途中で止まった工事を、別の住宅会社は引き継いでくれる?
Q. 建築途中で住宅会社が倒産しました。近くの住宅会社へ頼めば、止まったところから工事を引き継いでもらえるのでしょうか?
A. 引き継いでもらえる可能性はありますが、すべての住宅会社が受けてくれるわけではありません。前の会社が施工した部分の品質や責任範囲が分からないため、通常の新築工事より断られやすくなります。
完成保証が付いていても、引き継ぎ会社が自動的に決まるとは限りません。現場調査、契約の精算、図面や検査記録の確認を行い、新しい住宅会社と改めて工事請負契約を結ぶ必要があります。
別の住宅会社が引き継ぎを嫌がる理由
住宅会社にとって、他社が途中まで建てた家を完成させる仕事は、大きなリスクがあります。
前の会社の施工品質が分からない
基礎、耐力壁、接合金物、防水、断熱など、完成後に見えなくなる部分が正しく施工されているか分からないことがあります。
工事を引き継いだ後に不具合が見つかると、施主からは「引き継いだ会社が直してくれる」と思われる可能性があります。
既存部分まで保証を求められる
新しい住宅会社が施工するのは残工事だけでも、完成後に雨漏りや構造上の問題が発生すれば、原因が前の工事なのか、引き継ぎ後の工事なのかを分けることが難しくなります。
責任範囲を明確にできなければ、引き継ぎを断る会社が多くなります。
図面や工事記録がない
確認申請図面、構造計算書、工事写真、検査記録がなければ、設計どおりに施工されているか確認できません。
壁や床を一部解体して調査する必要が出ることもあります。
自社の工法や部材と合わない
住宅会社によって、構造、断熱材、外壁、防水方法、換気設備、施工手順が違います。
倒産した会社独自の工法や特注部材を使っている場合、同じ部材を入手できず、設計変更や大規模な手直しが必要になることがあります。
採算が合わない
残工事だけでは工事金額が小さい一方、現場調査、見積もり、保証の整理、行政手続などに多くの時間がかかります。
通常の新築より手間と責任が重いため、引き継ぎ工事を受けない会社もあります。
完成保証があれば必ず会社を紹介してもらえる?
完成保証の内容によって異なります。
倒産によって工事を継続できなくなった場合に、他の住宅会社へ工事を引き継ぎ、完成を支援する制度があります。
ただし、保証会社が必ず引き継ぎ会社を探してくれるとは限りません。
例えばJIO完成サポートは、倒産などで工事継続が不可能になった場合に、他の事業者へ引き継いで完成を支援する制度ですが、引き継ぎ事業者は施主自身で探すと案内されています。JIO「完成サポートの引き継ぎ事業者」
完成保証へ加入しているという説明だけで安心せず、誰が引き継ぎ会社を探すのかまで確認しておく必要があります。
引き継いでもらうために必要なもの
別の住宅会社へ相談する前に、次の資料を集めます。
- 工事請負契約書
- 見積書と内訳書
- 支払済み代金の記録
- 確認済証と確認申請書の副本
- 設計図書
- 構造計算書
- 地盤調査・地盤改良記録
- 工事写真
- 第三者検査記録
- 瑕疵保険の申込・検査記録
- 住宅完成保証書と約款
- 追加変更工事の記録
資料が多いほど、新しい住宅会社が既存工事を判断しやすくなります。
先に以前の契約を整理する
倒産したからといって、以前の工事請負契約が自動的に消えるとは限りません。
破産管財人が選任されている場合は、
- 契約を解除するのか
- 現在の出来高はいくらか
- 過払い金があるか
- 現場にある材料は誰のものか
- 建物を現状で引き渡してもらえるか
を確認します。
住まいるダイヤルも、工事を別業者へ引き継ぐ前に、以前の契約を解除・精算し、新しい施工会社と改めて請負契約を結ぶ必要があると説明しています。住まいるダイヤル「工事途中で施工業者が破産した事例」
契約を整理する前に別会社へ現場を触らせると、所有関係や責任範囲が複雑になる可能性があります。
瑕疵保険を引き継げる場合もある
元の住宅会社が瑕疵保険の申込みや現場検査を進めていた場合、その検査結果を利用し、新しい施工会社が保険契約を引き継げることがあります。
ただし、無条件で引き継げるわけではありません。保険法人による追加検査や書類提出を求められる場合があります。国土交通省「住宅瑕疵担保履行法Q&A」
新しい住宅会社と契約する前に、完成後の瑕疵保険がどの会社の責任で付くのかを確認してください。
引き継ぎ工事が高くなる理由
「残り3割の工事なら、元の契約金額の3割で完成する」とは限りません。
引き継ぎ工事では、
- 既存部分の調査費
- 壁や床を開ける確認工事
- 不具合部分の補修費
- 足場や仮設設備の再契約
- 入手できない部材の変更
- 設計・行政手続の変更
- 追加の検査費
- 保証を付けるための費用
が発生します。
さらに、新しい住宅会社は前の会社の利益や未払い代金を引き継ぐわけではありません。残工事を現在の材料費と人件費で再見積もりします。
引き継ぎ会社との契約で確認すること
新しい工事請負契約には、少なくとも次の内容を明記します。
- 引き継ぐ工事の範囲
- 既存部分の調査結果
- 補修・撤去する部分
- 既存部分と新規工事の責任区分
- 完成後の保証範囲
- 瑕疵保険の加入方法
- 追加費用が発生する条件
- 完成予定日
- 支払い時期
- 検査済証取得までの担当者
「とりあえず続きを建てます」という口約束だけで工事を再開してはいけません。
デザインハウス甲府からのアドバイス
住宅会社が倒産しても、別の会社がそのまま続きを建ててくれると思っている方は少なくありません。
しかし現実には、他社が施工した部分の責任まで背負うことになるため、引き継ぎ工事は簡単ではありません。
デザインハウス甲府では、重要工程の検査記録や工事写真を残し、万一の工事中倒産に備えて全棟に住宅完成保証を付けています。
住宅会社との契約前に、次の質問をしてください。
「御社が倒産した場合、工事を引き継げる会社は決まっていますか?」
「引き継ぎ会社は保証会社が探すのですか、それとも施主が自分で探すのですか?」
「前の工事部分を含め、完成後の保証はどうなりますか?」
倒産した後に引き継ぎ会社を探すのでは遅いのです。
誰が家を完成させるのかまで書面で決まって初めて、完成保証は本当の安心になります。










