Q. 雨漏り保証なら、すべての雨漏りが対象?
A. いいえ。「室内に水が出た」というだけで、すべて雨漏り保証の対象になるわけではありません。施工上の欠陥によって屋根・外壁・開口部などから雨水が浸入した場合は対象になる可能性がありますが、結露、配管漏水、自然災害、経年劣化、後付け工事などが原因なら、保証対象外になることがあります。
「水が出た」と「雨漏り」は同じではない
天井に染みができたり、壁紙が濡れたりすると、多くの人は雨漏りだと考えます。
しかし、建物内で発生する水のトラブルには、さまざまな原因があります。
- 屋根からの雨水浸入
- 外壁や窓周辺からの雨水浸入
- バルコニーからの漏水
- 給水管や給湯管からの漏水
- 排水管やエアコンからの漏水
- 室内や壁の中で発生した結露
- 浴室や洗濯機からの水漏れ
- 台風による吹き込み
- 屋根に後付けした設備周辺からの浸入
室内に現れる症状が同じでも、原因によって利用できる保証や保険が違います。
住宅紛争処理支援センターの技術資料でも、結露水、雨水、設備・配管からの漏水は、それぞれ性格が異なるものとして整理されています。住まいるダイヤル|水による不具合
法律上の10年責任があるのはどこ?
新築住宅では、
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が定められています。国土交通省|住宅瑕疵担保履行法Q&A
雨水の浸入を防止する部分には、一般的に次のような部位が関係します。
- 屋根
- 外壁
- バルコニーの防水部分
- 窓や玄関などの開口部
- 屋根・外壁・開口部の取り合い
- 防水紙やシーリングなどの防水処理
ただし、法律上の10年責任は、「10年間に起きた水のトラブルをすべて無料で直す制度」ではありません。
住宅会社の設計や施工に瑕疵があり、その結果として雨水が浸入したのかが重要です。
雨漏り保証の対象外になりやすい7つの原因
1.結露だった
冬に窓周辺や壁の中で水分が発生した場合、雨漏りではなく結露の可能性があります。
特に、
- 雨が降っていない日にも濡れる
- 冬の朝に集中して発生する
- 窓やサッシ周辺に水滴が多い
- 家具の裏や収納内部にカビが出る
- 暖房と加湿を強く使用している
という場合は、結露も疑う必要があります。
ただし、住宅会社が「結露です」と言っただけで保証対象外と確定するわけではありません。
断熱材の欠損、防湿層の施工不良、換気不足など、設計や施工に原因がある可能性もあるため、発生原因の調査が必要です。
2.給排水管や設備からの漏水だった
天井から水が落ちていても、上階の給水管、排水管、エアコン、浴室、トイレなどが原因の場合があります。
この場合は、建物の雨漏り保証ではなく、
- 配管工事の保証
- 住宅設備の保証
- 火災保険の水濡れ補償
- 修理業者の工事保証
などで対応する可能性があります。
水の入口が雨水ではなければ、雨漏り保証の対象にはなりません。
3.台風や暴風雨による損傷だった
台風で屋根材が飛び、その後に雨水が浸入した場合、住宅会社の施工保証ではなく、火災保険の風災補償で対応することがあります。
また、通常の雨では漏れず、非常に強い横殴りの雨のときだけ、開いていた窓や換気口から水が入った場合も、施工不良による雨漏りとは限りません。
重要なのは、
「台風の日に漏れたから保証対象外」
ではなく、
「台風で建物が壊れた結果なのか、もともとの防水施工に問題があったのか」
を分けることです。
4.経年劣化やメンテナンス不足だった
シーリング、防水層、屋根材などは永久に性能を維持できるものではありません。
長期間メンテナンスを行わず、
- シーリングが破断していた
- 防水層が劣化していた
- 屋根材が割れていた
- 雨どいが詰まっていた
- 外壁のひび割れを放置していた
という場合は、経年劣化や維持管理不足として保証対象外になる可能性があります。
ただし、築年数が浅いのに著しい劣化が起きた場合は、材料や施工方法に問題がなかったか確認する必要があります。
5.太陽光発電などの後付け工事が原因だった
引渡し後に別業者が行った工事によって屋根や外壁へ穴を開け、その部分から雨水が浸入した場合、元の住宅会社の保証対象外になることがあります。
