Q. 「紹介料を建築費へ上乗せしない」は、本当に可能?
A. 可能です。住宅会社が紹介費用を自社の利益で吸収する、別の広告費を削る、受注増による経営効率で補うなどの方法があります。ただし、上乗せしないからといって費用が消えるわけではありません。「紹介された顧客へ個別加算しない」と「住宅価格や会社経営へ一切影響しない」は別の話です。
無料住宅相談会社から、
「住宅会社が支払う費用は、あらかじめ確保された広告予算から出るため、お客様の建築費へ上乗せされることはありません」
と説明されることがあります。
本当にそんなことが可能なのでしょうか。
結論から言えば、可能です。
住宅会社が紹介費用を必ず顧客の見積りへ直接加算しなければならないという決まりはありません。
ただし、住宅会社が支払う費用そのものがなくなるわけではありません。
どこかで負担・吸収する必要があります。
「上乗せしない」には複数の意味がある
住宅会社が、
「紹介料を建築費へ上乗せしません」
と言った場合、少なくとも次の意味が考えられます。
- 紹介されたお客様だけに個別加算しない
- すべてのお客様の価格へ広告費として含めている
- 住宅会社が自社の利益で負担する
- ほかの広告費を削って捻出する
- 受注増による経営効率で吸収する
どの意味なのかによって、購入者への影響は違います。
「上乗せしません」という言葉だけでは、費用を誰が負担するか分かりません。
方法1.住宅会社が利益で吸収する
最も単純なのは、紹介費用を住宅会社の利益から支払う方法です。
建築金額3,000万円、紹介関連費用5%、150万円と仮定します。
住宅会社が価格を変えず、予定していた利益から150万円を支払えば、紹介されたお客様の価格へ個別に上乗せする必要はありません。
例えば、単純化した計算では次のようになります。
| 内容 | 紹介費用なし | 紹介費用あり |
|---|---|---|
| 建築金額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 工事原価 | 2,400万円 | 2,400万円 |
| 粗利益 | 600万円 | 600万円 |
| 紹介関連費用 | 0円 | 150万円 |
| 費用支払い後 | 600万円 | 450万円 |
購入者の建築金額は3,000万円のままです。
この意味では、「上乗せしていない」という説明は成立します。
ただし、住宅会社が使えるお金は150万円減っています。
利益が減っても本当に影響はない?
住宅会社の利益は、経営者の取り分だけではありません。
次のために必要です。
- 社員の給与
- 事務所の維持
- 現場管理
- 社員教育
- アフターサービス
- 保証対応
- 不具合発生時の補修
- 新しい技術への投資
- 資材高騰への備え
- 会社存続のための内部留保
紹介費用を一件だけ利益で負担するなら、大きな問題にならない会社もあるでしょう。
しかし、年間20件、30件と成約すれば、支払額も大きくなります。
一件150万円として計算すると、
| 年間成約件数 | 年間支払額 |
|---|---|
| 5件 | 750万円 |
| 10件 | 1,500万円 |
| 20件 | 3,000万円 |
| 30件 | 4,500万円 |
年間3,000万円、4,500万円を継続的に利益から負担すれば、会社経営へ影響する可能性があります。
個別の建築費へ上乗せしていなくても、購入者と完全に無関係とは言えません。
方法2.別の広告費を削る
住宅会社が紹介サービスを利用する代わりに、ほかの広告を減らす方法もあります。
例えば、
- 新聞広告をやめる
- チラシを減らす
- ポータルサイト掲載をやめる
- モデルハウスを減らす
- 住宅展示場から撤退する
- SNS広告を減らす
- 営業担当者の人数を抑える
といった方法です。
従来、自社で一組のお客様を獲得するために150万円以上かかっていたなら、相談会社へ150万円支払っても、販売経費全体は増えない可能性があります。
例えば、
| 集客方法 | 一契約を得るための費用 |
|---|---|
| 従来の広告 | 180万円 |
| 相談会社経由 | 150万円 |
| 削減額 | 30万円 |
この場合、相談会社を利用したほうが一契約当たり30万円安くなります。
住宅価格へ新たに上乗せしなくても、広告費全体を維持できます。
紹介費用だけを見ても判断できない
相談会社へ150万円支払っているからといって、住宅会社の広告費が150万円増えたとは限りません。
