Q. 住宅会社から収益を得ながら、本当に中立でいられる?
A. 中立でいることは可能ですが、自己申告だけでは証明できません。住宅会社から報酬を受け取る以上、紹介先や契約金額によって収益が変わる利益相反が生じる可能性があります。料金体系の公開、選定基準、担当者の評価制度、提携外会社の扱いなど、中立性を守る具体的な仕組みが必要です。
無料住宅相談会社は、相談者から料金を受け取らず、住宅会社から広告費や紹介関連費用を受け取って運営している場合があります。
つまり、
- サービスを利用する人:住宅購入者
- 運営費を支払う人:住宅会社
という構造です。
このように、サービスを利用する人と報酬を支払う人が違う場合、
相談会社は誰の利益を優先するのか?
という疑問が生まれます。
住宅会社から収益を得ること自体が悪いわけではありません。
問題は、収益を得る相手と、助言をする相手が異なることによって生じる利益相反を、どのように管理しているかです。
中立とは「誰からもお金を受け取らないこと」ではない
民間企業が無料相談を提供するためには、どこかから収益を得る必要があります。
住宅会社から費用を受け取っていても、相談者の希望や予算を優先し、公平に会社を紹介することは可能です。
そのため、中立性は、
住宅会社から一切お金を受け取らないこと
だけで決まるものではありません。
本当に重要なのは、
- 収益源を公開する
- 報酬条件を紹介判断から切り離す
- 住宅会社を同じ基準で評価する
- 相談者に不利な情報も伝える
- 契約しないという選択も尊重する
ことです。
利益相反とは何か
利益相反とは、相談者にとって最善の選択と、相談会社にとって利益の大きい選択が一致しない可能性がある状態です。
例えば、相談者にとって最善なのが、
- 建築予算を下げる
- 低価格の住宅会社を選ぶ
- 提携していない会社を選ぶ
- 住宅ローンを見直す
- 土地購入を中止する
- 今は家を建てない
という判断だったとします。
しかし、成約時に報酬が発生する相談会社にとっては、契約しなければ収益が発生しません。
さらに報酬が建築金額へ連動しているなら、予算を下げると相談会社の収益も下がります。
この利益の方向の違いが、利益相反です。
利益相反があることと不正をしていることは別
利益相反が存在するからといって、相談会社が必ず不公正な紹介をしているとは限りません。
誠実な担当者なら、自社の収益より相談者の利益を優先するでしょう。
しかし、個人の良心だけに頼る仕組みでは不十分です。
担当者が変わっても、会社として中立性を保てる制度が必要です。
例えば、
- 住宅会社ごとの報酬を担当者へ知らせない
- 担当者の給与を契約金額へ連動させない
- 紹介理由を書面で説明する
- 苦情や契約後の満足度も評価する
- 第三者による確認を行う
といった仕組みです。
中立性を損なう可能性1.提携会社しか紹介しない
相談会社が住宅会社から収益を得る仕組みでは、正式な紹介先が提携・登録会社に限定される場合があります。
相談者に最も合う会社が提携外でも、その会社と契約すれば相談会社には収益が発生しません。
そのため、提携外会社が候補から外れる可能性があります。
紹介された会社が優良でも、
地域にある全住宅会社から選ばれたのか、提携会社の中から選ばれたのか。
で「中立」の意味は変わります。
中立性を損なう可能性2.高額契約ほど収益が増える
建築金額の一定割合を受け取る方式では、高額な住宅会社との契約ほど相談会社の収益が増えます。
料率5%で計算すると、次のようになります。
| 建築金額 | 相談会社の収益 |
|---|---|
| 2,500万円 | 125万円 |
| 3,500万円 | 175万円 |
| 5,000万円 | 250万円 |
2,500万円と5,000万円では、相談会社の収益に125万円の差があります。
高価格帯の住宅会社を紹介したからといって、直ちに報酬目的とは判断できません。
相談者が高性能、大空間、高級設備などを希望していれば、高価格帯の会社が適切な場合もあります。
