住宅会社が倒産したら、支払った契約金は戻ってくる?
Q. 住宅会社と工事請負契約を結び、契約金を支払った直後に会社が倒産しました。まだ工事はほとんど始まっていません。支払った契約金は全額戻ってくるのでしょうか?
A. 返還を求めることはできますが、全額戻るとは限りません。住宅会社が破産していれば、返還請求できる金額を破産債権として届け出ることになり、会社に財産が残っていなければ、ほとんど回収できない可能性もあります。
住宅完成保証が付いていれば、支払済み金額と工事出来高の差額を一定限度まで保証してもらえる場合があります。
契約金は別の口座で保管されているとは限らない
住宅会社へ支払った契約金は、銀行の預金のように施主ごとに保護されているわけではありません。
住宅会社は受け取ったお金を、
- 建築資材の仕入れ
- 協力業者への支払い
- 従業員の給与
- 事務所やモデルハウスの維持費
- 広告宣伝費
- 別の建築現場の支払い
- 借入金の返済
など、会社の運転資金として使用している可能性があります。
「まだ自分の家を建てていないのだから、そのお金は残っているはず」とは限りません。
倒産した時点で会社に現金が残っていなければ、契約金だけを優先して返してもらうことは難しくなります。
返還対象は「支払額-工事出来高」
工事が始まっている場合、支払った金額がそのまま返還対象になるわけではありません。
基本的には、
支払済み金額-完成している工事の価値=過払いの可能性がある金額
として考えます。
例えば、総額2,200万円の住宅で、
- 支払済み金額:660万円
- 現在の工事出来高:220万円
だった場合、
660万円-220万円=440万円
が、支払いに対して工事が進んでいない部分です。
ただし、この440万円を全額回収できるとは限りません。
破産手続で認められた金額を債権として届け出し、会社に残った財産から配当を受けることになります。
「工事が3割進んでいる」は誰が判断する?
住宅会社が倒産すると、営業担当者や現場監督から正確な説明を受けられない場合があります。
工事出来高は、見た目だけでは判断できません。
- 設計費
- 確認申請費
- 地盤調査費
- 発注済みの建材
- 基礎工事
- 現場仮設費
- 施工済み部分
- 現場に残る材料
などを確認し、現在の工事価値を算定します。
破産管財人が提示する出来高と、施主が考える出来高が一致しないこともあります。
必要に応じて、第三者の建築士や積算に詳しい専門家へ現場調査を依頼します。
工事前なら全額戻る?
着工前で工事出来高がほとんどなければ、契約金の大部分について返還を求められる可能性があります。
しかし、返還を求められることと、実際に返金されることは別です。
すでに設計、構造計算、確認申請、地盤調査、資材発注などが行われていれば、その費用を差し引かれる可能性があります。
さらに、住宅会社に返金できる財産が残っていなければ、返還額が認められても、実際の配当は一部またはゼロになることがあります。
全額支払っていたらどうなる?
引き渡し直前などに工事代金を全額支払い、住宅会社が倒産した場合は、完成していない部分の損害額を算定し、破産債権として届け出ることを検討します。
住まいるダイヤルの相談事例でも、工事代金を完済した後に施工会社が倒産したケースについて、現状のまま建物の引き渡しを受け、未完成による損害額を債権として届け出る可能性が示されています。住まいるダイヤル「全額支払い後に倒産した事例」
代金を全額支払っていても、別の会社が残工事を無料で完成させてくれるわけではありません。
瑕疵保険では契約金は戻らない
住宅瑕疵担保責任保険は、引き渡し後に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵が見つかった場合に備える制度です。
建築途中で住宅会社が倒産した際に、契約金や前払金を返すための保険ではありません。
契約金の損失へ備える制度は、住宅完成保証です。
この2つを混同してはいけません。
完成保証なら契約金は全額守られる?
完成保証があっても、契約金が無制限に全額保証されるわけではありません。
保証制度ごとに、
- 保証限度額
- 支払時期
- 工事出来高
- 免責事項
- 保証開始日
- 対象となる前払金
が決められています。
例えば住宅あんしん保証では、前払金を「支払済み金額から既施工部分の出来高を差し引いた金額」とし、請負金額の30%または1,100万円のいずれか低い金額などを保証限度としています。住宅あんしん保証「住宅完成保証制度」
また、完成保証制度が定めた支払割合を超えて住宅会社へ先払いした場合、その超過分が保証対象外になる制度もあります。
つまり、
完成保証がある会社でも、施主が支払条件を無視して前払いすると、守られないお金が生まれます。
倒産後すぐに行うこと
- 住宅会社への追加送金を止める
- 工事請負契約書と約款を確認する
- 振込記録・領収書・請求書を集める
- 現場の進捗を写真と動画で記録する
- 完成保証書と保証約款を確認する
- 保証会社へ倒産を連絡する
- 破産管財人や代理人弁護士へ連絡する
- 裁判所から届いた債権届出期限を確認する
- 第三者へ工事出来高の調査を依頼する
- 金融機関へ工事停止を報告する
住宅会社の元社長や営業担当者から別口座への振込みを求められても、破産管財人の確認なしに送金してはいけません。
デザインハウス甲府からのアドバイス
契約金を多く払えば、住宅会社が安くしてくれる。
早く払えば、資材を確保できる。
このような説明を受けても、工事の進捗を超える前払いは避けてください。
倒産したとき、値引きで得した数十万円より、戻らない契約金の方が何倍も大きくなる可能性があります。
デザインハウス甲府では、工事の進捗に合わせた支払条件を設定し、万一の工事中倒産に備えて全棟に住宅完成保証を付けています。
契約前に住宅会社へ、次の質問をしてください。
「契約直後に倒産した場合、支払った契約金はいくらまで保証されますか?」
「私の建物に発行された完成保証書を見せてもらえますか?」
「この支払スケジュールは、完成保証の支払条件以内ですか?」
会社を信用することと、お金を先に渡すことは別です。
家が完成する前に、工事の価値を超えるお金を住宅会社へ預けてはいけません。










