Q. 家を買うとお金が貯まらないは本当?
A. 家を買っただけで貯金できなくなるわけではありません。住宅予算を上げすぎると、本当に貯まらなくなります。
家を買っても、教育費、車、修繕費、老後資金を積み立てられる家庭はあります。
一方、住宅ローン審査に通る限界まで借り、頭金や家具・家電に預金を使い切れば、年収が高くてもお金は貯まりません。
問題は持ち家か賃貸かではありません。
家を買った後に、
「毎月いくら残るのか」
「毎年発生する費用はいくらか」
「将来の支出を積み立てられるか」
を計算しているかです。
家を買うとお金が貯まらなくなる5つの理由
住宅購入後に貯金できなくなる家庭には、共通する原因があります。
- 住宅ローンを借りすぎた
- 入居時に預金を使いすぎた
- 住宅ローン以外の費用を計算していなかった
- 家具・家電・外構を追加しすぎた
- 教育費や車の積立を後回しにした
「家を買ったから貯まらない」のではなく、建築後の家計を確認せずに買ったから貯まらなくなるのです。
理由1|住宅ローン返済額だけで判断した
住宅広告では、
「月々8万円台」
「家賃並みで新築」
という表示が使われます。
しかし、持ち家に必要なのは住宅ローンだけではありません。
例えば、住宅ローン返済額が月9万円の場合でも、実際の住宅費は次のようになります。
| 項目 | 月平均の想定例 |
|---|---|
| 住宅ローン | 9万円 |
| 固定資産税積立 | 1万円 |
| 火災・地震保険積立 | 3,000円 |
| 住宅修繕積立 | 1万5,000円 |
| 合計 | 11万8,000円 |
「月9万円なら払える」と判断しても、実質的には月11万8,000円を住宅用に確保する必要があります。
差額は月2万8,000円、年間33万6,000円です。
この金額を計算していなければ、以前はできていた貯金ができなくなります。
理由2|購入時に現金を使いすぎた
住宅購入時には、次のような支出が短期間に重なります。
- 頭金
- 契約金
- 登記費用
- 住宅ローン手数料
- 火災・地震保険
- 引っ越し
- 家具・家電
- カーテン
- エアコン
- 外構工事
貯金600万円から頭金300万円を入れ、家具・家電や諸費用に200万円使えば、残る現金は100万円です。
毎月の生活費が30万円なら、約3か月分しかありません。
その後に車検、家電の故障、病気、進学費用が重なれば、新たなローンやクレジット払いに頼る可能性があります。
頭金を多く入れることより、入居後の現金を残すことが重要です。
理由3|新築に合わせて生活水準を上げた
家を買った直後は、気持ちが大きくなりやすい時期です。
- ソファを買い替える
- 大型テレビを購入する
- 家電をすべて新しくする
- 高額なダイニングセットを選ぶ
- 庭やカーポートを追加する
- 新居に合わせて車も買い替える
一つひとつは必要に見えても、合計すると数百万円になる場合があります。
特に危険なのが、
「住宅ローンに比べれば数十万円は小さい」
という感覚です。
10万円の追加を10回行えば100万円です。
住宅契約後は金銭感覚が変化しやすいため、家具・家電・外構にも最初から上限予算を設定する必要があります。
理由4|教育費が増える時期を見ていない
子どもが小さい時期は、住宅ローンを払っても家計に余裕があるように見えます。
しかし、教育費は子どもの成長とともに増える傾向があります。
- 塾・習い事
- 部活動
- スマートフォン
- 高校の通学費
- 受験料
- 大学の入学金・授業料
- 自宅外通学の仕送り
子どもが8歳なら、大学進学まで約10年です。
大学資金500万円を運用益なしで準備するなら、単純計算で月約4万1,700円の積立が必要です。
住宅ローンを払った後に4万円以上残らない計画では、教育費の準備が難しくなります。
今月の収支ではなく、教育費が最も増える時期の収支を確認する必要があります。
理由5|ボーナスをすべて予定支出に使っている
毎月の家計が赤字でも、
「ボーナスで補えばよい」
と考える家庭があります。
しかし、ボーナスは減額や不支給の可能性があります。
さらに、ボーナスから次の費用を支払う計画になっている場合があります。
- 固定資産税
- 自動車税
- 車検
- 旅行
- 家電購入
- 保険料
- 教育費
- 住宅ローンのボーナス払い
一つのボーナスを複数の支出に使うことはできません。
毎月の生活がボーナスなしでは成立しない場合、貯金できているように見えても、年間では増えていない可能性があります。
住宅購入前後の家計を比較する
例えば、手取り月収40万円の家庭を考えます。
住宅購入前
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 生活費 | 20万円 |
| 家賃 | 8万円 |
| 教育積立 | 3万円 |
| 車・特別費積立 | 3万円 |
| 老後・予備資金 | 3万円 |
| 毎月の余裕 | 3万円 |
| 合計 | 40万円 |
毎月9万円を、教育、車、老後、予備費として残せています。
住宅購入後
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 生活費 | 20万円 |
| 住宅ローン | 10万円 |
| 税金・保険・修繕積立 | 3万円 |
| 教育積立 | 3万円 |
| 車・特別費積立 | 3万円 |
| 毎月の余裕 | 1万円 |
| 合計 | 40万円 |
表面上、住宅ローンは家賃より2万円増えただけです。
しかし、税金・保険・修繕を含めると住宅費は5万円増えています。
その結果、老後資金や予備資金へ回せるお金が減っています。
この家庭でさらに家具ローンやカーローンが加われば、貯金できなくなる可能性があります。
何%なら安全なのか?
