Q. 部品がなければ、設備ごと無料交換してくれる?
A. 必ず無料交換してもらえるわけではありません。部品がない場合の対応は保証規程によって異なり、代替部品での修理、同等品への交換、費用の一部補償、差額の自己負担、修理不能などになる可能性があります。
「保証期間中に故障したのだから、修理部品がなければ新品へ無料交換してもらえる」
そう考える人は少なくありません。
しかし、保証期間が残っていることと、設備一式を新品へ無料交換してもらえることは別の話です。
重要なのは、保証書に「修理できない場合の対応」がどのように定められているかです。
部品がない場合に考えられる5つの対応
住宅設備の補修用部品がなくなった場合、主に次のような対応が考えられます。
1.代替部品で修理する
元の部品とまったく同じものがなくても、互換性のある代替部品で修理できる場合があります。
ただし、代替部品は元の部品と比べて、
- 形状
- 色
- 材質
- 操作方法
- 性能
- デザイン
などが異なる可能性があります。
同じ部品で元どおりに直すことだけが、保証対応とは限りません。
2.故障した設備を同等品へ交換する
修理ができない場合、現在販売されている同等品へ交換する保証もあります。
ただし、交換されるのは一般的に故障した設備です。
例えば、食器洗い乾燥機が修理できなければ、キッチン全体ではなく、食器洗い乾燥機だけが交換対象になる可能性があります。
水栓が故障した場合も、洗面化粧台全体ではなく、水栓だけが対象になるのが基本的な考え方です。
「設備ごと交換」という言葉が、どの範囲を指すのか確認が必要です。
3.保証上限額まで補償する
延長保証などでは、修理費や交換費に上限が設定されていることがあります。
設備の交換費用が保証上限額を超えた場合、その差額は施主負担になる可能性があります。
また、保証を利用するたびに保証限度額が減少する契約や、購入金額を上限とする契約もあります。
保証期間だけでなく、保証限度額も確認してください。
4.本体は無料でも工事費がかかる
設備本体が無償交換の対象になっても、交換に伴うすべての費用が無料になるとは限りません。
確認が必要な費用には、次のものがあります。
- 既存設備の取り外し費
- 新しい設備の設置費
- 出張費
- 運搬費
- 廃棄処分費
- 給排水管の接続工事費
- 電気工事費
- 内装や収納部分の補修費
- サイズ変更に伴う加工費
古い設備と現在の商品では、寸法や接続位置が異なることがあります。
新しい設備を取り付けるための追加工事が、保証対象外になる場合もあります。
5.修理不能として保証が終了する
保証規程によっては、部品が供給できず修理も交換もできない場合の取り扱いが、限定されていることがあります。
「保証期間中だから、必ず新品交換される」と思い込まず、修理不能時の規定を契約前に確認することが重要です。
最新の上位機種へ交換されるとは限らない
交換対応になったとしても、好きな商品や最新の上位機種を選べるとは限りません。
原則として検討されるのは、故障した設備と同程度の機能を持つ同等品です。
最新機種へ変更したことで機能や価格が上がる場合、その差額を自己負担する可能性があります。
また、同じ色やデザインの商品がすでに生産されていなければ、周囲の設備と見た目が合わなくなることもあります。
無償交換とは、「希望する新品を自由に選べる制度」ではありません。
キッチン全体が交換されるわけではない
システムキッチンには、複数のメーカーや保証が混在している場合があります。
- キッチン本体
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- IHクッキングヒーター
- ガスコンロ
- レンジフード
これらは、すべて同じ保証条件とは限りません。
食器洗い乾燥機の部品がなくても、キッチン一式を無料交換してもらえるとは通常考えにくく、故障した機器単体での対応が基本になります。
ユニットバスや洗面化粧台についても同様です。
設備を一つの商品として見るのではなく、どの部分に、どのメーカーの、どの保証が適用されるのかを分けて確認する必要があります。
実際に「同等品交換」を定めた保証もある
修理部品や同一製品を用意できない場合に、現在製造されている同等品へ交換すると定めた保証制度もあります。
例えばLIXILの太陽光発電システム保証では、修理対象品や同一代替品を用意できない場合、現在生産されている同等品を代替品とする旨が示されています。
ただし、これは該当する保証制度の条件です。
すべてのキッチン、給湯器、トイレ、換気設備などに、同じ対応が約束されているわけではありません。
保証は商品名ではなく、個別の保証書と保証規程で判断します。
保証期間中に部品がないと言われたら
まず、口頭の説明だけで終わらせず、次の内容を書面で確認してください。
- 故障原因
- 保証対象外と判断した理由
- 該当する保証規程の条文
- 純正部品がないのか、代替部品もないのか
- 同等品交換が可能か
- 無料になる費用の範囲
- 自己負担になる工事費と差額
- 故障した部分だけか、関連設備も対象になるのか
「部品がないので直せません」と言われた場合でも、代替部品、同等品、後継機種による対応ができないか確認する価値があります。
契約前に住宅会社へ確認すること
住宅設備保証を比較するときは、次の質問をしてください。
- 保証期間中に部品がなくなった場合、どう対応しますか
- 同等品への交換は保証書に明記されていますか
- 交換されるのは故障部分だけですか
- 設備本体だけでなく、交換工事費も無料ですか
- 取り外し費や廃棄費も保証されますか
- 後継機種との差額は誰が負担しますか
- 保証限度額はいくらですか
- 修理不能の場合、保証はどうなりますか
- メーカー保証と住宅会社の延長保証は、どちらが対応しますか
「設備10年保証」という大きな表示だけでは、修理不能時の対応までは分かりません。
本当に確認すべきなのは、部品がなくなったとき、誰が、どこまで、いくら負担するのかです。
設備保証を比較するときは、保証年数だけでなく、修理できない場合の処理まで書かれた保証を選んでください。
部品がなければ新品へ無料交換される、とは限りません。
契約前に確認すべきなのは、「何年保証か」ではなく、「直せないときにどうする保証なのか」です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
【参考資料】
LIXILは一部の保証制度において、同一代替品を用意できない場合、現在生産されている同等品を代替品とする旨を公表しています。LIXIL「太陽光発電システム・屋根の保証」
TOTOはシステムキッチンの補修用性能部品について、生産終了後の保有期間と、保有期間経過後は修理できない場合や代替品の仕様が異なる場合があることを案内しています。TOTO「システムキッチンの補修用性能部品」










