都市計画税や固定資産税が一定期間免除・減額される「特区」や「不燃化促進地域」とは?
こんなご相談をいただきました
「古い実家を耐火性能の高い住宅へ建替えると、固定資産税や都市計画税が免除される地域があると聞きました。山梨県でも利用できますか?」
A. 「不燃化特区」などの減免制度は、全国の建替えで一律に利用できる制度ではありません。自治体が指定した区域内で、建物や工事時期などの要件を満たした場合に限られます。山梨県では、まず建築地の市町村へ個別確認が必要です。
不燃化特区とは?
不燃化特区とは、木造住宅が密集し、火災時に延焼する危険性が高い地域で、老朽建物の除却や耐火性の高い住宅への建替えを促進する制度です。
代表的なのは東京都の木造住宅密集地域です。
指定区域内で要件を満たす建替えを行うと、自治体によって次のような支援を受けられる場合があります。
- 古い建物の解体費補助
- 設計費や建築費の一部助成
- 固定資産税の減免
- 都市計画税の減免
- 専門家への相談支援
ただし、区域内に土地があるだけで自動的に対象になるわけではありません。
東京都の制度でも、既存建物の老朽度、解体時期、新築住宅の耐火性能、検査済証など、複数の要件があります。東京都主税局「不燃化のための建替えを行った住宅」
山梨県にも同じ制度があるのか?
東京都の不燃化特区制度を、甲府市など山梨県内の建替えにそのまま利用することはできません。
自治体独自の助成や「わがまち特例」が設けられている場合はありますが、対象となる資産や地域、期間は自治体ごとに異なります。
建替え前に、建築地の市町村へ次のように確認してください。
- 建築地は税の減免対象区域か
- 老朽住宅の解体補助はあるか
- 耐震化や不燃化に関する助成はあるか
- 建替え後の固定資産税に独自の減免があるか
- 着工前の申請が必要か
補助金や減免制度は、解体または契約後では申請できないものがあります。「完成してから聞けばよい」では間に合いません。
通常の新築住宅にも固定資産税の減額がある
特区に該当しなくても、一定の要件を満たす新築住宅には、固定資産税の減額措置があります。
甲府市の2026年4月時点の案内では、令和9年3月31日までに新築された対象住宅について、住宅部分のうち120㎡相当分までの固定資産税が2分の1に減額されます。
減額期間は原則として次のとおりです。
- 一般住宅:新築後3年度分
- 3階建て以上の中高層耐火住宅等:新築後5年度分
ただし、これは建物の固定資産税に対する措置です。土地・建物の税金がすべて半額になるわけではなく、都市計画税も通常はこの新築住宅減額の対象外です。甲府市「家屋に対する課税のしくみ」
長期優良住宅は減額期間が延びる場合がある
認定長期優良住宅は、一般の新築住宅より固定資産税の減額期間が長くなる場合があります。
甲府市の案内では、対象となる長期優良住宅について、一般住宅は5年度分、中高層耐火住宅等は7年度分とされています。
ただし、長期優良住宅には認定費用、申請手続き、維持保全計画に沿った点検や修繕が必要です。
シニアの建替えでは、税金の減額額だけを見て判断してはいけません。
- 将来、本当に売却するのか
- 維持保全計画を実行できるのか
- 認定取得費用を含めてもメリットが残るのか
まで比較する必要があります。
土地には住宅用地の特例がある
住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税の課税標準を抑える住宅用地の特例があります。
甲府市の場合、1戸につき200㎡までの小規模住宅用地は、次のように軽減されます。
| 税目 | 課税標準 |
|---|---|
| 固定資産税 | 評価額の6分の1 |
| 都市計画税 | 評価額の3分の1 |
200㎡を超える一定範囲についても、一般住宅用地として軽減があります。甲府市「住宅用地の軽減」
これは税額そのものを6分の1、3分の1にするという意味ではなく、税額計算の基礎となる課税標準を軽減する仕組みです。
解体して年をまたぐと税金が上がることがある
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の所有状況を基準に課税されます。
古い家を年内に解体し、新居が翌年1月1日までに完成していない場合、土地が住宅用地として扱われず、翌年度の土地の固定資産税が上がる可能性があります。
ただし、建替え中の土地として一定の要件を満たせば、住宅用地特例が継続される場合もあります。自治体によって必要書類や判断が異なるため、解体日を決める前に資産税担当部署へ確認してください。
建築会社の工期だけで解体時期を決めると、予想外の税負担が発生することがあります。
確認すべき窓口
税の減免や建替え支援については、相談先が分かれる場合があります。
- 固定資産税・都市計画税:市町村の資産税担当
- 解体・耐震化補助:建築指導、住宅政策担当
- 不燃化・地区指定:都市計画、防災担当
- 税額計算や相続:税理士
- 建物の要件:建築会社または設計者
口頭確認だけでなく、制度名、対象要件、申請期限、必要書類を記録しておきましょう。
デザインハウス甲府からのアドバイス
「この地域なら固定資産税が免除される」「耐火住宅にすれば税金がゼロになる」という説明を、そのまま信用するのは危険です。
確認すべきなのは、
- 建築地が指定区域内か
- 既存建物と新築住宅が要件を満たすか
- いつまでに申請するのか
- 何年間、どの税金が、いくら減るのか
- 減免終了後はいくらになるのか
の5点です。
特区の減免は、該当すれば有利な制度ですが、建替え予算を成立させる前提にしてはいけません。
デザインハウス甲府では、建築費だけでなく、解体時期、固定資産税、都市計画税、補助金の申請時期まで含めて総額を確認します。減免がなくても無理なく建替えられる計画を基本にし、利用できる制度は上乗せのメリットとして考えるのが安全です。










