Q. シロアリ被害は建物保証で直してもらえる?
A. シロアリ被害が発生しても、建物の長期保証で自動的に無料修理されるわけではありません。一般的には建物保証とは別に「防蟻保証」が設定され、保証期間内であること、定期点検や再施工を受けていることなどが条件になります。保証が切れていれば、駆除費だけでなく、柱や土台の補修費も自己負担になる可能性があります。
構造60年保証でも、シロアリ被害は別扱いになる
住宅会社から、
「構造は30年保証です」
「最長60年まで保証できます」
と説明されると、柱や土台がシロアリに食べられても、構造保証で直してもらえると思うかもしれません。
しかし、構造保証は、建物の構造部分に生じた損傷を、原因に関係なくすべて無料で直す制度ではありません。
柱や土台が損傷していても、その原因が、
- 防蟻保証の終了
- 再施工の未実施
- 点検の未実施
- 雨漏りや配管漏水の放置
- 他社リフォームによる防蟻層の破壊
- 所有者の維持管理不足
などであれば、建物保証の対象外になる場合があります。
大和ハウスの保証に関する注釈にも、防蟻保証の満了時に保証延長工事を実施しなかったことに起因する構造・防水部分の損傷は、保証の適用除外になると記載されています。大和ハウス|長期保証・アフターサポート
つまり、
「柱は長期保証」でも、「シロアリに食べられた柱まで無条件で長期保証」とは限らないのです。
建物保証と防蟻保証は別のもの
建物保証と防蟻保証は、分けて考える必要があります。
建物保証
主に、住宅会社が建物の構造や防水性能について定める保証です。
- 基礎
- 柱
- 梁
- 土台
- 耐力壁
- 屋根
- 外壁
- 雨水の浸入を防止する部分
などが関係します。
防蟻保証
防蟻工事を行った住宅について、一定期間内にシロアリ被害が発生した場合の対応を定める保証です。
- シロアリの再駆除
- 防蟻薬剤の再施工
- 被害部分の補修
- 補修費用の一部負担
などが保証内容になる可能性があります。
ただし、保証内容は住宅会社、防蟻施工会社、薬剤メーカー、工法によって異なります。
「シロアリ保証付き」と書かれていても、被害を受けた柱や床をすべて元どおりに直す保証とは限りません。
防蟻保証はなぜ5年が多いのか
公益社団法人日本しろあり対策協会は、認定する防蟻薬剤の有効期間を5年とし、防除施工標準仕様書でも5年を目途に再処理するとしています。日本しろあり対策協会|保証が5年である理由
5年を過ぎた瞬間に薬剤の効果がゼロになり、すぐシロアリ被害が発生するという意味ではありません。
しかし、保証を継続するには、
- 5年ごとの点検
- 防蟻薬剤の再施工
- 住宅会社や指定業者による工事
が必要になる場合があります。
「構造60年保証」と大きく表示されていても、防蟻保証を維持するためには5年単位で費用が発生する可能性があるのです。
30年間で防蟻費用はいくらになるのか
例えば、5年ごとの防蟻再施工が1回15万円だったとします。
新築時の処理を除き、5年目、10年目、15年目、20年目、25年目に再施工すると、
15万円×5回=75万円
です。
30年目にも再施工して、その先の保証を延長するなら、
15万円×6回=90万円
になります。
これは計算例であり、実際の金額は建物面積、工法、地域、施工方法によって異なります。
しかし、住宅購入者が確認すべきなのは、
「シロアリ保証は何年ですか」
だけではありません。
30年間、60年間、防蟻保証を維持するための総額はいくらになるのかを確認する必要があります。
「シロアリ保証」の補償内容に注意する
防蟻保証には、主に次のような違いがあります。
再施工だけを保証する
保証期間内にシロアリが発生した場合、薬剤の再施工や駆除は無料でも、建物の補修費は対象外になる場合があります。
建物の補修費も保証する
柱、土台、床などの補修費が対象になる場合があります。
ただし、
- 補償限度額
- 免責金額
- 対象となるシロアリの種類
- 対象となる建物部分
- 指定業者による調査
- 保証申請の期限
などが定められていることがあります。
見舞金だけを支払う