それまで使っていた広告費が減っていれば、会社全体の販売経費は変わらない可能性があります。
反対に、従来の広告を一切減らさず、紹介費用だけが追加されたなら、販売経費は増えます。
確認すべきなのは、
紹介会社へいくら払ったかだけでなく、会社全体の広告費が増えたのか。
という点です。
方法3.受注増による効率化で吸収する
紹介サービスによって契約棟数が増えれば、一棟当たりの固定費が下がる可能性があります。
住宅会社には、建築棟数に関係なく発生する費用があります。
- 事務所の家賃
- 経理・総務の人件費
- 車両費
- システム費
- 建設業許可などの維持費
- 電話・通信費
- 基本的な広告費
例えば、年間固定費が6,000万円の会社で考えます。
| 年間建築棟数 | 一棟当たりの固定費 |
|---|---|
| 20棟 | 300万円 |
| 30棟 | 200万円 |
| 40棟 | 150万円 |
年間20棟から30棟へ増えれば、一棟当たりの単純な固定費は300万円から200万円へ下がります。
紹介費用が発生しても、受注増による効率化がそれを上回れば、住宅価格へ個別に上乗せせずに済む可能性があります。
棟数が増えれば必ず効率化するわけではない
受注棟数が増えると、次の費用も増える可能性があります。
- 営業担当者の採用
- 設計担当者の採用
- 現場監督の採用
- 車両
- 事務所
- アフターサービス
- 外注費
- システム費
急激に棟数を増やせば、社員一人当たりの担当案件が増え、設計や現場管理の質が下がる可能性もあります。
紹介サービスで契約を増やせば、必ず経営効率が上がるとは限りません。
適正な施工体制を維持できることが前提です。
方法4.全契約者の価格へ含める
紹介されたお客様だけには個別加算せず、年間広告費を全住宅の価格へ含める方法があります。
この場合、紹介経由でも直接問い合わせでも価格は同じになります。
例えば、年間紹介関連費用1,000万円、年間建築棟数40棟なら、一棟当たりの単純平均は25万円です。
| 年間紹介関連費用 | 年間建築棟数 | 一棟当たり |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 40棟 | 25万円 |
紹介されたお客様へ150万円を個別加算するのではなく、全契約者へ広く分散します。
この方法でも、
「紹介されたお客様へ個別に上乗せしていません」
という説明は成立します。
しかし、相談サービスを利用していないお客様も、会社全体の広告費を間接的に負担する可能性があります。
方法5.値引きやサービスで調整する
本体価格へ明確に加算せず、値引きやサービス内容で紹介費用を調整する方法も考えられます。
例えば、
| 内容 | 直接問い合わせ | 紹介経由 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 値引き | 100万円 | 0円 |
| 最終金額 | 2,900万円 | 3,000万円 |
本体価格は同じです。
見積書にも紹介料の項目はありません。
しかし、実質的には100万円の条件差があります。
また、次の内容が異なる場合もあります。
- 設計料
- オプション値引き
- 照明・カーテン
- エアコン
- 太陽光発電
- 外構
- 無料点検
- 保証サービス
「建築費へ上乗せしていない」という説明だけでなく、値引きやサービス条件も同じか確認する必要があります。
価格へ上乗せしているかを外部から証明するのは難しい
注文住宅では、一棟ごとに設計、面積、仕様、土地条件が異なります。
そのため、
「紹介経由だから150万円高くなった」
と外部から証明するのは簡単ではありません。
価格差があっても、次の理由かもしれません。
- 面積が違う
- 窓や設備が違う
- 土地条件が違う
- 見積時期が違う
- 資材価格が改定された
- キャンペーンが違う
- 営業担当者が違う
特定の費用がそのまま上乗せされたと断定するには、同じ図面、同じ仕様、同じ時期、同じ契約条件で比較する必要があります。
「上乗せなし」を確認する方法
住宅会社へ、次の条件がすべて同じか確認してください。
- 建物本体価格
- 標準仕様
- 付帯工事
- 設計料
- オプション単価
- 値引き
- サービス工事
- 契約特典
- 保証内容
- 最終総額
そのうえで、次のように質問します。
紹介経由でも直接問い合わせでも、同じ図面・仕様・工事範囲なら、値引きやサービスを含む最終条件は同じですか?
