Q. 相談者が無料なら、住宅会社は何を支払っている?
A. 住宅会社は、広告掲載料、登録料、紹介関連費用、成約時の手数料、イベント協賛費などを支払っている場合があります。さらに、面談、見積り、プラン作成、報告業務などの人件費も負担します。相談者が無料でも、住宅会社側には金銭と時間の両方の負担があります。
無料住宅相談を利用した人が、相談窓口で料金を請求されることは基本的にありません。
しかし、相談者を紹介された住宅会社には、さまざまな費用が発生する場合があります。
住宅会社が負担する費用は、大きく次の二つに分けられます。
- 相談会社へ直接支払う費用
- 商談や提案のために住宅会社内部で発生する費用
消費者からは前者も後者も見えにくいため、
「紹介してもらっただけだから、住宅会社にもほとんど費用はかかっていない」
と思われやすいのです。
実際には、住宅会社にとって紹介サービスは集客手段の一つであり、そのための販売経費が発生します。
住宅会社が支払う可能性がある費用
住宅相談サービスとの契約内容によって、住宅会社が負担する費用は異なります。
代表的なものは次のとおりです。
- 登録料
- 月額・年額の掲載料
- 情報誌への広告掲載料
- 紹介一件ごとの費用
- 面談・来場ごとの費用
- 成約時の定額手数料
- 建築金額に連動する成約費用
- イベント・セミナー協賛費
- 写真・記事・動画などの制作費
- システム利用料
すべての相談会社が、これらをすべて請求するわけではありません。
定額掲載料だけのサービスもあれば、成約した場合だけ費用が発生するサービスもあります。
複数の費用を組み合わせている場合もあります。
1.登録料
住宅相談サービスへ提携会社として登録する際に、初期費用を支払う場合があります。
登録審査、会社情報の作成、担当者への説明、システム設定などの名目で請求されます。
登録料を支払った住宅会社は、相談サービスの紹介候補や掲載会社になります。
反対に、登録していない住宅会社は、どれほど技術力があっても紹介候補に入らない可能性があります。
相談者が確認すべきなのは、
登録料を払った会社の中から選んでいるのか、地域の全住宅会社から選んでいるのか。
という点です。
2.月額・年額の広告掲載料
相談会社のホームページ、冊子、比較資料などへ掲載してもらうため、住宅会社が毎月または毎年、一定額を支払う方式があります。
この費用は、相談者の紹介や住宅契約がなくても発生します。
住宅会社にとっては、一般的な広告宣伝費に近い負担です。
ただし、掲載料金によって、
- 掲載ページの大きさ
- 写真の枚数
- 紹介文の長さ
- 検索結果の表示位置
- 特集記事への登場回数
- セミナーへの参加機会
などが変わる場合があります。
大きく掲載されている会社が、必ずしも第三者から最高評価を受けた会社とは限りません。
広告費を多く支払った結果、大きく掲載されている可能性も確認する必要があります。
3.情報誌や記事の制作費
住宅相談サービスの中には、家づくりの情報誌、施工事例集、ウェブ記事などを制作しているところがあります。
住宅会社は掲載のために、
- ページ掲載料
- 取材費
- 写真撮影費
- 原稿制作費
- デザイン費
- 動画制作費
- 特集参加費
などを負担する場合があります。
完成した記事は、第三者が住宅会社を評価した記事のように見えることがあります。
しかし、住宅会社が費用を支払って掲載されているなら、広告としての性格も持っています。
「厳選住宅会社」「おすすめ工務店」という表示が、審査結果なのか広告商品なのかを区別する必要があります。
4.紹介一件ごとの費用
相談者の氏名、連絡先、予算、建築予定地などの情報が住宅会社へ渡された段階で、紹介費用が発生する方式があります。
この場合、住宅会社は契約できるか分からない段階で費用を支払います。
紹介された相談者が、
- まだ建築時期を決めていない
- 土地を持っていない
- 家族の同意が取れていない
- 住宅ローンの可能性を確認していない
- 他社ですでに商談を進めている
という状態でも、紹介一件として扱われる場合があります。
住宅会社が求めているのは、単なる連絡先ではありません。
建築時期、予算、住宅ローン、希望地域などが整理された、実際に家を建てられる可能性のある相談者です。