実際の補修費全額ではなく、定額の見舞金や一定額までの補償となる場合もあります。
「最高500万円まで補償」と書かれていても、被害額が必ず500万円支払われるわけではありません。
補償限度額と実際の支払条件は別です。
防蟻保証が使えない主なケース
次のような場合は、保証期間内でも対象外になる可能性があります。
- 定期点検を受けていない
- 指定された再施工を行っていない
- 他社で防蟻工事を行った
- 増築やリフォームを行った
- 基礎や床下へ穴を開けた
- 配管漏水や雨漏りを放置した
- 床下に木材や段ボールを放置した
- 建物周囲へ木材を置いていた
- 土を基礎の高い位置まで盛った
- ウッドデッキなどから侵入した
- 部分的な防蟻施工しか行っていない
- 保証対象外の種類のシロアリだった
- 被害発見後、すぐに連絡しなかった
日本しろあり対策協会も、保証のルールは各業者の判断であり、部分施工では保証が付かない場合が多いと説明しています。日本しろあり対策協会|部分施工と保証
「防蟻工事をした」という事実だけで、必ず保証書が発行されるわけではありません。
シロアリ被害は早期発見で費用が大きく変わる
シロアリが侵入しても、初期段階では室内から分からないことがあります。
次のような兆候があれば、早めに住宅会社や専門業者へ相談してください。
- 基礎や配管周辺に土でできた筋がある
- 春から夏に羽アリが大量に出た
- 床が柔らかく感じる
- 歩くと床が沈む
- 柱や巾木を叩くと空洞のような音がする
- ドア枠や床材の表面が波打っている
- 浴室や洗面所周辺で木材が腐っている
- 床下に漏水や高い湿気がある
- ウッドデッキや玄関周辺に蟻道がある
小さな範囲で発見できれば駆除と部分補修で済む可能性があります。
発見が遅れ、土台、柱、床組まで被害が広がれば、床や壁を解体して構造材を補強・交換する工事が必要になることがあります。
自分で薬剤をまく前に記録する
シロアリや蟻道を発見しても、すぐに市販薬を散布したり、蟻道をすべて壊したりしないでください。
保証を利用するためには、被害状況と侵入経路の確認が必要になることがあります。
発見したら、
- 羽アリや蟻道を写真・動画で記録する
- 発見した場所と日時を記録する
- 虫を可能であれば容器などに保管する
- 床や壁を自分で解体しない
- 住宅会社と防蟻保証の窓口へ連絡する
- 保証書を確認する
- 調査報告書を作成してもらう
という順番で対応します。
住宅会社へ連絡する前に別業者が駆除すると、原因や被害範囲を確認できず、保証判定に影響する可能性があります。
住宅会社へ確認する質問
契約前に、次の内容を書面で確認してください。
- 防蟻保証は何年間ですか
- 防蟻保証書は誰が発行しますか
- どのシロアリが対象ですか
- 駆除費だけでなく建物補修費も対象ですか
- 建物補修の限度額はいくらですか
- 免責金額はありますか
- 保証延長には何年ごとの再施工が必要ですか
- 再施工1回の想定費用はいくらですか
- 他社で防蟻工事をすると保証はどうなりますか
- 防蟻保証が切れると、構造保証にも影響しますか
- 増築やウッドデッキ設置で保証は変わりますか
- 住宅会社や防蟻会社が倒産した場合、保証は継続されますか
防蟻保証は年数より「被害後の補修範囲」が重要
シロアリ保証で最も重要なのは、5年、10年という期間だけではありません。
本当に確認すべきなのは、
- 被害発生時に誰が調査するのか
- 駆除費用を誰が負担するのか
- 柱や土台の補修費も対象になるのか
- 補償限度額はいくらか
- 保証を維持する総額はいくらか
- 防蟻保証が切れたとき構造保証へ影響するのか
です。
構造が長期保証されていても、シロアリ対策をしなければ、シロアリ被害による構造損傷まで保証されるとは限りません。
「60年保証」という大きな数字より、5年ごとに何を行い、総額いくらを支払い、被害が出たときどこまで直してもらえるのかを確認してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