しかし、中立であるなら、予算を下げる提案をしても担当者や会社が不利益を受けない制度が必要です。
中立性を損なう可能性3.契約を急がせる
成約しなければ報酬が発生しない仕組みでは、相談期間が長くなり、契約しない相談者が増えるほど、相談会社の運営効率は下がります。
そのため、次のような言葉が増える可能性があります。
- 今月中なら特典があります
- 建材価格が上がる前に契約しましょう
- この土地はすぐ売れます
- 候補を三社から一社へ絞りましょう
- そろそろ決める時期です
- 住宅ローン金利が上がる前が有利です
本当に期限がある場合もあります。
しかし、その期限が相談者のためなのか、成約を早めるためなのかを確認する必要があります。
中立な相談なら、
「今は契約しないほうがよい」
という助言もできるはずです。
中立性を損なう可能性4.営業力の強い会社が優先される
相談会社の収益は、紹介しただけではなく、住宅会社が契約を取ることで発生する場合があります。
そのため、次のような会社は紹介先として評価されやすくなる可能性があります。
- 営業担当者の対応が速い
- 成約率が高い
- 契約までの期間が短い
- 商談報告が丁寧
- 大量の紹介を受け入れられる
- 幅広い予算帯に対応できる
これらは悪い特徴ではありません。
ただし、
「契約を取る能力」と、
「住宅を正しく設計・施工する能力」は別です。
営業力だけでなく、設計、施工管理、現場品質、保証、アフターサービスまで評価する必要があります。
中立性を損なう可能性5.広告と評価が混ざる
住宅会社が掲載料や広告費を支払い、その会社が、
- おすすめ住宅会社
- 厳選工務店
- 優良ビルダー
- 専門家が選んだ会社
として紹介される場合があります。
広告として掲載されているのか、客観的な審査による評価なのかが分からなければ、相談者は判断できません。
中立性を保つには、
- 広告掲載
- 提携関係
- 客観的評価
を明確に区別する必要があります。
中立性を守る仕組み1.料金条件を統一する
どの住宅会社と契約しても相談会社の収益が同じなら、報酬額による紹介先の偏りを減らせます。
例えば、
- 全社一律の定額
- 報酬に上限額を設定
- 建築金額に連動させない
- 会社ごとの個別料率を設けない
といった方法です。
ただし、全社同じ定額でも、契約しなければ報酬が発生しないなら、成約優先の動機は残ります。
料金統一だけで完全な中立になるわけではありません。
中立性を守る仕組み2.担当者の評価を売上と切り離す
相談担当者が次の数字で評価される場合、紹介判断が成約へ偏る可能性があります。
- 紹介件数
- 面談件数
- 成約件数
- 契約金額
- 相談会社の売上
反対に、次の項目を評価すれば、相談者側へ立ちやすくなります。
- 契約後の満足度
- 予算超過を防いだ件数
- 苦情・解約の少なさ
- 住宅ローンの無理を防いだ件数
- 相談者が納得して契約しなかったケース
- 引渡し後の評価
担当者に、
「今月いくら成約させたか」
だけを求めれば、中立な相談は難しくなります。
中立性を守る仕組み3.紹介理由を説明する
相談会社から三社紹介されたら、それぞれを選んだ理由を聞いてください。
例えば、
- 予算が合う
- 希望地域で施工できる
- 耐震・断熱条件を満たす
- デザインが合う
- 土地探しに対応できる
- 建築時期に間に合う
という具体的な理由です。
反対に、
「人気があります」
「多くのお客様が選んでいます」
「担当者がおすすめです」
という説明だけでは、相談者との適合性が分かりません。
中立な紹介なら、会社ごとの長所だけでなく、短所や向いていない人も説明できるはずです。
中立性を守る仕組み4.提携外の会社も候補にする
相談者の希望に最も合う会社が提携外の場合、少なくとも情報として存在を伝えられるかが重要です。
正式な紹介や品質保証まではできなくても、
当社とは提携していませんが、ご希望条件に近い会社として、この会社もあります。
と説明することはできます。
提携会社しか候補に出さないのであれば、
