Q. 住宅ローン完済は何歳が理想?
A. 最も安心なのは65歳まで、現実的な目標は70歳前後までの完済です。
金融機関が80歳まで貸してくれるからといって、80歳まで返してよいわけではありません。
大切なのは借りられる年齢ではなく、給与収入が減った後も返済できるかです。
「何年借りられるか」ではなく、「何歳までに返すか」から借入期間を決める。
これが老後破綻を防ぐ基本です。
70歳完済から逆算した返済期間
| 借入時年齢 | 70歳完済の返済期間 |
|---|---|
| 30歳 | 40年 |
| 35歳 | 35年 |
| 40歳 | 30年 |
| 45歳 | 25年 |
| 50歳 | 20年 |
| 55歳 | 15年 |
| 60歳 | 10年 |
例えば50歳で35年ローンを組めば、完済は85歳です。
月々の返済額は安く見えても、年金生活に入ってから20年間返済が続く可能性があります。
年金生活に住宅ローンを残す危険
2026年度の標準的な厚生年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額23万7,279円です。ただし、平均的な収入で40年間就業した場合のモデルであり、すべての家庭がこの金額を受給できるわけではありません。日本年金機構
また、総務省の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は次の結果です。総務省統計局
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 実収入 | 26万6,377円 |
| 可処分所得 | 約23万1,198円 |
| 消費支出 | 26万3,979円 |
| 毎月の不足 | 約3万2,781円 |
平均でも、生活費だけで毎月約3万3,000円不足しています。
ここへ住宅ローン8万円が残れば、
約3万3,000円+8万円
=毎月約11万3,000円の不足
年間では約136万円です。
住宅ローン以外にも、固定資産税、設備交換、住宅修繕、医療費、介護費がかかります。年金で住宅ローンを払う計画は、想像以上に厳しくなります。
「月々を下げるための長期ローン」に注意
50歳で2,000万円を金利1.5%、ボーナス払いなしで借りる場合の概算です。
| 返済期間 | 毎月返済額 | 完済年齢 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 20年 | 約9万7,000円 | 70歳 | 約2,316万円 |
| 35年 | 約6万1,000円 | 85歳 | 約2,572万円 |
35年返済なら毎月約3万6,000円安く見えます。しかし、返済が15年長くなり、支払総額も約256万円増えます。
住宅営業から「35年にすれば月々6万円台です」と言われても、家が安くなったわけではありません。負担を老後へ送っただけです。
70歳完済が難しい場合の対策
1.住宅総額を下げる
最も確実な対策です。
必要以上に広い家、過剰な設備、見栄のためのオプションを見直します。ただし、耐震、断熱、気密、換気など、後から改善しにくい基本性能は削るべきではありません。
2.返済期間は長めに組み、計画的に期間短縮する
契約上の返済期間に余裕を持たせ、毎月の返済額を抑えながら、余裕資金を専用口座へ積み立てます。
50万円など一定額が貯まった時点で、手元資金を確認して期間短縮型の繰上返済を行います。
ただし、「将来必ず繰上返済する」という希望だけで高額な家を買ってはいけません。
3.光熱費削減分を返済原資にする
高断熱・高気密化と太陽光発電によって削減できた光熱費を、生活費へ混ぜず専用口座へ積み立てます。
毎月2万円なら年間24万円、10年間で240万円です。計画的な繰上返済に使えば、完済年齢を前倒しできます。
4.退職後の収入を保守的に見る
「70歳まで働く予定」は、確定収入ではありません。
健康状態、勤務先の制度、給与低下を考慮し、原則として年金中心でも生活できる計画にします。
退職金で完済すればよい?
退職金で住宅ローンを一括返済する計画には注意が必要です。
仮に退職金1,500万円からローン残高1,000万円を返せば、残る現金は500万円です。そこから25年間生活するとすれば、単純計算で年間20万円しか使えません。
医療費、介護費、車の買い替え、住宅修繕を考えれば、十分とはいえません。
退職金は住宅ローン専用のお金ではなく、老後を守る最後の資金です。
俺流結論
住宅ローンの理想的な完済年齢は65歳、遅くても70歳前後を目標にします。
ただし、70歳完済のために預金や退職金を使い切ってはいけません。
確認すべきなのは次の3点です。
- 70歳時点の住宅ローン残高
- 完済後に残る現金・金融資産
- 90歳までの生活費、修繕費、医療・介護費
金融機関が85歳までの返済を認めても、それは「85歳まで安全に返せる」という保証ではありません。
老後に残すべきものは住宅ローンではなく、生活を守る現金です。家の予算は70歳完済から逆算して決めるべきです。










