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倒産に備えて、図面や申請書類はいつ受け取るべき?

倒産に備えて、図面や申請書類はいつ受け取るべき?

A. 引き渡し時にまとめて受け取るのでは遅すぎます。書類が作成・交付されるたびに、次の支払いをする前までに受け取ってください。

住宅会社が倒産すると、会社の事務所に保管されていた図面や、担当者のパソコンに入っていたデータを、すぐに取り出せるとは限りません。

工事を別の住宅会社へ引き継ぐには、単に間取り図があればよいわけではありません。

  • どの構造で設計されているか

  • どの材料や設備を使う契約だったか

  • どこまで検査を受けているか

  • 現場で図面から何が変更されたか

  • どの申請や認定を取得しているか

  • 工事代金をどこまで支払っているか

これらを証明する書類が必要です。

図面や申請書類は、家の「記録」であると同時に、住宅会社が倒産したときの工事引き継ぎ用データです。

「完成したら全部渡します」を信用してはいけない

通常、住宅会社は引き渡し時に図面、確認済証、検査済証、保証書などをまとめたファイルを渡します。

しかし、住宅会社が引き渡し前に倒産したら、その「まとめたファイル」は完成しません。

そのため、倒産対策として安全なのは、次の5段階に分けて書類を受け取る方法です。

① 契約時に受け取る書類

工事請負契約を締結したら、少なくとも次の書類をその場で受け取ります。

  • 工事請負契約書

  • 契約約款

  • 詳細見積書

  • 標準仕様書

  • 契約時の配置図・平面図・立面図

  • 設備仕様書

  • 工事代金の支払予定表

  • 完成保証の申込書または保証内容

  • 地盤調査報告書

  • 契約までに合意した打ち合わせ記録

「契約書は後日郵送します」「社内で押印してから渡します」と言われた場合でも、署名前の完成版と、署名後の控えを必ず受け取ってください。

特に詳細見積書と仕様書がなければ、倒産後に「どこまでが契約金額に含まれていたのか」を証明しにくくなります。

② 確認申請を出す前に受け取る書類

設計が確定したら、建築確認申請に提出する最終図面を受け取ります。

  • 配置図

  • 各階平面図

  • 立面図

  • 断面図

  • 基礎伏図

  • 床伏図・梁伏図

  • 構造計算書

  • 金物配置図

  • 断熱仕様書

  • UA値などの計算書

  • 一次エネルギー消費量計算書

  • 換気計画図

  • 長期優良住宅や住宅性能評価の申請図書

重要なのは、営業用の簡単な間取り図ではなく、実際に申請・施工に使用する最終版を受け取ることです。

図面の右下などに記載された作成日、図面番号、改訂番号も確認します。古い図面と新しい図面が混在すると、引き継いだ住宅会社がどちらを信用すべきか判断できなくなるからです。

③ 許可や認定が下りた直後に受け取る書類

建築確認などの手続きが完了したら、着工金や中間金を支払う前までに、次の書類を受け取ります。

  • 建築確認申請書の副本または全ページのPDF

  • 確認済証

  • 省エネ適合関係書類

  • 長期優良住宅の認定通知書

  • 住宅性能評価関係書類

  • 開発許可など敷地に関する許可書

  • 住宅完成保証の保証書または保証確認書

  • 住宅瑕疵保険の申込内容が分かる書類

確認済証や検査済証は、紛失しても簡単に再発行される書類ではありません。

甲府市と山梨県も、確認済証・検査済証は再発行できないと案内しています。紛失時には台帳記載事項証明書を取得できる場合がありますが、それは元の証書や申請図面一式が復元されるという意味ではありません。甲府市「台帳記載事項証明書」山梨県「建築確認等に関するよくある質問」

「行政にもデータがあるから大丈夫」と考えず、自分で保管してください。

④ 工事中は検査のたびに受け取る

工事が始まった後は、各工程の検査記録と現場写真を都度受け取ります。

  • 地盤改良工事の施工報告書

  • 基礎配筋写真

  • コンクリート試験記録

  • 基礎・構造体の施工写真

  • 構造金物の施工写真

  • 防水工事の施工写真

  • 中間検査合格証

  • 瑕疵保険の現場検査記録

  • 住宅性能評価の検査記録

  • 変更契約書・追加工事見積書

  • 変更後の図面

  • 工事の進捗が分かる写真

工事中に変更した内容が図面へ反映されていなければ、倒産後の現場調査で壁や床を開けなければならないことがあります。

「写真は最後に整理して渡します」ではなく、基礎、上棟、防水、断熱などの工程ごとに受け取るのが安全です。

⑤ 最終金を支払う前に受け取る

完成時には、最終代金を支払う前に書類が揃っているか確認します。

  • 完了検査申請書

  • 検査済証

  • 竣工図

  • 最終仕様書

  • 最終設備一覧

  • 住宅性能評価書

  • 長期優良住宅関係書類

  • 瑕疵保険の保険付保証明書

  • 各設備の保証書・取扱説明書

  • 気密測定結果

  • 断熱・省エネ性能の計算書

  • 電気配線図・給排水設備図

  • メンテナンス計画書

  • 追加・変更工事を含む最終精算書

住宅履歴情報として、新築時の図面、建築確認関係書類、検査結果、維持管理記録などを保存しておくことは、将来の点検、リフォーム、売却にも役立つと国土交通省が案内しています。国土交通省「住宅履歴情報について」