口頭だけでなく、可能なら書面やメールで回答を残してもらいましょう。
「お客様の価格は上がりません」の根拠
相談会社が住宅価格へ上乗せされないと説明するなら、どの仕組みによって上がらないのかを確認してください。
- 住宅会社が利益で負担する
- ほかの広告費を削る
- 全顧客へ広告費を分散する
- 受注増による効率化で吸収する
- 相談会社の費用に上限がある
- 紹介経由の価格差を禁止している
- 住宅会社へ同一価格の誓約を求めている
- 価格を確認・監査している
単に、
「住宅会社が広告予算から払うためです」
という説明だけでは、価格へ影響しない根拠として不十分です。
上乗せしないことと相談料が無料であること
相談者が相談料を支払わないことは確認できます。
相談窓口で料金を請求されなければ、利用者にとって直接の相談料は0円です。
しかし、紹介費用を住宅価格へ上乗せしていないかどうかは、相談者からは見えません。
ここを混同してはいけません。
- 相談料が無料:相談者へ請求しない
- 紹介費用を上乗せしない:住宅価格へ個別反映しない
- 誰も負担しない:費用自体が存在しない
この三つは、それぞれ別の意味です。
紹介サービスの価値が費用を上回る場合
紹介サービスを利用することで、住宅会社が次の効果を得られるなら、価格へ上乗せせずに済む可能性があります。
- 自社広告を削減できる
- 営業活動を効率化できる
- 契約可能性の高い相談者と会える
- 商談期間を短縮できる
- 契約棟数を安定させられる
- モデルハウスなどの固定費を減らせる
相談者側にも、
- 会社探しの時間を減らせる
- 複数社を比較できる
- 断りを代行してもらえる
- 予算を整理できる
- 契約後の追加費用を防げる
などの価値があります。
費用が存在すること自体ではなく、その費用以上の価値が提供されているかを判断するべきです。
利用前に確認する質問
「上乗せしない」という説明を確認するため、次の質問をしてください。
- 紹介されたお客様へ個別加算しないという意味ですか
- 全契約者の価格へ広告費を含めていますか
- 住宅会社が利益から負担しますか
- ほかの広告費を削って負担しますか
- 紹介経由と直接問い合わせで本体価格は同じですか
- 値引きやサービス条件も同じですか
- 紹介経由限定の特典は価格に含まれていますか
- 紹介費用がなければ価格は下がりますか
- 上乗せしないことをどのように確認していますか
- 同一条件での価格差を書面で説明できますか
「上乗せしません」という結論だけでなく、その根拠を聞いてください。
最終結論
紹介料を建築費へ個別に上乗せしないことは可能です。
住宅会社が利益で負担する。
ほかの広告費を削る。
受注増による効率化で吸収する。
全契約者の価格へ広く分散する。
さまざまな方法があります。
しかし、紹介費用そのものが消えるわけではありません。
必ず、価格、利益、広告費、原価、サービスのどこかで負担します。
したがって、
「紹介されたお客様へ個別に上乗せしません」
という説明と、
「住宅価格や住宅会社の経営へ一切影響しません」
という説明は同じではありません。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「上乗せしないのであれば、その費用を具体的にどこで吸収しているのですか?」
この質問へ数字と仕組みで答えられるかどうか。
それが、「上乗せしない」という説明の信頼性を判断する方法です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










