Q. 保証対象かどうかを決めるのは誰?
A. 最初に判断するのは、保証書に記載された住宅会社・設備メーカー・保証会社です。しかし、その会社の判断が最終決定ではありません。保証対象外という説明に納得できなければ、第三者の建築士による調査、住宅紛争審査会、最終的には裁判で争うことができます。
最初に判断するのは「保証責任を負う会社」
住宅に不具合が発生した場合、最初に保証対象かどうかを確認するのは、原則として保証書に記載された保証者です。
ただし、不具合の場所によって判断する会社が異なります。
| 不具合の内容 | 最初に確認する相手 |
|---|---|
| 基礎・柱・梁などの構造 | 住宅会社・売主 |
| 屋根・外壁からの雨漏り | 住宅会社・売主 |
| キッチン・トイレ・給湯器 | 設備メーカー・住宅会社 |
| 住宅設備の延長保証 | 延長保証会社 |
| 地盤沈下・不同沈下 | 地盤保証会社 |
| 太陽光発電・蓄電池 | メーカー・販売施工会社 |
| 住宅瑕疵担保責任保険 | 原則として住宅会社が保険法人へ請求 |
つまり、「家の保証」とひとまとめに考えてはいけません。
誰が保証責任を負うのかは、契約書、保証書、保証約款、保険付保証明書によって決まります。
住宅会社が「対象外」と言えば終わりなのか
終わりではありません。
住宅会社は、不具合の原因を調査し、保証書や契約内容に基づいて、保証対象かどうかを判断します。
しかし、ここには大きな問題があります。
保証対象と認めれば、自社が補修費用を負担する。その会社自身が、保証対象かどうかを判断する構造になっていることです。
もちろん、すべての住宅会社が保証を逃れようとするわけではありません。
しかし、数十万円、数百万円の補修費用が必要になると、住宅会社と購入者の見解が対立することがあります。
住宅会社から、
- 「経年劣化です」
- 「使用方法に問題があります」
- 「地震や台風が原因です」
- 「結露であり、雨漏りではありません」
- 「構造上の問題ではありません」
- 「他社が工事したため保証対象外です」
- 「保証期間が終了しています」
と言われたとき、その説明だけで諦める必要はありません。
「保証対象外」の根拠を必ず書面でもらう
保証対象外と言われた場合は、口頭の説明だけで終わらせず、次の内容を書面で回答してもらってください。
- 不具合の原因
- 調査した日と調査者
- 実施した調査方法
- 保証対象外と判断した保証条項
- 経年劣化・使用方法・自然災害と判断した根拠
- 必要な補修方法と見積金額
- 再調査を依頼できるか
特に重要なのは、
保証書の第何条に基づいて、保証対象外と判断したのですか?
と確認することです。
「会社の判断です」
「通常は保証されません」
「担当部署が対象外と言っています」
という回答だけでは、具体的な根拠になりません。
保証期間内なら、すべて対象になるわけではない
保証期間内に不具合が発生しても、自動的に無償修理になるわけではありません。
例えば、外壁の保証期間が10年であっても、
- 施工不良によるひび割れ
- 地震によるひび割れ
- 車をぶつけたことによる破損
- 経年変化による軽微なひび割れ
では原因が異なります。
保証されるかどうかは、単に「10年以内か」だけではなく、
いつ、どこで、何が起こり、その原因が何か
によって判断されます。
だからこそ、不具合の原因を特定する調査が重要です。
新築住宅の法律上の10年責任
新築住宅では、住宅会社や売主は、原則として引渡しから10年間、
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
の瑕疵について責任を負います。
ただし、クロスのひび割れ、床鳴り、設備故障など、住宅のすべての不具合が法律上の10年責任に含まれるわけではありません。
国土交通省も、住宅瑕疵担保履行法における対象範囲を、品確法で定められた構造部分と雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の責任と説明しています。国土交通省「住宅瑕疵担保履行法Q&A」
瑕疵保険法人が判断する場合もある
住宅瑕疵担保責任保険が付いている住宅では、住宅会社が補修を行い、保険法人へ保険金を請求するのが原則です。
