親子リレーローンを組む際、子どもの住宅ローン控除や単独ローンへの影響は?
こんなご相談をいただきました
70代の親が建て替えを希望していますが、年齢の関係で子どもを後継者とする親子リレーローンを勧められました。
子どもは現在賃貸住宅に住んでおり、将来は自分の家を建てる予定です。親子リレーローンへ入ると、子どもの住宅ローン控除や将来の単独ローンに影響しますか?
A. 大きく影響します。子どもは将来返済を引き継ぐだけでなく、借入当初から連帯債務者になる商品があります。その場合、親が返済していても、子ども自身の住宅ローンとして審査されます。
「将来引き継ぐだけ」ではない
親子リレーローンは、親が先に返済し、年齢を重ねた後に子どもが返済を引き継ぐ仕組みです。
その説明だけを聞くと、子どもは将来までローンと無関係に思えます。
しかし、【フラット35】の親子リレー返済では、後継者である子どもは借入当初から連帯債務者になります。【フラット35】親子リレー返済
連帯債務者には、主債務者と同様に返済義務があります。
親が毎月の返済をすべて行っていても、子どもの信用情報上では「親のローンを手伝っているだけ」とは扱われません。
将来の単独住宅ローンで既存借入として審査される
子どもが数年後に自分の家を購入しようとすると、金融機関は親子リレーローンの残高と年間返済額も確認します。
住宅ローン審査では、一般的に次の借入を合計して返済負担を判断します。
- 親子リレーローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットの分割払い
- 新たに申し込む住宅ローン
たとえば、子どもの年収が600万円あり、新居の住宅ローンだけなら返済できる場合でも、親子リレーローンの年間返済額が加算されると、希望額を借りられない可能性があります。
金融機関によっては、実際に親が返済していることを通帳などで確認し、一定の考慮をする場合もあります。しかし、子どもに法的な返済義務がある事実は変わりません。
2本目の住宅ローンを組めないとは限らない
親子リレーローンへ入ったら、二度と住宅ローンを組めないわけではありません。
次の条件を満たせば、2本目のローンを利用できる可能性はあります。
- 2本の年間返済額を含めても返済能力がある
- 安定した収入がある
- 十分な自己資金がある
- 親が実際に返済している証拠がある
- 新しい住宅へ本人が居住する
- 金融機関が複数借入を認める
ただし、借入可能額が減ったり、希望する金融機関を利用できなかったりする可能性があります。
「そのとき別の銀行で借りればよい」という簡単な問題ではありません。
親のローンから子どもの名前を外すのは簡単ではない
親子リレーローンを契約した後、子どもに住宅購入の予定ができたからといって、連帯債務者から自由に外れることはできません。
子どもを外すには、金融機関の承諾が必要です。
主に次の方法が考えられます。
- 親が残債を一括返済する
- 親単独で借り換える
- 別の親族を債務者に加えて借り換える
- 対象住宅を売却して完済する
- 金融機関が債務者変更を認める
高齢になった親が単独で借り換えることは、年齢、収入、団信の面から難しい場合があります。
親子間で「今後は親だけが払う」と決めても、金融機関との契約上、子どもの返済義務はなくなりません。
子どもの住宅ローン控除は居住と持分が重要
子どもが親子リレーローンの連帯債務者になれば、自動的に住宅ローン控除を受けられるわけではありません。
一般的には、次のような要件を確認する必要があります。
- 子どもが対象住宅に居住している
- 子どもが建物や土地の持分を所有している
- 子どもが住宅ローンの債務を負担している
- 床面積、所得、返済期間などの要件を満たす
- 年末時点のローン残高がある
子どもが別の場所に住み、親だけが融資対象住宅に居住する場合、子ども自身の住宅ローン控除は原則として難しくなります。
【フラット35】の親族居住用住宅でも、原則として住宅ローン控除は利用できず、融資住宅へ居住する連帯債務者など一定の場合に利用できると案内されています。親族居住用住宅の注意事項
控除額は、子どもの持分や実際の債務負担額などによっても変わるため、税務署または税理士へ確認してください。
名義と返済割合を曖昧にしない
親子でローンを組む場合は、土地・建物の持分と資金負担を一致させる必要があります。
たとえば建築費3,000万円について、親が1,000万円、子どもが2,000万円を実質的に負担するなら、建物持分も親3分の1、子ども3分の2とするのが一つの考え方です。
実際の資金負担と登記持分が大きく異なると、親子間の贈与と判断される可能性があります。
一方、子どもへ持分を持たせると、その住宅は子どもの資産になります。
将来、子どもが自分の家を購入する際にも、既存住宅の所有状況、ローン残高、固定資産税などを説明する必要があります。
子どもの配偶者にも説明が必要
親子リレーローンで見落とされやすいのが、子どもの配偶者です。
子どもが連帯債務者になると、将来の夫婦の住宅計画へ影響します。
- 自分たちの借入可能額が減る
- 配偶者単独でローンを組む必要が生じる
- 教育費と2本のローンが重なる
- 親の介護費用も発生する
- 親の家を相続できるとは限らない
子ども本人が承諾していても、その配偶者が知らなければ、後から大きな家族問題になります。
親子リレーローンは、親と子だけで決めず、子どもの配偶者も含めて話し合ってください。
契約前に将来の借入可能額を審査する
子どもが将来、自分の住宅を建てる予定なら、親子リレーローンへ入る前に2段階の審査を行うべきです。
現在
親子リレーローンをいくら借りられるか確認します。
5年後・10年後
親子リレーローンの残高を残したまま、子どもが自分の住宅ローンをいくら借りられるか試算します。
確認する数字は次のとおりです。
- 子どもの将来年収
- 親子リレーローンの年間返済額
- 将来時点の残高
- 子どもの教育費
- 自動車ローン
- 自宅購入に必要な金額
- 2本合計の毎月返済額
親の建て替えだけを成立させる審査では不十分です。
親子リレーローン以外も比較する
子どもの将来計画へ影響が大きい場合は、次の方法も比較してください。
- 親の自己資金を増やして借入額を減らす
- 建物を小さくして総額を抑える
- 親単独の短期住宅ローン
- 団信任意の【フラット35】
- 高齢者向け返済特例
- 子ども単独の親族居住用住宅ローン
- 建て替えではなく小規模リフォーム
親子リレーローンを使わなければ建てられない規模なら、その建て替え計画自体が大き過ぎないか見直す必要があります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
親子リレーローンは、親の年齢を理由に短くなる返済期間を、子どもの年齢を基準に延ばせる仕組みです。
しかし、返済期間を延ばした分だけ、子どもの将来へ債務を移すことになります。
デザインハウス甲府では、親の建て替え資金だけでなく、子どもが5年後、10年後に自分の家を取得できるかまで確認します。
子どもは「名前を貸すだけ」ではありません。連帯債務者になれば、親が返済中でも子ども自身の借金です。
親の家を建てられるかだけで判断せず、子どもの住宅、教育費、老後資金を含めても成立する場合に限って利用すべきです。










