高齢者向け返済特例(住宅金融支援機構)を利用中、毎月の「利息支払い」すら厳しくなった場合の救済措置
こんなご相談をいただきました
住宅金融支援機構の「高齢者向け返済特例」を利用して、自宅をリフォームしました。
毎月の返済は利息だけですが、年金収入の減少や医療・介護費の増加により、その支払いも厳しくなってきました。
返済額をさらに減らしたり、支払いを一時的に止めたりする救済措置はありますか?
A. 返済が難しくなったら、延滞する前に取扱金融機関へ相談してください。ただし、この制度はすでに「元金返済を死亡時まで据え置き、毎月は利息のみ」とする仕組みです。そこから返済額をさらに下げられるとは限りません。
一般的な住宅ローンよりも返済条件変更の余地が小さいため、借入前から「利息も払えなくなった場合」を想定しておくことが重要です。
高齢者向け返済特例とは?
住宅金融支援機構の高齢者向け返済特例は、原則として満60歳以上を対象とした融資制度です。
毎月の返済は利息のみとし、元金は申込人と連帯債務者の全員が亡くなったときに、相続人による一括返済や、住宅・土地の売却などによって返済します。
リフォーム融資の場合は、主に次の工事が対象です。
- 床の段差解消などのバリアフリー工事
- 耐震改修・耐震補強工事
- 断熱改修などのヒートショック対策工事
融資限度額は1,500万円で、実際の融資額は工事費、担保評価、保証条件などによって決まります。また、建物と敷地には住宅金融支援機構を第1順位とする抵当権が設定されます。住宅金融支援機構
毎月の返済額はどのくらいになる?
毎月の返済額は、原則として次の計算です。
借入額×融資金利÷12か月
例えば、1,000万円を年2.5%で借りた場合、毎月の利息は約2万800円です。
元金は減らないため、10年間支払っても借入元金1,000万円は原則として残ります。毎月の負担は一般的な住宅ローンより軽くなりますが、支払いが終わる制度ではありません。
また、このリフォーム融資は借入申込時の金利が適用される全期間固定金利型です。そのため、契約後の金利上昇によって返済額が増える商品ではありません。
それでも支払いが苦しくなる原因は、主に次のような家計変化です。
- 配偶者が亡くなり年金収入が減った
- 医療費や介護費が増えた
- 固定資産税や住宅修繕費が重なった
- 車の維持や買い替えが必要になった
- 預貯金を建築・リフォームに使い過ぎた
救済措置は自動的に適用されない
住宅金融支援機構には、返済が困難になった人を対象とした返済方法変更の相談窓口があります。
ただし、返済条件の変更には審査があり、希望すれば必ず認められるものではありません。住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」
特に高齢者向け返済特例は、すでに元金の支払いを据え置いています。一般的な住宅ローンのように、
- 返済期間を延長する
- 元金返済を一時的に止める
- 元利返済から利息だけに変更する
といった方法では、これ以上の負担軽減につながらない場合があります。
「利息も払えない」となる前に、具体的に利用できる変更方法があるかを取扱金融機関へ確認してください。
延滞する前に相談することが重要
支払いが遅れてから相談すると、選択肢が少なくなる可能性があります。
次の状況が見えた段階で相談してください。
- 預貯金を取り崩さないと利息を払えない
- 医療・介護費と返済の両立が難しい
- 配偶者の死亡によって年金収入が減った
- 税金や保険料を滞納しそう
- 半年以内に預貯金が底をつく可能性がある
相談時には、年金額、預貯金、毎月の生活費、医療・介護費、借入残高、固定資産税などを整理しておきます。
現実的な対応策は四つ
返済条件をさらに軽減できない場合は、次の方法を検討します。
1.使っていない資産を整理する
不要な土地、空き家、自動車、保険などを見直し、利息の支払資金を確保します。
ただし、売却を急ぐと安く買われることがあるため、資金が尽きる前に動くことが重要です。
2.元金の一部を繰り上げて返済する
元金を減らせば、毎月の利息も減ります。
このリフォーム融資では、一部繰上返済は原則100万円以上とされています。例えば、借入元金1,000万円のうち300万円を返済すれば、その後の利息は700万円に対して計算されます。
ただし、医療・介護予備費まで返済に使ってはいけません。
3.家族に相談する
子どもが利息を援助する、元金の一部を返済する、将来家を相続する子どもが資金を準備するなどの方法があります。
援助方法によっては贈与税などの問題が生じるため、税理士へ確認してください。
4.自宅売却を検討する
返済を続ける見込みが立たない場合は、延滞が長期化する前に任意売却を検討します。
ただし、山梨県では地域や土地条件によって再販性が大きく異なります。建築・リフォームにかけた金額と同じ金額で売れるとは限りません。
売却代金で元金を返済した後、次の住まいと生活資金が残るかまで確認する必要があります。
「保証あり」と「保証なし」で相続人の責任が異なる
リフォーム融資の高齢者向け返済特例には、「保証ありコース」と「保証なしコース」があります。
保証なしコースでは、住宅と土地の売却代金で返済しても残債務がある場合、原則としてその残債務を相続人へ請求しない仕組みです。
一方、保証ありコースでは、売却しても融資金を完済できなければ、相続人が残債務の返済義務を負う場合があります。住宅金融支援機構
契約書を見ずに、「死亡後は家を売れば終わる」と判断してはいけません。
デザインハウス甲府からのアドバイス
毎月の返済が利息だけになると、「月2万円なら年金でも払える」と考えやすくなります。
しかし、夫婦二人のときに払える金額と、一人になってから払える金額は違います。医療費、介護費、固定資産税、火災保険料、住宅修繕費も続きます。
借入前には、現在の返済額だけでなく、次の条件で試算してください。
- 配偶者が先に亡くなった場合
- 年金収入が減った場合
- 要介護状態が5年以上続いた場合
- 住宅修繕と医療費が重なった場合
- 90歳または95歳まで支払う場合
- 死亡後に家が希望額で売れなかった場合
借りられる金額と、最後まで払える金額は同じではありません。
「元金を返さなくてよい」のではなく、「元金返済を死亡時まで先送りしている」制度です。毎月の利息さえ厳しくなる資金計画なら、借入額そのものを見直すべきです。










