Q. 退職金を住宅ローン返済に使うべき?
A. 全額返済には使わない方が安全です。90歳までの生活費・修繕費・医療介護費を確保し、余った分だけ返済に使います。
住宅ローンを完済すれば毎月返済はなくなります。しかし、退職金までなくなると、生活費や介護費が必要になったときに取り戻せません。
大切なのは「完済できるか」ではなく、完済後も老後資金が足りるかです。
退職金を使う前の計算式
返済に使える退職金=退職金と金融資産-90歳までに必要な老後資金
先に確保するのは次のお金です。
- 年金で不足する生活費
- 生活防衛資金
- 外壁・屋根などの修繕費
- 給湯器・エアコン交換費
- 車の買い替え費
- 医療・介護予備費
- 配偶者が1人になった後の生活費
これらを確保して残ったお金だけを、繰上返済へ回します。
年金だけで生活費が足りない可能性
厚生労働省が示す2026年度のモデル年金は、夫婦2人で月額23万7,279円です。ただし、実際の年金額は収入や加入期間によって異なります。厚生労働省のモデル年金
総務省統計局の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得は月約22万2,000円、消費支出は月約26万4,000円でした。2025年家計調査
平均でも毎月約4万2,000円不足します。
65歳から90歳まで25年間続けば、単純計算で約1,270万円です。
退職金1,500万円の具体例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 退職金 | 1,500万円 |
| 住宅ローン残高 | 1,000万円 |
| 完済後に残る金額 | 500万円 |
500万円を65歳から90歳まで25年間で使うと、月約1万7,000円です。
年金不足、住宅修繕、車、医療・介護費を考えると、500万円では不足する可能性があります。
「1,000万円あれば完済できる」ではなく、「1,000万円払った後に生活できるか」で判断します。
全額返済を避けた方がよい人
- 退職金以外の預貯金が少ない
- 年金だけでは毎月赤字になる
- 自宅が築20年以上
- 車の買い替えが必要
- 医療・介護費を準備していない
- 配偶者の年金が少ない
- 住宅ローン金利が低い
- 団信の保障を残したい
- 住宅ローン控除が残っている
低金利の住宅ローンを返すために現金を失い、後から修繕ローンやカードローンを借りるのは本末転倒です。
返済を検討してよい人
- 90歳までの生活費を確保している
- 修繕・車・介護費を別に準備している
- 住宅ローン金利が高い
- 変動金利の上昇が不安
- 毎月返済が年金家計を圧迫する
- 完済しても十分な金融資産が残る
- 団信や住宅ローン控除への影響を確認した
それでも、全額返済ではなく一部繰上返済から検討します。
期間短縮型と返済額軽減型
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| 期間短縮型 | 完済を早め、利息を多く減らしやすい |
| 返済額軽減型 | 毎月返済を下げ、年金家計を改善する |
退職後の毎月収支が赤字なら、返済額軽減型が適する場合があります。
完済年齢を早めたいなら期間短縮型です。金融機関に両方の試算を依頼してください。
団信も確認する
団信に加入している場合、死亡や所定の高度障害などに該当すると、住宅ローン残高が保険で返済される可能性があります。
退職金1,000万円を繰上返済した直後に団信が適用されても、先に返した1,000万円が家族へ戻るわけではありません。
健康状態、配偶者の生活費、団信の保障内容も含めて判断します。
俺流結論
退職金を受け取ったからといって、住宅ローンへ自動的に充当してはいけません。
私なら、まず90歳までの生活費、住宅修繕、車、医療・介護費を計算します。その金額を現金・運用資産として確保し、余った分だけ繰上返済します。
住宅ローンがなくても、現金もなくなれば老後は守れません。
完済する安心より、いつでも使える現金を残す安心を優先します。










