Q. 紹介費用を住宅の性能や設備へ使ったほうが、購入者の利益になる?
A. 相談サービスが住宅会社を紹介するだけなら、その費用を断熱・耐震・窓・品質検査・借入削減などへ使ったほうが、購入者の利益になる可能性があります。一方、正確な資金計画や見積り確認によって、紹介費用を上回る失敗を防げるなら利用価値があります。重要なのは、費用に対して何をしてくれるかです。
建築金額3,000万円で、住宅会社が相談会社へ5%相当を支払うと仮定すると、費用は150万円です。
4,000万円なら200万円。
5,000万円なら250万円です。
相談者は窓口で料金を払いませんが、住宅会社側には大きな販売経費が発生する可能性があります。
それでは、その100万~250万円を住宅相談会社へ支払うのではなく、住宅そのものへ使ったほうが、購入者にとって得なのでしょうか。
これは、相談サービスが提供する価値によって答えが変わります。
150万円には別の使い道がある
家づくりの予算は無限ではありません。
一つの項目へ150万円を使えば、ほかの項目へ使える金額は150万円減ります。
これを「機会費用」と考えることができます。
紹介関連費用150万円には、例えば次の使い道があります。
- 住宅ローンの借入額を減らす
- 断熱性能を高める
- 窓の性能を高める
- 耐震性能を確認・向上する
- 気密測定を行う
- 第三者検査を増やす
- 太陽光発電などの設備へ使う
- 外構工事へ使う
- 地盤改良などの予備費にする
- 将来の修繕資金として残す
- 家具・家電・引越し費用へ充てる
どれが最も有利かは、住宅の仕様、地域、家族構成によって異なります。
しかし、150万円があれば、家づくりの選択肢が大きく広がることは確かです。
1.住宅ローンの借入額を減らす
最も確実な使い方は、住宅ローンの借入額を減らすことです。
仮に150万円を35年間、金利年1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りた場合、概算では次のようになります。
| 内容 | 概算 |
|---|---|
| 借入増加額 | 150万円 |
| 毎月返済の増加 | 約4,600円 |
| 35年間の総返済額 | 約193万円 |
| 利息部分 | 約43万円 |
実際の金利や返済方法によって結果は変わります。
また、紹介費用がそのまま購入者の借入額へ加算されると断定するものではありません。
しかし、住宅価格を150万円抑えられれば、元金だけでなく利息負担も減らせます。
毎月4,600円は小さく見えても、35年間では大きな差になります。
2.断熱性能へ使う
断熱性能は、完成後に大きく変更しにくい部分です。
例えば、予算を次のような部分へ使う選択があります。
- 屋根・天井の断熱
- 壁の断熱
- 床・基礎の断熱
- 断熱欠損を防ぐ施工
- 高性能な窓
- 玄関ドア
- 熱橋対策
- 日射遮蔽
断熱性能が上がれば、冷暖房費だけでなく、室温差、結露、快適性にも関係します。
キッチンやトイレは将来交換できます。
しかし、壁の中の断熱材や窓を完成後に全面改修するには、大きな費用がかかります。
予算が限られるなら、後から変更しにくい部分へ優先的に使う考え方があります。
3.耐震性能と構造確認へ使う
耐震等級の取得、許容応力度計算、基礎設計、構造材、接合部など、住宅の安全性に関わる部分へ使う方法もあります。
重要なのは、
「耐震等級3相当」
という営業表現だけではなく、どの計算方法で確認したかです。