この場合、保険金が支払われるかどうかは、保険契約や現場調査に基づいて保険法人が審査します。
ただし、
保険金が出ないことと、住宅会社に補修責任がないことは、必ずしも同じではありません。
保険は、住宅会社が負う責任に備えるための仕組みです。
保険法人が保険対象外と判断しても、契約や法律に基づいて住宅会社自身が責任を負う可能性があります。
国土交通省は、住宅瑕疵担保責任保険について、新築住宅に瑕疵があり、補修等を行った事業者へ保険金が支払われる制度と説明しています。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
第三者の建築士なら最終判断できるのか
第三者の建築士による調査は、不具合の原因を客観的に確認するために有効です。
例えば、
- 雨漏りの浸入口
- 基礎や外壁のひび割れ幅
- 床や柱の傾斜
- 断熱材の施工状態
- 結露と漏水の違い
- 構造上の安全性
- 補修方法の妥当性
などを調査できます。
ただし、第三者建築士の調査報告書も、それだけで法的な最終決定になるわけではありません。
住宅会社と交渉するための、客観的な証拠の一つです。
費用をかけて調査を依頼する前に、
- 調査の目的
- 調査範囲
- 使用する機器
- 報告書の内容
- 裁判や交渉に使用できるか
- 調査費用
を確認してください。
単に目視して「問題がありそうです」と伝えるだけでは、住宅会社の判断を覆せない可能性があります。
判断に納得できない場合の5段階
住宅会社から保証対象外と言われた場合は、次の順番で進めてください。
第1段階 証拠を残す
写真と動画を撮影し、発生日、天候、場所、症状を記録します。
雨漏りなら、雨量や風向きによって発生状況が変わるため、雨が降るたびに記録してください。
第2段階 住宅会社へ書面で通知する
電話だけで済ませず、メールや書面で補修を依頼します。
「いつ連絡したか」を証明できる状態にすることが重要です。
第3段階 対象外の根拠を求める
原因、調査方法、該当する保証条項を、書面で回答してもらいます。
第4段階 第三者へ相談・調査を依頼する
住宅会社と見解が違う場合は、建築士や住宅専門の相談機関へ相談します。
第5段階 紛争処理や裁判を検討する
評価住宅や保険付き住宅など一定の住宅では、弁護士や建築士が関与する住宅紛争処理制度を利用できます。
住宅紛争審査会の手続には、あっせん・調停・仲裁があり、通常の申請手数料は1万円です。住まいるダイヤル「住宅紛争の解決に向けた手続」
解決しなければ、最終的には裁判所が契約内容、保証書、調査報告書、写真などの証拠を基に判断することになります。
契約前に確認すべき質問
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- 保証対象かどうかは誰が判断しますか
- 調査するのは自社社員ですか、第三者ですか
- 対象外の場合、書面で理由を出してもらえますか
- 再調査を依頼できますか
- 第三者調査の費用は誰が負担しますか
- 保険法人と住宅会社の判断が違った場合はどうなりますか
- 紛争が起きた場合に利用できる相談制度はありますか
この質問に明確に答えられる会社は、保証制度を実際に運用する準備ができています。
逆に、
「そのときになれば対応します」
「うちは今まで問題がありません」
という説明だけで契約するのは危険です。
本当に重要なのは「年数」より判定方法
保証年数が60年あっても、住宅会社がすべての不具合を「経年劣化」と判断すれば、無償修理は受けられません。
だから契約前に見るべきなのは、保証年数だけではありません。
誰が調査し、どの基準で判断し、対象外の場合に異議を申し立てられるのか。
ここまで確認して、初めて使える保証になります。
保証対象かどうかを最初に判断するのは、保証責任を負う会社です。
しかし、その会社の一方的な説明が最終結論ではありません。
納得できない場合は、証拠を残し、根拠を求め、第三者の意見と公的な紛争処理制度を活用してください。
保証とは、会社が自由に「対象」「対象外」を決めるための制度ではありません。
契約内容と事実に基づいて、約束された責任を果たすための制度です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










