。
| 項目 | 金額例 |
|---|---|
| 土地 | 800万円 |
| 建物・付帯工事 | 2,300万円 |
| 外構・諸費用 | 400万円 |
| 合計 | 3,500万円 |
火災保険の建物保険金額を、単純に住宅総額3,500万円へ設定するわけではありません。
土地は火災で焼失しないため、保険の対象外です。
一方、建物本体価格だけでは、再建に必要な撤去、付帯設備、物価上昇などを十分に反映できない場合があります。
保険会社が算定する再調達価額を基に設定します。
住宅ローン残高に合わせてはいけない
住宅ローンが3,000万円だから、火災保険も3,000万円必要とは限りません。
また、頭金を多く入れて借入額が2,000万円になっても、家の再建費用が2,500万円なら、保険金額を2,000万円に下げることが適切とは限りません。
確認する数字は次の3つです。
- 住宅ローン残高
- 建物の取得価格
- 建物の再調達価額
火災保険は銀行の貸付金を守るだけでなく、被災後に家族が生活を再建するための保険です。
再調達価額とは?
再調達価額とは、現在と同等の建物をもう一度建てるために必要な金額です。
現在販売されている火災保険は、再調達価額を基準とした実損払い方式が主流です。日本損害保険協会「火災保険の保険金」
建物が古くなったからといって、時価だけを基準にすると、受け取った保険金では再建できない可能性があります。
契約時には、保険金額が再調達価額に対して不足していないか確認してください。
火災保険料の目安
新築木造戸建てで、建物保険金額2,000万〜3,000万円を想定した大まかな目安です。
| 補償内容 | 5年間の保険料目安 |
|---|---|
| 火災・風災などを中心 | 10万〜25万円 |
| 水災補償を追加 | 15万〜35万円 |
| 家財保険も追加 | 20万〜40万円 |
| 地震保険も追加 | 25万〜60万円以上 |
これはあくまで仮予算です。
所在地、構造、免責、保険金額によって大きく変わります。
損害保険料率算出機構も、建物の構造や所在地などのリスクに応じて料率区分が異なると説明しています。損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」
住宅ローン諸費用に火災保険料を入れる
住宅ローンを利用する場合、金融機関から火災保険への加入を求められるのが一般的です。
しかし、住宅会社の見積りに火災保険料が含まれていない場合があります。
火災保険料30万円を計算せず、建築後の現金が30万円減れば、家具・家電や引越し費用に影響します。
資金計画では、次の費用を別々に確認してください。
- 火災保険
- 地震保険
- 家財保険
- 個人賠償責任特約
- 保険代理店の見積り
- 更新時の積立
火災保険だけでは地震被害を補償できない
一般的な火災保険では、地震、噴火、津波を原因とする火災や損壊は、原則として補償されません。
地震による被害へ備えるには、火災保険とセットで地震保険へ加入します。
地震保険の保険金額は、火災保険金額の30〜50%の範囲です。
上限は次のとおりです。
| 対象 | 地震保険の上限 |
|---|---|
| 建物 | 5,000万円 |
| 家財 | 1,000万円 |
例えば、建物の火災保険金額が2,500万円なら、地震保険は750万〜1,250万円の範囲で設定します。
詳しい制度は財務省「地震保険制度の概要」で確認できます。
地震保険だけで家を建て直せるとは限らない
建物2,500万円、地震保険1,250万円に加入していても、地震で全損した場合の支払上限は1,250万円です。
同じ家を再建するには不足する可能性があります。
地震保険は、家を完全に再建する費用を全額補償するというより、被災後の生活再建を支える保険です。
- 仮住まい
- 当面の生活費
- 住宅ローン返済
- 建物の補修
- 新居取得の頭金
こうした目的へ使うことを想定します。
耐震等級と地震保険は役割が違う
耐震等級3の住宅だから、地震保険が不要になるとは限りません。
耐震性能は、地震時の倒壊や損傷を抑えるための建物性能です。
地震保険は、被害を受けた後の生活再建を支える資金です。
耐震等級3でも、次の被害は考えられます。
- 地盤変状
- 周辺火災
- 家財の転倒・破損
- 屋根・外壁の損傷
- 配管や設備の破損
- 長期間住めない状態
建物性能と保険を、どちらか一方だけで考えないことが重要です。
地震保険の割引を確認する
建物の耐震性能や建築時期によって、地震保険料の割引を受けられる場合があります。
主な割引には次のものがあります。
- 免震建築物割引
- 耐震等級割引
- 耐震診断割引
- 建築年割引
適用には、住宅性能評価書、長期優良住宅認定書、設計内容説明書などの確認資料が必要になる場合があります。
耐震等級3の住宅でも、必要書類を提出しなければ割引が自動的に適用されない可能性があります。
見積り時に使用できる証明書を住宅会社へ確認してください。
水災補償は必要?