紹介費用の一部を使って、
- 正式な構造計算
- 地盤調査
- 基礎設計
- 第三者による確認
- 工事中の施工検査
を充実させるほうが、購入者にとって価値が高い場合があります。
住宅会社を紹介してもらうことより、実際に建てる住宅の安全性を確認することへ予算を使うという考え方です。
4.気密測定や施工検査へ使う
住宅性能は、カタログの数字だけでは決まりません。
断熱材、気密処理、防水、構造金物などが、現場で正しく施工される必要があります。
予算を次の確認へ使うこともできます。
- 工事中の気密測定
- 完成時の気密測定
- 防水検査
- 構造金物検査
- 断熱施工検査
- 配筋検査
- 工事写真の記録
- 第三者ホームインスペクション
紹介会社のアドバイザーが住宅会社を推薦しても、すべての建築現場を継続的に確認するわけではありません。
実際に建てる一棟の施工を確認する費用へ回すほうが、直接的に品質向上へつながる場合があります。
5.将来の修繕費として残す
新築時に設備を豪華にするだけでなく、将来の修繕資金として残す方法もあります。
住宅では、長期間に次の費用が発生します。
- 給湯器
- エアコン
- 食洗機
- トイレ
- 換気設備
- 外壁
- 屋根
- 防水
- 防蟻
- 太陽光発電設備
150万円を使い切らず、修繕用の預金として残せば、設備故障時の負担を減らせます。
住宅ローンを限度額まで借り、手元資金を使い切るより、予備費を残したほうが安全な家計もあります。
6.設備のグレードアップへ使う
キッチン、浴室、トイレなどの設備へ使う選択もあります。
ただし、設備は将来故障し、交換する可能性があります。
一方、構造、断熱、防水などは、完成後に大きく直すことが難しい部分です。
予算の優先順位は、次の順番で考えるとよいでしょう。
- 構造・耐震
- 防水・耐久性
- 断熱・気密・窓
- 施工品質の確認
- 将来の修繕資金
- 住宅設備・内装
見た目や設備だけに150万円を使うより、住宅の基本性能へ使ったほうが長期的な利益になる場合があります。
紹介費用がなければ、そのまま住宅へ使えるとは限らない
ここで注意が必要です。
住宅会社が相談会社へ150万円を支払わなくても、その150万円が自動的に購入者へ還元されるとは限りません。
住宅会社は、浮いた費用を次のように使う可能性があります。
- 住宅価格を下げる
- 標準仕様を上げる
- 値引きする
- アフターサービスを充実させる
- ほかの広告へ使う
- 会社の利益として残す
紹介費用がない住宅会社だから、必ず150万円分高性能になるわけではありません。
購入者へ還元する仕組みや価格方針が必要です。
相談サービスが費用以上の損失を防ぐ場合
無料住宅相談会社が、単に会社を紹介するだけではなく、次の支援を行う場合はどうでしょうか。
- 無理のない総予算を計算する
- 住宅ローンの可能性を早期に確認する
- 土地と建物の予算配分を行う
- 見積りの不足項目を確認する
- 契約後に増える費用を指摘する
- 住宅性能を同条件で比較する
- 契約書や保証条件を確認する
- 不適切な土地購入を止める
- 営業担当者との交渉を行う
- 契約後のトラブルへ対応する
こうした支援によって、300万円、500万円規模の予算超過や失敗を防げるなら、150万円の顧客獲得費にも価値があるかもしれません。
問題は、実際にそこまでの専門的な支援を行っているかです。
「紹介するだけ」なら費用に見合う?
