平屋建てにする場合、周囲の建物からの日当たり・採光を確保する工夫は?
A. 平屋の日当たりは、南側へ大きな窓を付けるだけでは確保できません。隣家の高さと距離を測り、冬至の影を確認してから建物の配置を決めることが重要です。
平屋はすべての部屋が1階にあるため、隣に2階建て住宅があると影の影響を受けやすくなります。
一方、屋根を利用した高窓や勾配天井など、平屋だからこそ使える採光方法もあります。
冬至の日影を確認する
甲府周辺では、冬至の正午でも太陽高度はおおむね31度前後です。
単純計算では、高さ6mの隣家があれば、正午でも北側へ約10mの影が伸びる可能性があります。朝夕はさらに影が長くなります。
現地調査では次の内容を確認してください。
- 南側建物の高さ
- 南側境界からの距離
- 東西の建物や樹木
- 敷地の高低差
- 擁壁や斜面
- 将来建物が建つ可能性のある空き地
現在日が当たっていても、南側の空き地に2階建てが建てば状況は変わります。用途地域、建ぺい率、高さ制限などから、将来建築できる建物も想定します。
日影シミュレーションを依頼する
住宅会社へ、少なくとも冬至の次の時刻で日影を確認してもらいましょう。
- 午前9時
- 正午
- 午後3時
外観パースが明るく描かれていても、実際の日当たりを保証するものではありません。
建物、隣家、窓、軒を入れた日影シミュレーションで、LDKや寝室へ何時から何時まで日が入るかを確認します。
建物を北側へ寄せ、南側を空ける
敷地に余裕がある場合は、建物を北側へ配置し、南側に庭や駐車場を設けます。
ただし、北側斜線、隣地との離隔、給排水経路などの制約があります。また、駐車車両がリビングの窓を塞ぐ配置にならないように注意してください。
南側へ必要な距離を取れない場合は、大きな掃き出し窓だけに頼らず、別方向から光を取り込みます。
高窓を利用する
隣家の影や視線を避けるには、高い位置に設ける窓が有効です。
- 勾配天井の高窓
- 吹き抜け上部の窓
- 廊下上部の欄間窓
- 屋根の高さを利用した越屋根
- 北側の安定した光を取り込む高窓
高窓は、隣家からの視線を避けながら室内の奥まで光を届けられます。
ただし、開閉や清掃、カーテン、夏の日射対策が難しくなるため、設置後の管理方法まで決めておきましょう。
中庭やコの字型を検討する
建物の中央が暗くなる場合は、中庭や小さな光庭を設ける方法があります。
中庭に面してLDK、廊下、寝室の窓を配置すれば、複数方向から光と風を取り込めます。
一方で、次のデメリットもあります。
- 外壁と窓が増える
- 建築費が上がる
- 熱損失が増えやすい
- 防水や排水の管理が必要
- 中庭の掃除が増える
採光だけのために大きな中庭を造るのではなく、1~2坪程度の光庭や建物の凹凸で解決できないか検討します。
天窓は慎重に採用する
天窓は壁の窓より多くの光を取り込めますが、山梨県の強い夏の日射も直接入ります。
- 夏に室温が上がりやすい
- まぶしさが出る
- 雨音が気になる
- 清掃しにくい
- 将来の防水メンテナンスが必要
採用する場合は、方角、ガラス性能、遮熱、雨漏り対策、交換方法まで確認してください。明るさだけを理由に安易に増やす設備ではありません。
大きな窓ほど快適とは限らない
南側の大開口は、冬の日射取得には有効です。しかし、軒や外付けシェードがなければ、夏の室温上昇につながります。
特に東西の窓は、朝夕の低い日差しが室内へ入りやすいため、窓を大きくし過ぎない方が安全です。
- 南窓:軒や庇で夏の日射を遮る
- 東西窓:小さくするか外付け遮蔽を使う
- 北窓:直射日光ではなく安定した明るさを取る
採光と夏の暑さをセットで設計します。
建物を深くし過ぎない
同じ床面積でも、正方形に近い奥行きの深い平屋は、建物中央まで光が届きにくくなります。
LDK、寝室、子ども部屋などの居室を外周へ配置し、収納、トイレ、浴室などを建物中央寄りへまとめると、主要な部屋へ窓を設けやすくなります。
デザインハウス甲府では、建築基準法上の採光条件を満たすだけでなく、冬至の午前・正午・午後に、実際にどこまで日が入るかを確認することが重要だと考えています。
**平屋が暗くなる原因は、1階建てだからではありません。隣家の影を確認せず、間取りを先に決めてしまうことです。**冬の日差しを取り込み、甲府の強い夏の日射は外側で遮る設計にしましょう。