5.面談や来場に応じた費用
相談者と住宅会社の面談が成立した時点や、モデルハウスへ来場した段階で費用が発生する方式もあります。
相談会社にとっては、紹介した後に住宅会社が適切に対応したか確認しやすい仕組みです。
一方、面談数が収益に直結する場合、相談者の準備状況にかかわらず、複数の住宅会社との面談が設定される可能性も考えられます。
相談者が希望していない会社まで、
「比較のために一度会ってみましょう」
と勧められた場合は、その面談によって費用が発生するのか確認してもよいでしょう。
6.成約時の定額手数料
紹介された相談者が住宅会社と契約した場合、契約金額に関係なく一定額を支払う方式です。
例えば、契約一件につき100万円など、あらかじめ金額が決められています。
定額方式であれば、相談者が高額な住宅を契約しても、相談会社の収益が増えないという特徴があります。
ただし、住宅会社にとっては100万円の販売経費です。
同じ契約を自社へ直接問い合わせたお客様から獲得できれば、この費用は発生しません。
7.建築金額に連動する成約費用
住宅会社が支払う費用の中で、特に金額が大きくなる可能性があるのが、建築金額へ一定割合を掛ける方式です。
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
すべての相談会社や住宅会社が同じ条件ではありません。
しかし、仮に建築金額3,500万円で計算すると、次の金額になります。
| 料率 | 住宅会社が支払う金額 |
|---|---|
| 3% | 105万円 |
| 4% | 140万円 |
| 5% | 175万円 |
5%なら175万円です。
相談会社が行う業務が同じでも、契約金額が2,000万円なら100万円、4,000万円なら200万円になります。
この方式では、契約金額が高くなるほど相談会社の収益も増えます。
そのため、中立性を掲げるのであれば、建築予算と報酬をどのように切り離しているのか説明が必要です。
何を基準に4~5%を計算するのか
建築金額連動の費用では、料率だけでなく、計算の基礎となる金額も重要です。
例えば、次のどこまで含めるかで支払額が変わります。
- 建物本体工事
- 付帯工事
- オプション工事
- 照明・カーテン
- 空調設備
- 太陽光発電
- 外構工事
- 地盤改良工事
- 追加変更工事
「建築金額の5%」と書かれていても、何を建築金額に含めるかで、数十万円の差が生じる可能性があります。
住宅会社にとっては、紹介経由のお客様が追加工事をすると、相談会社へ支払う費用まで増える場合があるのです。
8.イベントやセミナーの協賛費
相談会社が開催するセミナー、見学ツアー、住宅会社比較会などへ参加するため、住宅会社が費用を負担する場合があります。
- セミナー講師料
- イベント参加費
- 会場費の分担
- 資料制作費
- 来場者への特典費
- ブース出展料
- 協賛金
イベントへ頻繁に登場する住宅会社が、必ずしも最も優れた会社とは限りません。
参加費や協賛費を支払い、イベントへ参加している会社である可能性もあります。
相談者は、イベントへの登場回数と住宅会社の施工品質を分けて判断する必要があります。
金銭以外に住宅会社が負担するもの
住宅会社の負担は、相談会社へ支払う金銭だけではありません。
紹介を受けると、住宅会社側では次の業務が発生します。
- 面談準備
- 土地情報の調査
- 資金計画
- 間取りの作成
- 見積書の作成
- 建築予定地の現地確認
- モデルハウスの案内
- 完成住宅の案内
- 商談後の報告
- 顧客管理システムへの入力
- 相談会社との連絡
- お断りされた後の報告
一組のお客様へ提案するために、営業担当者、設計担当者、積算担当者、現場担当者など、複数の社員が動くことがあります。
契約にならなければ、その人件費や提案費用を直接回収することはできません。
成約したお客様の売上から、契約にならなかった商談の費用も含めて回収することになります。
無料プランの裏側で住宅会社が負担する費用
例えば、住宅会社が紹介を受け、次の対応をしたとします。
- 初回面談:2時間
- 資金計画:3時間
- 土地調査:4時間
- 現地確認:3時間
- 間取り作成:8時間
