Q. 住宅ローン破綻はなぜ起きる?
A. 住宅ローン破綻は、収入が減ったからだけではありません。最初から余裕のない借入れをして、教育費・車・修繕・金利上昇などが重なったときに起きます。
住宅ローン破綻は、ある日突然始まるものではありません。
多くの場合、最初は「少し苦しいけれど払える」という状態です。その後、貯金を取り崩し、リボ払いやカードローンで生活費を補い、最終的に住宅ローンまで払えなくなります。
破綻の本当の原因は、想定外の出費ではなく、想定外へ備える余裕がなかったことです。
住宅ローン破綻が起きる主な原因
1.借入可能額まで借りてしまう
銀行が貸してくれる金額と、家族が安全に返せる金額は違います。
審査時点では返済できても、将来は次の負担が増えます。
- 子どもの教育費
- 車の買い替え
- 固定資産税
- 住宅設備の交換
- 親の介護
- 医療費
- 老後資金
これらを計算せず、借入可能額を住宅予算にすると、数年後に家計が崩れます。
2.変動金利の上昇を想定していない
変動金利は、当初の返済額を低く見せられます。
しかし、3,500万円を35年間借りた場合、金利による毎月返済額の違いは概算で次のとおりです。
| 金利 | 毎月返済額 |
|---|---|
| 1.0% | 約9万9,000円 |
| 2.0% | 約11万6,000円 |
| 3.0% | 約13万5,000円 |
金利1%から3%になれば、毎月約3万6,000円、年間約43万円の負担増です。
変動金利を選ぶなら、最初から金利3%でも返済できる住宅総額に抑える必要があります。
3.収入減少を考えていない
住宅ローンは30年、35年と続きます。その間に、次の変化が起こる可能性があります。
- 転職・退職
- 会社の業績悪化
- 残業代・賞与の減少
- 病気・休職
- 出産・育児による収入減
- 自営業の売上減少
- 離婚
共働き収入を全額使わなければ返せない借入れは、一方の収入が減っただけで危険になります。
4.教育費が増える時期を見ていない
住宅購入時に子どもが小さいと、教育費が少ないため「返せそう」に見えます。
しかし、中学、高校、大学と進むにつれて負担は増えます。住宅ローン、自動車ローン、大学費用が重なると、貯蓄できない家計になります。
住宅ローンは、現在の生活費ではなく、教育費が最も高くなる時期を基準に判断します。
5.ボーナス払いへ頼っている
賞与は毎年必ず支給されるとは限りません。
賞与が減ってもボーナス返済額は原則として変わらないため、預金やカードローンで穴埋めすることになります。
ボーナスは返済に組み込まず、貯蓄や繰上返済に使う方が安全です。
6.住宅ローン以外の費用を見ていない
持ち家には、住宅ローン以外にも費用がかかります。
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- エアコン・給湯器の交換
- 外壁・屋根の修繕
- 庭や外構の維持
- 太陽光発電設備の交換
「家賃と同じ月8万円」という説明だけで家を買っても、実際の住居費は月8万円ではありません。
7.頭金や繰上返済で現金を使い切る
住宅ローンを減らすことに集中し、預金をほとんど残さない人も危険です。
ローン残高が少なくても、収入が止まったときに返済へ使える現金がなければ延滞します。
最低でも生活費の6か月~1年分に加え、教育費、車、住宅修繕費を確保しておく必要があります。
8.老後までローンを残す
50歳で35年ローンを組めば、完済は85歳です。
定年後は給与収入がなくなる一方、医療費、介護費、修繕費は増える可能性があります。
「退職金で返す」という計画も、退職金額や老後支出を確認していなければ危険です。
住宅ローン破綻の危険信号
次の状態が一つでもあれば、すぐに家計を見直してください。
- 毎月の給料日前に預金がほぼなくなる
- 固定資産税を賞与でしか払えない
- クレジットカードの支払いを分割へ変更した
- リボ払いやカードローンで生活費を補っている
- 車検や修繕費を借金で払っている
- 住宅ローン返済口座への入金が遅れ始めた
- 教育費の積立を取り崩している
- 返済のために別の借金をしている
特に、借金で住宅ローンを払う状態は、問題を先送りしているだけです。
払えなくなる前にすること
1.支出と借入れを全部出す
住宅ローンだけでなく、自動車ローン、カードローン、リボ払い、保険料、通信費まで一覧にします。
2.借入先の金融機関へ相談する
返済期間の延長、毎月返済額の変更、ボーナス返済の見直しなどを相談できる場合があります。
延滞してからではなく、延滞する前に連絡することが重要です。
3.家を残すことだけに固執しない
返済継続が難しい場合、早期売却を検討した方が傷を小さくできる可能性があります。
ただし、住宅ローン残高が売却価格を上回る場合は、金融機関との調整が必要です。自己判断で売却を進めず、金融機関、宅地建物取引業者、必要に応じて弁護士へ相談してください。
4.公的・専門相談を利用する
全国銀行協会相談室では、住宅ローンやカードローンの返済に困っている個人を対象に、無料のカウンセリングを行っています。必要に応じて銀行窓口や法テラスなどの案内も受けられます。全国銀行協会相談室
債務整理が必要な段階では、無資格業者ではなく弁護士などの専門家へ相談します。
俺流結論
住宅ローン破綻は、住宅ローンを借りた後ではなく、家の予算を決めた時点から始まっています。
住宅会社が、
「審査は通ります」
「月々は家賃並みです」
「50年ローンなら買えます」
「退職金で返せます」
と言っても、教育費や老後資金が不足したときに責任を取ってくれるわけではありません。
契約前に確認すべきなのは次の5点です。
- 金利3%でも返済できるか
- 一方の収入が減っても耐えられるか
- 教育費が最大になる年も黒字か
- 70歳前後までに完済できるか
- 90歳時点で現金が残るか
家を売るために返済期間を延ばすのではなく、家族を守るために住宅総額を下げる。この提案ができる住宅会社を選ぶべきです。
住宅ローン破綻を防ぐ最善策は、困ってから節約することではありません。最初から借りすぎないことです。










