Q:住宅ローンとNISA、どちらを優先すべき?
A:住宅ローンの通常返済と生活防衛資金が先です
そのうえで、「繰上返済」と「NISAへの積立」のどちらを優先するかは、住宅ローン金利、完済年齢、住宅ローン控除、手元資金によって判断します。
おすすめの順番は次のとおりです。
- 住宅ローンの通常返済
- リボ・カードローンなど高金利借入れの完済
- 生活防衛資金・教育費・車・修繕費の確保
- 無理のない金額でNISA積立
- 余剰資金を繰上返済専用口座へ積み立てる
NISAとは?
NISAは、株式や投資信託から得た売却益・配当などを非課税にできる制度です。
現在の制度では、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間最大360万円、非課税保有限度額は最大1,800万円です。金融庁「NISAを知る」
ただし、iDeCoとは違い、NISAへ入れた金額が所得控除になるわけではありません。
| 比較 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり |
| 途中売却 | 可能 | 原則60歳まで不可 |
| 元本保証 | なし | 商品による |
| 主な目的 | 自由な資産形成 | 老後資金 |
NISAは必要なときに売却できますが、必要な時期に相場が下落していれば、損失を確定して現金化することになります。
繰上返済を優先するメリット
住宅ローンを繰上返済すれば、返済した元金に今後かかる利息を確実に減らせます。
例えば住宅ローン金利が年1.5%なら、繰上返済は「年1.5%相当の利息負担を確実に減らす行動」と考えられます。
NISAで年3%、5%の利益が出る可能性はありますが、保証はありません。金融庁も、株式や投資信託には元本割れの可能性があると説明しています。金融庁「基礎から学べる金融ガイド」
住宅ローンは確定した借金、NISAの利益は未確定です。
NISAを優先しやすい人
次の条件を満たす場合は、急いで繰上返済せず、NISAで積み立てる選択肢があります。
- 生活費6~12か月分の現金がある
- 教育費を別に確保している
- 車の買い替え費用を積み立てている
- 住宅修繕費を準備している
- 住宅ローン金利が低い
- 住宅ローン控除を十分に利用できている
- 退職前または70歳前後までに完済できる
- 10年以上使わない余裕資金で投資できる
- 相場が30%下落しても売却せず保有できる
NISAの最大の利点は、iDeCoより資金を動かしやすいことです。
ただし、「いつでも売れる」と「いつでも損せず使える」は違います。
繰上返済を優先しやすい人
次に当てはまる場合は、NISAより住宅ローンの削減を優先する方が安心です。
- 住宅ローン金利が高い
- 変動金利の上昇が不安
- 退職後も住宅ローンが残る
- 毎月返済額が家計を圧迫している
- 住宅ローン控除が終了している
- 老後も年金から返済する計画
- 投資の値下がりに耐えられない
- 繰上返済なしでは70歳前後に完済できない
特に40年・50年ローンを組み、「NISAの運用益で後から完済する」という計画は危険です。
投資が予定どおり増えなければ、住宅ローンだけが老後まで残ります。
住宅ローン控除中はどう考える?
一定の要件を満たせば、年末の住宅ローン残高を基に住宅ローン控除を受けられます。
控除率が0.7%で、住宅ローン金利が1.5%、控除を全額使えている場合、単純な金利との差は0.8%です。
ただし、実際には次の条件で変わります。
- 控除対象となる借入上限
- 納めている所得税・住民税
- 住宅の省エネ性能
- 入居年
- 団信や融資手数料
- 変動金利の上昇
控除期間中に繰上返済すると、年末残高が減り、控除額も減る可能性があります。
また、繰上返済によって当初からの返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除の対象外になる場合があります。住宅金融支援機構「繰上返済」
金利だけでなく、減る利息と減る控除額を比較してください。
毎月3万円の余裕がある場合
全額をNISAか繰上返済へ入れる必要はありません。
例えば、次のように分けられます。
| 使い道 | 毎月 |
|---|---|
| NISA積立 | 1万円 |
| 繰上返済専用口座 | 1万円 |
| 車・住宅修繕積立 | 1万円 |
繰上返済分は、すぐ金融機関へ返さず、専用口座へ貯めます。
50万円程度まで貯まった時点で、
- 教育費に不足はないか
- 車の買い替えが近くないか
- 金利が上昇していないか
- 建築後の現金が十分か
を再確認し、問題がなければ期間短縮型の繰上返済を検討します。
急な支出があれば、繰上返済を中止して現金を守れます。
「NISAの期待利回りが高いから得」は危険
例えば毎月3万円を20年間積み立てると、元本は720万円です。
仮に年4%で運用できれば、概算で約1,100万円になります。しかし、年4%は保証された数字ではありません。
20年後に必ず約1,100万円になるわけではなく、途中で大きく値下がりする可能性もあります。
住宅営業や金融商品の担当者から、
住宅ローンは低金利だから、繰上返済せずNISAへ回せば得
と言われても、その運用益を前提に住宅予算を増やしてはいけません。
運用できなくても返せる住宅ローンに抑え、余裕資金だけをNISAへ回すことが基本です。
50代・60代はNISAより現金残高を確認する
50代・60代では、運用期間を長く確保できない場合があります。
退職直前に相場が下落しても、回復を待つ時間が十分にあるとは限りません。
一方、住宅ローンを急いで完済し、預貯金を使い切るのも危険です。
確認すべきなのは、
- 完済年齢
- 退職時の住宅ローン残高
- 年金受給額
- 住宅修繕費
- 医療・介護費
- 90歳までの金融資産
です。
住宅ローン残高を減らすことだけでなく、老後に現金がいくら残るかを優先してください。
俺流結論
住宅ローンとNISAは、「どちらが儲かるか」だけで比較するものではありません。
繰上返済には、利息を確実に減らす効果があります。NISAには、資産が増える可能性がありますが、元本割れもあります。
したがって、
NISAの運用益がゼロでも住宅ローンを返せる。
相場が下落しても教育費と修繕費を払える。
この条件を満たす人だけが、NISAを優先できます。
借金は確定、運用益は未確定。
NISAを住宅ローン返済計画の土台にしてはいけません。
関連FAQ
NISAの運用益で住宅ローンを完済してもよいですか?
結果として完済に使うことはできますが、将来の運用益を前提に借入額を決めてはいけません。
住宅ローン控除中は繰上返済しない方がよいですか?
金利、控除額、完済年齢によって異なります。利息軽減額と控除減少額を比較してください。
NISAとiDeCoはどちらを優先すべきですか?
老後まで使わない資金ならiDeCo、途中で使う可能性がある資金ならNISAが候補です。ただし、生活防衛資金は預貯金で確保します。