注意が必要な工事は次のとおりです。
- 太陽光発電システム
- アンテナ
- カーポートやテラス屋根
- 防犯カメラ
- エアコン配管
- 後付けバルコニー
- 外壁への看板や設備の固定
- 増築やリフォーム
住まいるダイヤルの技術資料でも、漏水調査では、漏水直前に防水改修や設備機器の設置工事を行っていないか確認することが重要とされています。住まいるダイヤル|バルコニーからの漏水
後付け工事を依頼するときは、建物保証への影響を書面で確認してください。
6.窓の閉め忘れや使用方法が原因だった
窓を完全に閉めていなかった、排水口の清掃をしていなかった、バルコニーに物を置いて排水を妨げていたなど、使用や維持管理に原因がある場合も保証対象外になる可能性があります。
特にバルコニーは、排水口の詰まりによって水位が上がり、通常では水が入らない場所から浸入することがあります。
7.保証期間が終了していた
雨漏り保証の期間は、すべての住宅会社で同じではありません。
法律上の10年責任が終了した後も、住宅会社独自の保証が延長される場合がありますが、
- 定期点検を受ける
- 必要な有償修繕を行う
- 住宅会社が指定した工事を行う
などの条件が付くことがあります。
広告に「30年保証」「60年保証」と書かれていても、現在も雨漏り保証が有効なのかを保証書で確認する必要があります。
雨漏りが直っても、被害全部が無料とは限らない
雨水の浸入口を補修しても、二次被害のすべてが保証されるとは限りません。
例えば、
- 濡れたクロスや天井材
- 腐食した下地材
- カビが発生した断熱材
- 故障した家電
- 濡れた家具や衣類
- 仮住まいやホテルの費用
- 調査費用
- 家財の移動費
などです。
「雨漏りの補修費」と「雨漏りによって生じた損害」は別に扱われることがあります。
契約前には、原因箇所の補修だけでなく、内装や家財などの二次被害まで、どこが負担するのか確認してください。
雨漏りを発見したら、その日にやること
雨漏りは、乾いてからでは原因を確認しにくくなります。
発見した当日に、次の記録を残してください。
- 水が出ている場所を動画で撮影する
- 天井・壁・床の濡れた範囲を撮影する
- 雨の強さ、風向き、発生時刻を記録する
- 家具や家電などの被害も撮影する
- 住宅会社へ電話だけでなくメールでも連絡する
- 自分で穴を開けたり、解体したりしない
- 応急処置の内容と費用を記録する
雨が止まって水が引くと、住宅会社が訪問したときには症状が確認できないことがあります。
写真だけでなく、雨の強さや風向きまで残すと、浸入経路を推定しやすくなります。
原因を特定せず、表面だけ直してはいけない
雨染みにクロスを張り直したり、外側からシーリングを塗ったりするだけでは、根本原因を解決できない場合があります。
雨漏りは、雨水が入った場所と室内に現れた場所が離れていることがあります。
屋根から入った水が梁や防水紙を伝い、数メートル離れた天井から落ちることもあります。
住宅会社へ、次の内容を書面で確認してください。
- 雨水の浸入口はどこか
- 浸入経路をどのように特定したか
- 散水試験などの調査を行ったか
- 構造材や断熱材まで濡れていないか
- カビや腐朽の可能性はないか
- 補修後に再確認する方法
- 再発した場合の保証期間
- 内装や家財の損害負担
「雨漏り保証があります」だけでは安心できない
本当に確認すべきなのは、保証の名称ではありません。
- 何が雨漏りと定義されるのか
- どの部位が保証されるのか
- 自然災害は対象になるのか
- 経年劣化の判断基準は何か
- 後付け工事をした場合はどうなるのか
- 調査費用や二次被害も対象なのか
- 雨漏りが再発した場合はどうなるのか
まで確認する必要があります。
雨漏り保証は、「室内に水が出たら、何でも無料で直す保証」ではありません。
水の入口、発生原因、施工責任、保証期間によって、住宅保証、設備保証、工事保証、火災保険のどれで対応するのかが変わります。
大きく書かれた「雨漏り保証」という言葉より、対象になる雨漏りと、対象外になる水漏れの違いを契約前に確認してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