相談会社が行う業務が、
- 希望条件を聞く
- 提携会社から数社を選ぶ
- 住宅会社を紹介する
- 面談日程を調整する
- 合わない会社への断りを代行する
という内容だけなら、一件100万~250万円規模の費用に見合うか、疑問を持つ人もいるでしょう。
相談者にとって便利なサービスではあります。
しかし、その費用と同じ金額を住宅性能、施工検査、借入削減へ使った場合と比較する必要があります。
アドバイザーの専門性が価値を左右する
相談サービスの価値は、担当アドバイザーの知識と経験によって大きく変わります。
確認したいのは、次の内容です。
- 建築士資格
- 施工管理経験
- 住宅営業経験
- 住宅ローンの知識
- 土地・法規の知識
- 断熱・気密の知識
- 構造・耐震の知識
- 見積書を精査する能力
- 契約書・保証書を確認する能力
- 過去の相談実績
一般的な研修と住宅会社のカタログだけで説明しているのか。
実際の設計・施工・資金計画を理解しているのか。
この違いで、相談サービスの価値は変わります。
住宅会社から報酬を受け取る場合の限界
相談会社が住宅会社から成約連動の費用を受け取る場合、相談者との利益が一致しない可能性があります。
相談者にとって最善なのが、
- 建築予算を下げる
- 低価格の会社を選ぶ
- 今は契約しない
- 紹介されていない会社を選ぶ
という判断でも、それでは相談会社の収益が減る場合があります。
本当に購入者側に立つ相談であれば、相談会社自身の収益が減っても、正しい助言ができなければなりません。
相談料を購入者が直接払う方法
中立性を高める一つの方法は、購入者が専門家へ直接相談料を支払うことです。
例えば、定額で次の支援を依頼します。
- 資金計画
- 見積り比較
- 土地調査
- 契約書確認
- 住宅性能比較
- 第三者検査
相談者が費用を支払えば、専門家は住宅会社との契約成立によって報酬が増える仕組みから離れやすくなります。
無料ではなくなりますが、誰のために働くかが明確になります。
ただし、有料であれば必ず専門性が高いわけではありません。
資格、経験、業務範囲を確認する必要があります。
150万円の使い道を比較する
相談者の立場で、150万円の使い道を整理します。
| 使い道 | 購入者が得られる可能性 |
|---|---|
| 紹介サービス | 会社探し、比較、面談調整、相談 |
| 借入削減 | 月々返済と総利息の軽減 |
| 断熱・窓 | 快適性、冷暖房負担の改善 |
| 耐震・構造 | 安全性の確認・向上 |
| 第三者検査 | 施工不良リスクの低減 |
| 修繕資金 | 将来の設備交換へ備える |
| 外構・設備 | 入居時の追加負担を減らす |
どれが正解かは、一律に決められません。
相談サービスによって得られる価値と、住宅へ直接使った場合の価値を比較してください。
当社が過去に提示された条件
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
建築金額3,000万円なら120万~150万円です。
契約時期、地域、サービス、住宅会社によって条件は異なります。
すべての相談サービスが同じ仕組みではありません。
重要なのは、その120万~150万円によって、購入者へどのような価値が提供されるかです。
利用前に確認する質問
無料住宅相談会社へ、次の質問をしてください。
- 私が契約した場合、住宅会社はいくら支払いますか
- その費用で具体的に何をしてくれますか
- 資金計画は住宅ローンの返済可能性まで確認しますか
- 見積書の不足項目を確認しますか
- 契約後の追加費用を調べますか
- 住宅性能を同じ条件で比較しますか
- 建築士などの有資格者が確認しますか
- 契約書や保証書まで確認しますか
- 契約後のトラブルにも対応しますか
- その費用を住宅へ使う以上の価値を説明できますか
「相談は何度でも無料です」という説明では、サービスの価値は分かりません。
何回相談できるかより、何を確認してくれるかが重要です。
最終結論
紹介費用を住宅の性能や設備へ使ったほうが、購入者の利益になる場合はあります。
特に、相談会社が提携住宅会社を紹介し、面談日程を調整するだけなら、同じ金額を次へ使う選択肢を考えるべきです。
- 借入額の削減
- 構造・耐震
- 断熱・気密・窓
- 第三者検査
- 将来の修繕資金
一方で、専門家が予算超過、不適切な土地、見積り漏れ、無理な住宅ローンなどを防ぎ、紹介費用以上の損失を回避できるなら、相談サービスにも価値があります。
判断基準は、無料かどうかではありません。
住宅会社が支払う金額に対して、購入者へどれだけ具体的な利益が返ってくるか。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「この紹介費用を住宅そのものへ使うより、御社を利用したほうが私に有利になる根拠は何ですか?」
この質問へ具体的に答えられるかどうか。
それが、相談サービスの本当の価値を判断する方法です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