「提携会社の範囲内で中立」
という意味になります。
それ自体が悪いわけではありませんが、地域全体から選んでいると誤解させない説明が必要です。
中立性を守る仕組み5.契約しない選択を認める
本当に相談者側へ立つなら、次の結論も受け入れる必要があります。
- 今は建てない
- 借入額を減らす
- 家づくりを延期する
- 土地を買わない
- 紹介された会社を選ばない
- 別の相談先を利用する
無料相談を受けたからといって、紹介された会社と契約する義務はありません。
契約しないと伝えたときに、担当者の態度や連絡頻度が大きく変わるかも、中立性を判断する材料になります。
住宅会社から報酬を得るモデルの利点
住宅会社負担のモデルには、利用者にとってのメリットもあります。
- 相談料を用意せず利用できる
- 家づくりの入口として相談しやすい
- 複数社を効率的に比較できる
- 面談や断りを代行してもらえる
- 住宅会社側も契約時に費用を払うため利用しやすい
多くの人が無料で利用できるのは、住宅会社が運営費を負担しているからです。
したがって、この事業モデル自体を否定する必要はありません。
収益構造と紹介範囲を理解したうえで使えば、便利なサービスになります。
購入者が直接相談料を払う方法
中立性を高める方法の一つは、住宅購入者が独立した専門家へ直接相談料を払うことです。
例えば、
- 資金計画
- 土地確認
- 見積り比較
- 性能比較
- 契約書確認
- 第三者検査
などを定額で依頼します。
相談者が報酬を払えば、専門家は住宅会社との契約成立によって収益が増える立場から離れやすくなります。
ただし、有料だから必ず中立・専門的とは限りません。
資格、経験、業務範囲、ほかの収益関係を確認する必要があります。
当社が過去に感じた疑問
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
契約金額が高いほど、相談会社が受け取る金額も増える仕組みです。
さらに、当社へ紹介されたお客様の中には、本格的な商談後に住宅ローンの事前審査で否認された事例が立て続けにありました。
すべての相談サービス、すべての相談者に当てはまる話ではありません。
しかし、相談者の家づくりへの意欲だけでなく、住宅ローンの可能性や返済可能額を確認してから紹介することが、本当に購入者側へ立つ相談ではないかと感じました。
中立性を確認する10の質問
無料住宅相談会社へ、次の質問をしてください。
- 住宅会社からどのような収益を得ていますか
- 紹介先によって受け取る金額は変わりますか
- 高額な契約ほど収益は増えますか
- 担当者は住宅会社ごとの報酬を知っていますか
- 担当者の評価は成約件数や契約金額に連動しますか
- 提携していない住宅会社も候補になりますか
- 紹介した会社の短所も説明しますか
- 契約しないという助言も行いますか
- 住宅ローンの可能性をいつ確認しますか
- 三社を選んだ具体的な理由を書面で説明できますか
この質問へ具体的に答えられる会社なら、中立性を判断する材料があります。
最終結論
住宅会社から収益を得ながらでも、中立な相談を行うことは可能です。
しかし、住宅会社から報酬を受け取っている事実と、
「私たちは中立です」
という自己申告だけでは、中立性を証明できません。
確認すべきなのは、
- 紹介先によって報酬が変わるか
- 高額契約ほど収益が増えるか
- 担当者の評価が売上に連動するか
- 提携外の会社も候補になるか
- 契約しない助言ができるか
という仕組みです。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「私に最適な選択が『紹介された会社と契約しないこと』でも、同じように勧めてもらえますか?」
この質問へ迷わず「はい」と答え、そのための制度まで説明できるかどうか。
それが、本当の中立性を判断する基準です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










