倒産で延びた仮住まい費用や引越し費用は、誰が負担する?
Q. 住宅会社の倒産で完成が遅れ、仮住まいの家賃や引越し費用が追加で発生しました。この費用は倒産した住宅会社や完成保証会社に負担してもらえますか?
A. 住宅会社の責任で引き渡しが遅れた場合、延長分の家賃や引越し変更費用を損害として請求できる可能性があります。しかし住宅会社が倒産していれば、請求できても実際には回収できず、施主が負担する可能性が高くなります。
さらに、住宅完成保証が付いていても、仮住まい費用や引越し費用まで保証されるとは限りません。
請求できるのは「延長によって増えた費用」
仮住まいの費用すべてを住宅会社へ請求できるわけではありません。
もともとの工期中に予定していた家賃や引越し費用は、当初から必要だった費用です。
請求対象として考えられるのは、住宅会社の倒産や工事停止によって追加発生した次のような費用です。
- 引き渡し予定日以降の仮住まい家賃
- 仮住まいの駐車場代
- 荷物保管倉庫の延長料金
- 引越し予約のキャンセル料
- 引越し日の変更による追加料金
- 仮住まいから別の仮住まいへ移る費用
- つなぎ融資期間の延長による利息
- インターネットやライフラインの再手続費用
住まいるダイヤルも、施工会社側の原因で引き渡しが遅れた場合、予定どおり入居できていれば発生しなかった家賃などを損害として請求できる可能性があると説明しています。住まいるダイヤル「引渡し遅延と仮住まい家賃」
住宅会社が倒産していたら誰へ請求する?
破産手続が始まり、破産管財人が選任されている場合は、追加発生した費用を損害として計算し、破産債権として届け出ることを検討します。
ただし、債権届を提出したからといって、全額が支払われるわけではありません。
倒産した会社の財産から、税金、従業員、金融機関、仕入先、施主など、多くの債権者への支払いが整理されます。配当できる財産がほとんど残っていなければ、仮住まい費用を回収できない可能性もあります。
つまり、
「請求する権利があること」と「実際にお金が戻ること」は別です。
完成保証があれば仮住まい費用も出る?
住宅完成保証は、住宅会社の倒産で発生した費用を何でも補償する制度ではありません。
一般的な完成保証が対象とするのは、
- 支払済み代金と工事出来高の差による前払金損失
- 別会社へ引き継ぐことで増えた工事費用
などです。
住宅保証機構の住宅完成保証制度でも、保証対象は前払金の返還債務不履行や増嵩工事費用であり、工事が止まったことで発生するその他の費用は対象外と説明されています。住宅保証機構「住宅完成保証制度」
したがって、
- 仮住まい家賃
- 引越しキャンセル料
- 荷物保管料
- つなぎ融資の追加利息
などは、完成保証の対象外になる可能性があります。
必ず保証書と約款を確認し、保証会社へ個別に問い合わせてください。
6か月遅れた場合の追加負担例
山梨県内で仮住まい期間が6か月延びた場合を例にします。
- 仮住まい家賃:月8万円×6か月=48万円
- 駐車場代:月8,000円×6か月=4万8,000円
- 荷物保管料:月1万5,000円×6か月=9万円
- 引越しキャンセル・再予約:15万円
- ライフライン等の再手続:5万円
追加負担合計:約81万8,000円
これにつなぎ融資の延長利息や、現場養生費、引き継ぎ会社へ支払う追加工事費が加わる可能性があります。
倒産被害は「建築費が増える」だけではありません。
家が完成しない間も、毎月生活費が流出し続けます。
損害を証明するために残す書類
仮住まい費用などを請求するには、倒産や工事遅延との関係を証明できる資料が必要です。
- 工事請負契約書
- 当初の工程表
- 契約上の引き渡し予定日
- 工事停止日が分かる書類やメール
- 仮住まいの賃貸借契約書
- 家賃や駐車場代の領収書
- 引越し見積書
- キャンセル料や変更料の請求書
- 荷物保管料の領収書
- つなぎ融資の利息明細
- 破産管財人から届いた通知書
口頭で「工事が遅れました」と説明するだけでは、損害額を証明できません。
支出した費用は、日付と金額が分かる形ですべて保存してください。
仮住まい費用を増やさないための行動
退去日を確定しすぎない
新居の完成確認と正式な引き渡しが終わる前に、仮住まいの退去日を確定すると、完成が遅れた際に別の住居へ移る必要が生じます。
賃貸契約の解約予告期間と延長条件を事前に確認します。
引越し予約を早く確定しすぎない
完成予定日だけで判断せず、完了検査、設備試運転、補修、引き渡し日が確定してから最終決定します。
金融機関へすぐ連絡する
つなぎ融資や分割実行を利用している場合は、工事停止を金融機関へ伝えます。
返済や利息、融資期限について、放置せず早めに相談してください。
完成保証会社へ費用発生前に確認する
施主が自己判断で仮住まいや引越しを再契約した後では、保証対象になるか確認できない場合があります。
追加費用が発生する前に、保証会社へ対象範囲を確認します。
デザインハウス甲府からのアドバイス
住宅会社の倒産で本当に恐ろしいのは、建築現場が止まることだけではありません。
完成しない家を待ちながら、
- 仮住まい家賃
- 住宅ローンやつなぎ融資
- 荷物保管料
- 引越し変更費
- 引き継ぎ工事費
が同時に家計から出ていくことです。
デザインハウス甲府では、万一の工事中倒産に備えて全棟に住宅完成保証を付け、工事の進捗に合わせた支払条件をご説明しています。
ただし、完成保証があるからすべての損失がゼロになるとは説明しません。
契約前に住宅会社へ、次の質問をしてください。
「倒産で完成が遅れた場合、仮住まい家賃や引越し変更費は保証されますか?」
「保証されない費用は、具体的に何ですか?」
「完成保証があります」という一言で安心してはいけません。
家を完成させる費用と、完成まで生活を維持する費用は、別の問題です。










