解体時に地中から出てくる「地中障害物(昔の基礎や瓦)」の追加費用リスク。
こんなご相談をいただきました
古い実家を解体して建て替える予定です。
解体会社から「地中から昔の基礎や瓦、浄化槽などが出た場合は別途費用」と説明されました。どのくらいの追加費用がかかるのでしょうか。また、本当に地中から出てきたのか、施主はどのように確認すればよいですか?
A. 地中障害物は、建物を解体して地面を掘らなければ分からないことがあります。ただし、解体会社から写真も数量も示されないまま、「地中埋設物一式」として追加請求を受け入れてはいけません。
地中障害物とは?
地中障害物とは、新築工事や土地利用の妨げになる、地中に埋まった構造物や廃棄物です。
古い住宅の解体では、次のようなものが見つかることがあります。
- 以前の建物のコンクリート基礎
- コンクリートブロック
- 瓦・レンガ・陶器
- 古い浄化槽・便槽
- 井戸
- 地下室・防空壕
- 給排水管・ガス管
- 庭石・大きな樹木の根
- 焼却炉・地下タンク
- 建築廃材や生活ごみ
- 土壌汚染の可能性がある土
現在の建物より前にあった住宅の基礎や浄化槽が、そのまま埋められているケースもあります。
なぜ最初の見積もりに入らない?
通常の解体見積もりは、現地で確認できる建物、基礎、外構、樹木などをもとに作成します。
地中に何があるかは外から確認できないため、見積書では次のように記載されることがあります。
地中埋設物、地中障害物、土壌汚染が発見された場合は別途費用
この記載自体が不適切なのではありません。
問題は、発見時の確認方法、撤去単価、施主の承認手順が決まっていないことです。
追加費用の目安
地中障害物の種類や量、掘削深さ、運搬距離、処分先によって金額は大きく変わります。
一般的な戸建住宅での目安は次のとおりです。
| 地中障害物 | 追加費用の目安 |
|---|---|
| 瓦・レンガなど少量 | 5万~20万円程度 |
| 古いコンクリート基礎 | 10万~50万円以上 |
| 古い浄化槽・便槽 | 10万~40万円程度 |
| 井戸の撤去・埋め戻し | 10万~50万円以上 |
| 大きな庭石・樹木根 | 5万~30万円程度 |
| 大量のコンクリート・廃材 | 50万~100万円以上の場合あり |
| 地下室・防空壕・地下タンク | 数十万~数百万円の場合あり |
| 汚染土・有害物質 | 調査・処分で高額になる可能性 |
あくまで目安であり、同じ浄化槽でも大きさや中身、重機の搬入条件によって費用は変わります。
発見したら工事を止めて確認する
地中障害物が見つかった場合、解体会社はすぐに撤去を進めるのではなく、施主または元請の住宅会社へ報告する必要があります。
確認する手順は次のとおりです。
- 該当部分の作業を一時停止する
- 埋設物が地中にある状態で撮影する
- 大きさが分かるようにメジャーを当てる
- 種類、深さ、数量を記録する
- 撤去方法と追加見積もりを提出する
- 施主の承認を得てから撤去する
- 搬出・処分状況を記録する
- 撤去後の地面を撮影する
すでにトラックへ積み込まれた後で、「大量に出たので50万円追加です」と言われても、施主は数量を確認できません。
必ず、地中にある状態の写真を確認してから追加工事を承認してください。
見積書は「一式」にしない
追加見積もりでは、次の項目を分けてもらいます。
- 重機による掘削費
- コンクリートの破砕費
- 人工作業費
- 積み込み費
- 運搬費
- 処分費
- 埋め戻し土
- 転圧費
- 追加作業日数
少なくとも、重量、体積、トラック台数など、数量を示してもらう必要があります。
契約前に、コンクリート、瓦、残土などの処分単価を確認しておくと、発見後の交渉がしやすくなります。
撤去費は誰が負担する?
建て替え前から土地に埋まっていた障害物で、事前に確認できなかったものは、一般的には土地所有者である施主の追加負担となるケースが多くあります。
ただし、次の場合は扱いが異なります。
- 当初契約に撤去費が含まれていた
- 解体会社が撤去すべき旧基礎を残していた
- 工事中に解体会社が廃材を埋めた
- 売主から購入した土地に埋設物があった
- 売買時に埋設物がないとの説明を受けていた
- 住宅会社が調査済みとして総額保証していた
購入した土地から障害物が見つかった場合は、売買契約の契約不適合責任や通知期限が問題になることがあります。
勝手に撤去して証拠をなくす前に、売主、不動産会社、専門家へ連絡してください。
撤去せずに埋め戻すのは危険
「新しい建物の基礎に当たらないから、そのままでよい」と言われることがあります。
しかし、地中障害物を残すと、次の問題が起こる可能性があります。
- 地盤調査の結果に影響する
- 地盤改良工事ができない
- 不同沈下の原因になる
- 給排水管や外構工事に支障が出る
- 将来の増築や建て替えで再び問題になる
- 売却時に買主への説明が必要になる
- 不法な廃棄物の埋設と疑われる
建設廃棄物は、種類に応じて適正に運搬・処分しなければなりません。環境省・建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理
撤去した廃材は処分先やマニフェストなどを確認し、再び敷地へ埋め戻させないことが重要です。
解体前にできる調査
地中障害物を完全に見つけることは困難ですが、リスクを下げる方法はあります。
- 過去の住宅図面を確認する
- 古い航空写真や住宅地図を見る
- 親や近隣住民へ土地の履歴を聞く
- 浄化槽や井戸の位置を確認する
- 過去の増改築・解体履歴を調べる
- 不自然な地面の沈みや舗装を確認する
- 必要に応じて地中レーダー調査を行う
- 建物解体後に試掘する
ただし、地中レーダーでも材質や深さ、土の状態によって発見できないものがあります。
「調査したから絶対に何も出ない」という保証にはなりません。
予備費を確保する
古い実家の建て替えでは、地中障害物、アスベスト、地盤改良、擁壁など、解体後に判明する費用があります。
建て替え総額を手元資金いっぱいで組まず、少なくとも100万~200万円程度の予備費を別に確保しておくと安心です。
ただし、予備費があることを理由に、根拠のない追加請求を認める必要はありません。
写真、数量、単価を確認したうえで支払います。
解体工事完了時に確認すること
解体が終わったら、次の内容を確認してください。
- 古い基礎がすべて撤去されている
- 浄化槽や便槽が残っていない
- 井戸の処理方法が記録されている
- 瓦やコンクリート片が埋め戻されていない
- 境界杭が残っている
- 隣地の塀や道路を傷つけていない
- 地中障害物の撤去前後写真がある
- 廃棄物が適正に処理されている
新築工事が始まると地面が基礎で覆われるため、確認できなくなります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
地中障害物は、最初から正確な金額を確定できない費用です。
だからこそ、「出たら別途」で終わらせず、発見時の確認と追加承認のルールを契約書へ入れる必要があります。
デザインハウス甲府では、地中障害物が見つかった場合、写真、寸法、数量、撤去方法、処分費を確認し、施主の承認を得てから撤去を進めます。
最も危険なのは、解体会社がすべて撤去した後に、証拠のない追加請求書だけが届くことです。
地中障害物は追加費用が出る可能性を想定しつつ、写真と数量で確認できる仕組みを契約前に決めてください。