契約前に、次のような条件を工事請負契約書へ入れられるか相談してください。

各工程で作成または取得した図面、計算書、申請書、検査記録は、工程完了後3営業日以内に、紙またはPDFで建築主へ交付する。

さらに、確認済証、検査済証、竣工図、保証書などの重要書類が未交付の場合の支払い条件も、契約前に明確にしておきます。

契約後に支払いを一方的に止めるのではなく、書類交付と支払いの順番を契約時に決めておくことが重要です。

倒産時に最低限必要になる10種類

全部を整理するのが難しい場合でも、次の10種類は優先して保管してください。

  1. 工事請負契約書・契約約款

  2. 詳細見積書・仕様書

  3. 最新の設計図面一式

  4. 構造計算書

  5. 建築確認申請書・確認済証

  6. 各種許可書・認定書

  7. 工程ごとの施工写真

  8. 検査記録・検査合格証

  9. 完成保証・瑕疵保険関係書類

  10. 入金記録・変更契約書・追加工事見積書

これらが揃っていれば、引き継ぎ会社が「どこまで完成しているのか」「安全性を確認するために何が不足しているのか」を判断しやすくなります。

書類がないだけで100万円以上の差が出ることもある

例えば、図面や施工記録が不足していたために、次の費用が発生したとします。

  • 図面の再作成:35万円

  • 構造部分の調査・一部解体:55万円

  • 申請内容の確認・修正:25万円

合計は115万円です。

さらに工事再開が1か月遅れ、家賃、つなぎ融資の利息、荷物保管料などが月13万円かかれば、負担は128万円になります。

これは一例ですが、図面を受け取っていなかっただけで、同じ家を完成させる費用が増える可能性があります。

建築士事務所が保管しているから安心とは限らない

建築士事務所には、一定の設計図書を15年間保存する義務があります。国土交通省「建築士事務所の図書保存制度」

しかし、これは施主がいつでも全書類を受け取れることを保証する制度ではありません。

  • 住宅会社と設計事務所が同時に連絡不能になる

  • 保存されている図書が必要な資料すべてではない

  • 担当者やデータの所在確認に時間がかかる

  • CADデータの利用条件や著作権を確認する必要がある

このような問題があります。

設計データはPDFで受け取り、可能であれば、修繕や工事引き継ぎに必要な範囲でCADデータを利用できるかも契約時に確認してください。CADデータそのものが当然に交付されるとは限らないため、事前の取り決めが必要です。

紙だけ、住宅会社のアプリだけでも危険

書類は、次の方法で二重に保管します。

  • 原本または紙の控え

  • 全ページを読み取れるPDF

  • 自宅以外でも確認できるクラウド保存

  • 外付け媒体など別の場所へのバックアップ

住宅会社の顧客専用アプリやクラウドだけに保存していると、倒産後にサービスが停止し、ログインできなくなる可能性があります。

ファイル名も、

2026-09-01_工事請負契約書.pdf
2026-10-15_建築確認申請図面_最終版.pdf
2026-12-05_基礎配筋検査.pdf

のように、日付と内容が分かる形にします。

受け取っただけで安心せず、全ページが入っているか、文字や押印が読めるか、最新版かどうかまで確認してください。

住宅会社が倒産してから書類不足に気づいたら

すぐに、次の相手へ連絡します。

  1. 住宅会社の破産管財人または代理人

  2. 設計を担当した建築士・建築士事務所

  3. 建築確認を担当した行政庁・指定確認検査機関

  4. 完成保証会社

  5. 住宅瑕疵保険法人

  6. 住宅ローンを扱う金融機関

  7. 長期優良住宅などの認定機関

  8. 工事を引き継ぐ建築士・住宅会社

メール、打ち合わせアプリ、見積書、写真なども削除せず、すべて保存してください。

ただし、書類を回収できても、それだけで工事を再開できるとは限りません。建築士による現場確認と、確認申請・検査状況の整理が必要です。

デザインハウス甲府の考え方

デザインハウス甲府では、図面や計算書を住宅会社だけが抱え込むべきではないと考えています。

全棟で許容応力度計算を行い、断熱性能を計算し、気密測定を実施しても、その結果を書面で確認できなければ、施主にとって本当の安心にはなりません。

また、完成保証があっても、引き継ぎに必要な図面、構造計算書、検査記録、変更履歴が不足していれば、工事再開に時間がかかります。

完成保証と工事書類は、どちらか一方ではなく、両方が必要です。

図面や申請書類は、引き渡し時にもらう記念品ではありません。
住宅会社が倒産したとき、家づくりを止めないための救命具です。

契約前には、完成保証の有無だけでなく、どの書類を、どの段階で、紙とデータのどちらで受け取れるのかまで確認してください。

デザインハウス甲府
〒400-0118 山梨県甲斐市竜王1656-17
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日

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