Q. 共働きローンは安全?
A. 片方の収入が減っても返済できる借入額なら安全です。夫婦の年収を満額使わなければ買えない家は危険です。
共働き世帯は、夫婦の収入を合算することで借入可能額を増やせます。
しかし、銀行が見るのは現在の年収です。出産、育児、病気、介護、転職、離婚などによる将来の収入減少まで保証してくれるわけではありません。
共働きローンの安全性は、「現在の世帯年収で返せるか」ではなく、次の基準で判断します。
片方の収入が20~30%減っても、教育費と貯蓄を守りながら返済できるか
共働きで住宅ローンを組む3つの方法
共働き世帯の住宅ローンには、主に次の方法があります。
| 組み方 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 単独ローン | 夫婦どちらか一人で借りる | 借入可能額は抑えられる |
| 収入合算 | 一人が債務者となり、配偶者の収入を合算する | 団信の対象者を要確認 |
| ペアローン | 夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りる | 手数料・登記費用が2本分になる場合がある |
フラット35の収入合算では、一定の要件を満たす配偶者などの年収を全額まで合算できます。ただし、合算額が収入合算者の年収の50%を超えると、借入期間が短くなる場合があります。
参考:フラット35・収入合算
借入可能額を増やせる制度と、安全に返せる制度は同じではありません。
世帯年収700万円でも安全とは限らない
次の家庭で考えてみます。
- 夫の年収:400万円
- 妻の年収:300万円
- 世帯年収:700万円
- 借入額:4,500万円
- 金利:1.5%
- 返済期間:35年
- ボーナス返済なし
この場合、毎月返済額は約13万8,000円です。
年間返済額は約165万円となり、世帯年収700万円に対する返済負担率は約24%です。
夫婦で働き続けられれば、極端に高い数字には見えません。
しかし、妻の収入がなくなれば、夫の年収400万円に対する返済負担率は約41%になります。
| 状況 | 年収 | 年間返済額の割合 |
|---|---|---|
| 夫婦ともに就業 | 700万円 | 約24% |
| 妻の収入がゼロ | 400万円 | 約41% |
| 妻の年収が150万円へ減少 | 550万円 | 約30% |
ここに固定資産税、火災保険、車の買い替え、住宅修繕費、教育費が加わります。
「共働きなら返せる」は、「共働きを35年間続けなければ返せない」という意味にもなります。
妻の収入をゼロで考える必要はない
安全を重視するからといって、妻または夫の収入を完全にゼロとして住宅予算を決める必要はありません。
現実的には、収入減少を次の3段階で試算します。
通常ケース
現在の夫婦収入が続く場合です。
毎月返済、教育費、車、修繕費、老後資金を計算します。
収入減少ケース
片方の収入が20~30%減少する場合です。
育児による時短勤務、転職、残業減少などを想定します。
一馬力ケース
片方の収入が一定期間なくなる場合です。
病気、介護、退職などが起きても、最低1~2年間は住宅ローンを返せるか確認します。
最悪の状況だけで予算を決めるのではなく、起こり得る収入変化に家計が耐えられるかを確認することが重要です。
出産後も同じ収入とは限らない
住宅会社の資金計画では、現在の夫婦年収が35年間続く前提で計算されることがあります。
しかし、出産後には次の変化が考えられます。
- 育児休業による収入減少
- 時短勤務
- 残業代の減少
- 保育料の発生
- 子どもの病気による欠勤
- 正社員からパート勤務への変更
- 第二子の出産
- 教育費の増加
「育休後は復職する予定」だけで判断せず、復職後の手取り収入と保育料まで確認します。
特に、夫婦の収入を満額合算して借入上限まで住宅を購入すると、働き方を変える自由を失います。
山梨県では車の費用も外せない
山梨県の共働き世帯では、夫婦それぞれに車が必要になる場合があります。
住宅ローン以外にも、次の費用が発生します。
- 自動車ローン
- ガソリン代
- 自動車保険
- 車検
- 自動車税
- タイヤ交換
- 10年前後ごとの買い替え
住宅ローンは払えても、車の買い替え時に現金がなく、再び自動車ローンを組めば家計負担が増えます。
共働きローンを計算するときは、住宅費だけでなく、夫婦2台分の車両費まで入れる必要があります。
ペアローンは団信の仕組みに注意する
ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを契約します。
例えば、夫が2,500万円、妻が1,500万円を借りた場合、夫に万一のことがあれば、一般的には夫のローンが団信で返済されます。
しかし、妻の1,500万円は残ります。
反対に、妻に万一のことがあった場合も、夫のローンは残ります。
金融機関によっては夫婦連生団信などもありますが、保障内容や金利上乗せは商品ごとに異なります。
次の点を契約前に確認してください。
- どちらが団信へ加入するのか
- 片方が死亡したとき、どのローンが残るのか
- がん・三大疾病保障の対象
- 金利上乗せの有無
- 休職や収入減少は保障されるのか
「夫婦とも団信に入れるから安心」ではなく、万一の後に残る住宅ローンと生活費を計算する必要があります。
住宅ローン控除だけでペアローンを選ばない
ペアローンでは、要件を満たせば夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
ただし、税額から控除する制度なので、所得税や住民税が少なければ、計算上の控除額をすべて利用できない場合があります。
また、住宅の資金負担割合と登記持分が異なると、夫婦間の贈与と判断される可能性があります。
国税庁も、実際の購入資金の負担割合と所有権の持分割合が異なる場合、贈与税の問題が生じることがあると説明しています。
住宅ローン控除を増やすことだけを目的にせず、借入割合、返済負担、登記持分を税理士や司法書士へ確認してください。
共働きローンを安全にする5つの基準
1. 片方の収入を満額合算しない
借りられる額を増やすために、夫婦の年収を限界まで使わないことです。
配偶者収入の50~70%程度で試算し、収入減少への余白を確保します。
2. 生活費6~12か月分の現金を残す
頭金や諸費用へ預金を使い切らず、収入減少に対応できる現金を残します。
3. 教育費が最も高い時期を確認する
現在の保育料だけでなく、高校・大学進学時の住宅ローン残高まで確認します。
4. 夫婦それぞれの完済年齢を確認する
35年ローンを組めるかではなく、70歳前後までに無理なく完済できるかを確認します。
5. 金利上昇後も試算する
変動金利なら、現在の金利だけでなく、金利が1%・2%上昇した場合も計算します。
俺流結論
共働きローンそのものが危険なのではありません。
危険なのは、夫婦の収入が一度も減らない前提で、借入可能額の上限まで住宅を購入することです。
共働きによって増やすべきものは、借入額ではありません。
教育費、車の買い替え資金、住宅修繕費、老後資金を守る余力です。
「夫婦なら5,000万円借りられます」という提案より、「片方の収入が減っても、この金額なら返せます」という提案の方が、本当の資金計画です。
デザインハウス甲府では、現在の世帯年収だけでなく、収入減少、教育費、車、修繕費、金利上昇、完済年齢を含めて90歳まで確認します。
住宅会社が売れる金額ではなく、家族が安全に暮らせる金額から住宅予算を決めてください。










