Q. 子ども一人育てるといくら必要?
A. 生活費まで含めると、大学卒業までに約2,000万〜3,000万円を見ておくべきです。
ただし、これは22年間で支払う総額です。
住宅購入時に特に警戒すべきなのは、教育費が急増する高校・大学の時期です。
子育て費用は、大きく分けて次の2つです。
- 食費・衣服・医療・通信・小遣いなどの生活費
- 授業料・教材・塾・習い事・大学進学などの教育費
「子ども一人にいくらかかるか」について、生活費まで含めた統一的な最新公的統計はありません。
そのため住宅資金計画では、教育費を公的統計から計算し、生活費を各家庭の実態に合わせて加える必要があります。
幼稚園から高校までの教育費
文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」を基に、幼稚園3年間、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間の学習費を合計すると、次のようになります。
| 進学コース | 幼稚園から高校まで |
|---|---|
| すべて公立 | 約599万円 |
| 幼稚園のみ私立・小中高は公立 | 約648万円 |
| 幼稚園と高校が私立・小中は公立 | 約778万円 |
| 幼稚園から高校まですべて私立 | 約1,978万円 |
学習費には、授業料だけでなく、学校給食費、教材、学用品、塾、家庭教師、習い事なども含まれます。
小学校を私立にするかどうかで、総額は大きく変わります。詳しい調査結果は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」で確認できます。
公立でも教育費は無料ではない
すべて公立でも、高校卒業までに約599万円です。
1年当たりで単純平均すると約40万円ですが、毎年同じ金額が必要になるわけではありません。
| 学校区分 | 公立の年間学習費 |
|---|---|
| 幼稚園 | 約18万円 |
| 小学校 | 約34万円 |
| 中学校 | 約54万円 |
| 高校 | 約60万円 |
中学校以降は、塾代、部活動費、受験料、制服、交通費などが増えます。
「公立だから教育費はほとんどかからない」という前提で住宅ローンを組むのは危険です。
大学進学でさらに大きなお金が必要になる
高校までの約599万円に加えて、大学の入学金、授業料、教材費、通学費などが必要です。
自宅外通学になれば、家賃や生活費の仕送りも発生します。
住宅資金計画で使う目安は次のとおりです。
| 大学進学パターン | 4年間の目安 |
|---|---|
| 国公立・自宅通学 | 約250万〜500万円 |
| 国公立・自宅外通学 | 約650万〜800万円 |
| 私立・自宅通学 | 約500万〜800万円 |
| 私立・自宅外通学 | 約900万〜1,100万円以上 |
学部によっても大きく異なり、医学部、歯学部、薬学部、芸術系ではさらに高額になる場合があります。
大学費用については大学進学で本当にかかるお金とは?でも詳しく解説しています。
進学コース別の教育費総額
幼稚園から大学までの教育費をまとめると、おおよそ次の範囲になります。
| 進学コース | 教育費の目安 |
|---|---|
| 公立中心・国公立大学・自宅 | 約850万〜1,100万円 |
| 公立中心・私立大学・自宅 | 約1,100万〜1,400万円 |
| 公立中心・私立大学・自宅外 | 約1,500万〜1,700万円 |
| 私立中心・私立大学 | 約2,400万円以上 |
これは教育費を中心とした金額です。
食費、衣服、医療、スマートフォン、小遣い、旅行、レジャーなどの日常生活費は別にかかります。
そのため、生活費まで含めた子育て総額は、一人約2,000万〜3,000万円を想定しておくのが現実的です。
子ども二人なら単純に倍とは限らない
子ども一人2,500万円なら、二人で5,000万円と聞くと、不安になるかもしれません。
しかし、すべての費用を今すぐ準備するわけではありません。
衣類、家具、おもちゃなどを共有できる一方、大学費用や塾代は子どもの人数分必要です。
特に注意すべきなのが、兄弟の大学進学が重なる家庭です。
例えば、大学費用と仕送りが一人年間200万円かかれば、二人が重なる2年間は年間400万円です。
住宅ローンの返済が月10万円なら、年間の住宅費と教育費だけで520万円になります。
この時期に車の買い替えや住宅修繕まで重なれば、年収が高くても家計は急激に苦しくなります。
月額表示の住宅ローンに注意する
住宅営業から、
「月々8万円なら、今の家賃と変わりません」
と言われても、それだけで判断してはいけません。
現在の家賃と住宅ローンが同額でも、子どもの成長とともに次の支出が増えます。
- 食費
- 塾・習い事
- スマートフォン
- 高校・大学の通学費
- 受験料と入学金
- 一人暮らしの仕送り
- 車の購入費
- 住宅の修繕費
今払える住宅ローンと、10年後も払える住宅ローンは違います。
住宅予算300万円の差が教育資金を変える
住宅に300万円追加しても、35年ローンでは月々の差が小さく見えます。
しかし、その300万円が教育資金として残っていれば、次の費用に使えます。
- 私立大学の入学金と授業料
- 自宅外通学の家賃と仕送り
- 高校・大学の受験費用
- 奨学金を減らす資金
家を少し広くするための300万円と、子どもの奨学金を300万円減らすためのお金。
どちらを優先するかは、住宅契約前に決めなければなりません。
契約後に住宅予算を教育費へ戻すことは難しいからです。
教育費はいくら貯めるべき?
一つの目安として、大学入学までに子ども一人500万円を準備する計画が考えられます。
| 子どもの現在年齢 | 大学までの期間 | 500万円を貯める月額 |
|---|---|---|
| 0歳 | 18年 | 約2万3,200円 |
| 5歳 | 13年 | 約3万2,100円 |
| 8歳 | 10年 | 約4万1,700円 |
| 12歳 | 6年 | 約6万9,500円 |
運用益、児童手当、すでにある貯蓄は含めていない単純計算です。
子どもが8歳なら、大学まで残り10年しかありません。
住宅ローンを組んだ後に教育資金を考えるのではなく、教育資金の積立額を先に確保し、残った金額から住宅返済額を決めるべきです。
住宅購入前に確認する数字
住宅会社へ行く前に、最低でも次の数字を確認してください。
- 子どもの人数と年齢差
- 公立・私立の希望
- 大学進学の想定
- 自宅通学・自宅外通学の可能性
- 現在の教育資金
- 毎月積み立てられる金額
- 大学進学時の住宅ローン残高
- 夫婦どちらかの収入が減った場合の不足額
進路は将来変わるため、最安の進学コースだけで住宅予算を決めてはいけません。
少なくとも「私立大学へ自宅外通学」になった場合まで確認しておくと、計画の安全性が高まります。
俺流結論
子ども一人を大学卒業まで育てるなら、生活費を含めて約2,000万〜3,000万円を想定しておくべきです。
しかし、本当に怖いのは総額ではありません。
教育費が最も増える高校・大学の時期に、高すぎる住宅ローンが残っていることです。
住宅会社は家が完成すれば代金を受け取れます。しかし、お客様はその後も住宅ローンを返しながら、子どもの進学費用を支払います。
家を売るために教育費を小さく見積もる資金計画は、正しい住宅資金計画ではありません。
「借りられる住宅ローン額」から家を決めるのではなく、教育費、車、修繕費、老後資金を先に確保する。
その残りが、本当に住宅へ使える予算です。