住宅費の適正額は、年収だけでは決められません。
同じ手取り40万円でも、子どもの人数、車の台数、進学希望、現在の貯金によって異なります。
一つの目安として、住宅ローンだけではなく、固定資産税、保険、修繕積立を含む実質住宅費を手取り月収の25%前後に収められるか確認します。
手取り40万円なら約10万円です。
ただし、子どもが多い、車が二台必要、大学進学が近い家庭では、さらに低く抑える必要があります。
割合だけで判断せず、90歳までの収支と資産残高を確認することが重要です。
家を買ってもお金が貯まる家庭の特徴
住宅購入後も貯金できる家庭には、次の特徴があります。
- 借入可能額より低い住宅予算を選んだ
- 入居後も生活防衛資金を残した
- 教育費を住宅予算より先に確保した
- 固定資産税を毎月積み立てている
- 修繕費を別口座へ積み立てている
- 車を毎回ローンで購入しない
- ボーナスを返済の前提にしていない
- 共働き収入を限界まで使っていない
- 金利上昇時の返済額を確認した
- 70歳前後までの完済を目指している
「余ったら貯金する」のではなく、給料が入った時点で積立資金を別口座へ移しています。
先取り積立で家計を守る
住宅購入後は、次の積立を自動化します。
| 積立目的 | 月額例 |
|---|---|
| 教育資金 | 3万〜5万円 |
| 車の買い替え | 2万〜3万円 |
| 住宅修繕 | 1万〜2万円 |
| 固定資産税・保険 | 1万〜1万5,000円 |
| 老後資金 | 2万円以上 |
必要額は家庭によって異なります。
重要なのは、生活費を使った後に余ったお金を貯めるのではなく、必要な積立額を先に確保することです。
この積立を行うと毎月赤字になるなら、住宅ローン額または生活費を見直す必要があります。
高性能住宅なら貯まりやすくなるのか?
高断熱・高気密住宅や太陽光発電によって、光熱費を抑えられる可能性があります。
ただし、削減できた光熱費を使ってしまえば、資産は増えません。
例えば、以前より光熱費が月2万円下がった場合、その2万円を専用口座へ移せば年間24万円です。
10年間の単純合計では240万円になります。
積み立てた資金は、次の目的へ使えます。
- 住宅設備の交換
- 教育費
- 車の買い替え
- 住宅ローンの繰上返済
ただし、実際の光熱費は家族人数、生活時間、設定温度、電気料金、太陽光発電量などで変わります。
過大な光熱費削減を前提に住宅予算を増やしてはいけません。
省エネ効果を繰上返済へ回す場合
光熱費の削減分を専用口座へ積み立て、一定額に達したら期間短縮型の繰上返済へ回す方法があります。
ただし、次の場合は繰上返済を優先しません。
- 生活防衛資金が不足している
- 教育資金が不足している
- 車の買い替えが近い
- 住宅修繕が予定されている
- 収入減少の可能性がある
住宅ローンを早く返すことより、家計に使える現金を残すことが優先です。
住宅購入前に確認する5つの残高
家を買っても貯金できるか判断するには、次の数字を確認します。
1. 建築後の現金残高
頭金、諸費用、引っ越し、家具・家電を支払った後に、いくら残るか確認します。
2. 教育費の残高
大学進学時点で、子ども一人ずついくら準備できるか確認します。
3. 退職時の住宅ローン残高
定年時点で、住宅ローンがいくら残るか確認します。
4. 住宅修繕用の残高
10年後、15年後の設備交換や修繕に対応できるか確認します。
5. 90歳時点の資産残高
住宅ローン完済だけでなく、老後も現金や運用資産が残るか確認します。
毎月返済額だけを見るのではなく、人生の各時点で資産がいくら残るかを見ることが重要です。
貯金できなくなる危険信号
次の項目に当てはまる場合、住宅予算を再検討してください。
- 頭金を入れると預金がほぼなくなる
- 住宅ローンだけで手取りの30%を超える
- 固定資産税をボーナスで払う予定
- 修繕費を計算していない
- 教育積立を住宅購入後に減らす
- 家具・家電を分割払いで購入する
- カーローンが常にある
- 共働きを辞めると赤字になる
- 金利が上がると貯金を取り崩す
- 退職金で住宅ローンを返す予定
- 毎月の積立額を決めていない
一つでも該当すれば必ず危険というわけではありません。
ただし、複数該当する場合は、家を買った後にお金が貯まらなくなる可能性が高くなります。
俺流結論
「家を買うとお金が貯まらない」は、半分本当です。
正確には、
「住宅予算を上げすぎ、入居後の費用を計算しなければ、お金は貯まらない」
です。
住宅ローン審査に通った。
家賃と同じ返済額になった。
頭金を多く入れた。
これだけでは、安全な資金計画とはいえません。
固定資産税、保険、修繕、教育費、車、老後資金まで積み立てたうえで、毎月現金が残ることが必要です。
家は家族の資産になります。
しかし、家を所有していても、自由に使える現金がなく、教育費や修繕費を新たな借金で補う状態では安心できません。
建てられる金額まで住宅予算を上げるのではなく、建てた後も貯め続けられる金額に抑える。
これが、家を買ってもお金が貯まる家庭の資金計画です。