- 見積り作成:6時間
- 2回目以降の打合せ:10時間
- 社内打合せと報告:4時間
合計40時間です。
これに営業、設計、積算などの人件費がかかります。
さらに契約すれば、相談会社へ成約連動費を支払う場合があります。
相談者にとって間取りや見積りが無料でも、住宅会社側では実際の業務と費用が発生しているのです。
住宅会社はその費用をどこから払うのか
住宅会社が費用を支払う方法は、最終的に次のいずれかになります。
- 紹介された顧客の見積りへ反映する
- 全契約者の住宅価格へ広く含める
- 広告宣伝費として処理する
- 値引きできる金額を減らす
- 標準仕様やサービス内容で調整する
- 住宅会社が利益を削って負担する
紹介された顧客へ、そのまま上乗せしているとは限りません。
しかし、住宅会社の売上や利益から支払う以上、会社経営と無関係な費用ではありません。
「広告費から払うので、お客様には関係ありません」という説明だけで終わらせず、その広告費をどのように確保しているのかまで考える必要があります。
住宅会社側にもメリットはある
住宅会社が費用を支払うのは、相談サービスに価値があると判断しているからです。
住宅会社には、次のメリットがあります。
- 自社を知らない人へ紹介してもらえる
- 家づくりへの関心が高い人と会える
- 広告や集客の手間を減らせる
- 情報誌やウェブサイトへ掲載できる
- 他社と比較される機会を得られる
- 相談者の希望条件を事前に把握できる
住宅会社が自社で集客しても、広告費や営業人件費は必要です。
そのため、紹介費用を払うこと自体が不合理とは限りません。
問題は、住宅会社が支払う費用と、相談者が受けるサービスの価値が釣り合っているかです。
住宅ローンの可能性を確認しない紹介
住宅会社が紹介費用や人件費を負担して商談を進めても、住宅ローンが利用できなければ契約できません。
当社では過去に、紹介されたお客様と打合せを進めた後、住宅ローンの事前審査で否認された事例が立て続けにありました。
最もつらい思いをするのは、家づくりへの期待を膨らませたお客様です。
住宅会社へ相談者を紹介するなら、少なくとも次の情報は早い段階で整理する必要があります。
- 建築可能な総予算
- 現在の借入れ
- 毎月の返済可能額
- 希望する土地価格
- 建物以外の必要費用
- 住宅ローン事前審査の必要性
紹介件数を増やすより、そのお客様が本当に家を建てられる状態かを確認することが先です。
相談者が確認すべき質問
無料住宅相談を利用するときは、相談会社と住宅会社へ次の質問をしてください。
- 住宅会社は登録料を払っていますか
- 月額・年額の広告掲載料がありますか
- 私を紹介した段階で費用が発生しますか
- 面談や来場で費用が発生しますか
- 契約した場合に追加費用が発生しますか
- 成約費用は定額ですか、建築金額連動ですか
- 追加工事や外構工事も計算対象ですか
- 直接問い合わせた場合と契約価格は同じですか
- 紹介費用によって値引き条件は変わりますか
- 住宅ローンの確認は紹介前に行いますか
住宅会社が相談会社との契約内容をすべて公開できない場合もあります。
それでも、
「相談サービス経由によって、私の価格や条件が不利になりませんか」
という質問には答えられるはずです。
最終結論
相談者が無料でも、住宅会社側には費用が発生している場合があります。
登録料、掲載料、紹介費用、成約時費用、イベント協賛費、制作費。
さらに、面談、土地調査、間取り、見積り、報告に必要な人件費もあります。
これらをすべて合わせれば、住宅会社にとって決して小さな負担ではありません。
住宅会社が支払うこと自体が問題なのではありません。
問題は、その仕組みが相談者へ説明されず、
「無料だから、誰も費用を負担していない」
「中立だから、紹介先と収益は無関係」
と誤解されることです。
相談者が無料と言われたら、次にこの質問をしてください。
「私を紹介し、私が契約した場合、住宅会社はいくら、何の名目で支払うのですか?」
その質問に正面から答えられるかどうか。
それが、無料住宅相談の透明性を判断する重要な基準です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










