2階建てのまま「1階だけで生活が完結する間取り」を作るポイント
結論|可能ですが、平屋より割高になることがあります
土地が狭く平屋を配置できない場合でも、寝室、LDK、浴室、洗面、トイレ、収納を1階にまとめれば、将来は階段を使わず生活できます。
ただし、「1階完結型の2階建て」は1階が大きくなります。その上に2階を追加するため、夫婦2人だけで暮らすには、広過ぎて建築費や維持費が増える可能性があります。
最初に比較すべきなのは、平屋か2階建てかではなく、10年後も2階を使う人がいるかどうかです。
1階に必要な部屋
1階だけで生活を完結させるには、最低限、次の機能が必要です。
- LDK
- 夫婦の寝室
- 浴室
- 洗面・脱衣室
- トイレ
- 衣類と日用品の収納
- 室内物干しスペース
- 玄関
これに階段と廊下が加わるため、1階だけで17~20坪程度必要になることがあります。
2階に子ども部屋を2室設ければ、延床面積は27~30坪前後になりやすく、22~24坪程度の平屋より家全体が大きくなります。
最も重要なのは寝室の位置
寝室は、単に1階へ置くだけでは不十分です。
寝室からトイレまでの距離を短くし、途中に段差や開き戸をつくらないことが重要です。夜間にLDKを横断するような動線では、転倒や冬の温度差が心配になります。
将来、介護ベッドを置く可能性を考えるなら、ベッドの横に介助スペースを確保できる広さと、トイレ・洗面へ移動しやすい配置にします。
洗濯も1階で完結させる
寝室が1階でも、洗濯物を干すために毎日2階へ上がる間取りでは、1階完結とはいえません。
次の動線をできるだけ短くつなげます。
「洗う→干す→しまう→着替える」
洗面脱衣室の近くに室内物干しと衣類収納を設ければ、重い洗濯物を持って階段を上る必要がありません。山梨では屋外干しも多いため、1階の物干し場所まで段差なく出られる設計も有効です。
車椅子を考えるなら幅だけでは足りない
将来の車椅子利用を考える場合、廊下を少し広げるだけでは不十分です。
目安として、廊下は有効幅90cm程度、主要な出入口は有効幅80cm程度を確保すると使いやすくなります。さらに、次の点も確認します。
- トイレ前で方向転換できるか
- 寝室のベッド横へ入れるか
- 洗面台の前に寄れるか
- 玄関から駐車場まで段差なく移動できるか
- 開き戸が車椅子の動きを妨げないか
引き戸を中心にすると、開閉時の移動が少なくなり、介助もしやすくなります。
階段は「使わなくなる前提」でも安全にする
元気なうちは2階を使うため、階段自体の安全性も必要です。
- 急勾配にしない
- 踏み面を十分確保する
- 途中に踊り場を設ける
- 手すりを設置する
- 足元を明るくする
- 滑りにくい床材を選ぶ
面積を節約するために急な階段を採用すると、老後だけでなく、日常の転倒リスクも高まります。
2階は本当に必要か?
1階完結型を希望する方の中には、「子どもや孫が泊まりに来るかもしれない」という理由だけで2階をつくるケースがあります。
しかし、年に数回の宿泊のために2部屋を設けると、建築費、固定資産税、掃除、外壁面積、将来の修繕費が増えます。
客間は普段使わない独立室ではなく、LDKに隣接する多目的室として計画する方法もあります。泊まる人のためではなく、毎日住む人を優先すべきです。
1階完結型が向いているケース
次のような場合は、1階完結型の2階建てが有力です。
- 敷地が狭く、希望する平屋を配置できない
- 駐車場を2台以上確保したい
- 同居する子どもが2階を長期間使用する
- 周囲の建物によって平屋では採光を確保しにくい
- 1階に必要な面積と総予算が両立している
反対に、夫婦2人だけで暮らし、2階を数年しか使わないなら、部屋数を減らした平屋の方が合理的です。
性能は1階だけでなく家全体で確保する
将来2階を使わなくなっても、2階を無断熱・無換気にすることはできません。極端な温度差や結露を防ぐため、家全体で断熱・気密・換気計画を行います。
- 耐震等級3を許容応力度計算で確認
- 断熱等性能等級6、UA値0.46以下
- 全棟気密測定でC値0.7以下を確認
- 第一種熱交換換気
- 1階と2階の温度差を抑える空調計画
特に1階が広く2階が小さい形状は、構造や屋根が複雑になりやすいため、耐震計算と雨仕舞いの確認も重要です。
デザインハウス甲府の考え方
1階完結型の2階建ては、平屋が入らない土地で有効な選択肢です。
しかし、老後のために1階を広くし、念のために2階もつくると、「ほとんど平屋+使わない2階」という最も割高な家になることがあります。
まず、1階だけのプランを作り、その面積で本当に平屋が入らないかを確認します。そのうえで、平屋、1階完結型2階建て、コンパクトな2階建ての総額と、10年後の使い方を比較します。
家を大きくする判断より、使わなくなる空間をつくらない判断の方が、老後の安心につながります。