水災補償は、河川の氾濫、内水氾濫、土砂災害などによる被害へ備える補償です。
水災補償を外せば保険料を抑えられる場合があります。
しかし、保険料だけで外す判断は危険です。
次の資料を確認してください。
- 洪水ハザードマップ
- 内水ハザードマップ
- 土砂災害警戒区域
- 過去の浸水履歴
- 敷地と道路の高低差
- 近隣河川・水路
- 地下・半地下の有無
- 擁壁や斜面
川から離れていても、短時間の豪雨で道路や水路から水があふれる内水氾濫があります。
建築地を決める段階で、水災リスクと保険料を確認してください。
山梨県で確認すべき水災リスク
山梨県では、河川の氾濫だけでなく、扇状地、急傾斜地、土石流、内水氾濫にも注意が必要です。
同じ市内でも、土地によってリスクが異なります。
「山梨は海がないから水災は関係ない」という判断はできません。
土地購入前にハザードマップを確認し、水災補償の必要性と、避難経路まで検討します。
風災・雹災・雪災を確認する
火災保険は火事だけの保険ではありません。
契約内容によって、次の被害も補償対象になります。
- 台風による屋根・外壁被害
- 強風による飛来物
- 雹による屋根・カーポート被害
- 雪の重みによる損害
- 落雷
- 給排水設備事故による水漏れ
- 盗難
- 外部からの物体衝突
山梨県でも、台風、強風、雹、積雪による住宅被害は考えられます。
保険料を下げるために、必要な補償まで外していないか確認してください。
家財保険はいくら必要?
建物の火災保険へ加入しても、家具や家電は建物補償の対象にならないことがあります。
家財には次のものが含まれます。
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- テレビ
- エアコン
- ソファ
- ベッド
- 衣類
- 食器
- パソコン
- 生活用品
4人家族が家財をすべて買い直すと、数百万円必要になる可能性があります。
家財保険金額の一つの目安は次のとおりです。
| 世帯 | 家財保険金額の目安 |
|---|---|
| 単身 | 200万〜400万円 |
| 夫婦 | 400万〜700万円 |
| 4人家族 | 600万〜1,000万円 |
| 高額家財が多い家庭 | 個別に計算 |
家財保険金額を高くしすぎれば保険料が上がります。
所有している家具、家電、衣類などを現実的に積み上げて判断します。
太陽光発電・カーポート・物置を確認する
新築住宅では、次の設備が火災保険の建物補償に含まれるか確認してください。
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナー
- 蓄電池
- カーポート
- 物置
- フェンス
- 門
- 宅配ボックス
- 給湯設備
- エアコン室外機
契約内容や設置方法によって、建物、家財、屋外設備などの扱いが異なる場合があります。
台風や雹でカーポートや太陽光パネルが損傷したときに補償されるか、具体的に確認します。
免責金額で保険料が変わる
免責金額とは、事故が発生した場合に契約者が自己負担する金額です。
例えば免責5万円なら、損害額20万円に対して、原則として5万円を自己負担し、残りが保険金の対象になります。
免責金額を高くすれば、保険料を抑えられる場合があります。
ただし、少額の損害では保険金を受け取れない可能性があります。
生活防衛資金が少ない家庭が、保険料を下げるために免責を高くしすぎるのは危険です。
個人賠償責任特約の重複に注意する
火災保険には、個人賠償責任特約を付けられる場合があります。
日常生活で他人へ損害を与えた場合に備える補償です。
ただし、自動車保険、傷害保険、クレジットカードなどですでに加入している可能性があります。
夫婦それぞれの保険へ重複して付けても、実際の損害額を超えて受け取れるとは限りません。
火災保険契約時に、家族全体の保険を確認してください。
5年ごとの更新費用を積み立てる
火災保険や地震保険は、5年契約にする場合があります。
5年分の保険料が30万円なら、次回更新に備える月額は次のとおりです。
30万円÷60か月=月5,000円
| 5年間の保険料 | 毎月の積立額 |
|---|---|
| 20万円 | 約3,400円 |
| 30万円 | 5,000円 |
| 40万円 | 約6,700円 |
| 50万円 | 約8,400円 |
新築時の諸費用として一度払って終わりではありません。
住宅ローン返済中にも更新時期が来ます。
固定資産税や住宅修繕費と一緒に、毎月積み立ててください。
火災保険の比較で確認する項目
保険料だけでなく、同じ条件をそろえて比較します。
- 建物保険金額
- 家財保険金額
- 火災・落雷
- 風災・雹災・雪災
- 水災
- 水漏れ
- 盗難
- 破損・汚損
- 地震保険
- 免責金額
- 臨時費用
- 仮住まい費用
- 残存物の撤去費用
- 太陽光・外構設備
- 個人賠償責任
- 事故時の連絡・対応体制
A社20万円、B社30万円でも、補償内容が違えば単純比較できません。
火災保険を安くする方法
- 複数社から同条件で見積りを取る
- 不要な特約を外す
- 他の保険との重複を確認する
- ハザードマップから水災補償を判断する
- 免責金額を検討する
- 耐震等級などの割引書類を提出する
- 年払と長期一括払いを比較する
- 建物・家財の保険金額を過大にしない
ただし、保険料を下げることが目的になってはいけません。
被災したときに生活を再建できる補償を残すことが優先です。
俺流結論
火災保険の建物保険金額は、住宅ローン額ではなく、同等の家を再建するための再調達価額を基準にします。
保険料は、新築戸建てなら5年間で15万〜40万円程度を一つの目安とし、地震保険、水災、家財まで含める場合は30万〜60万円以上になる可能性があります。
最も危険なのは、
「住宅ローンを組むために、最低限の火災保険へ入ればよい」
と考えることです。
火災、台風、雹、地震、水災で家を失っても、住宅ローンは残る可能性があります。
保険料の安さだけでなく、被災後に家族が生活を再建できるかで選ぶ。
そして、5年後の更新費用まで毎月積み立てる。
火災保険も、家を建てた後まで含めた総額表示と資金計画が必要です。










