親の名義の家を子どもが資金を出して建替える場合の「贈与税」の注意点。
こんなご相談をいただきました
75歳の父名義の家を、子どもである私が住宅ローンを組んで建て替える予定です。
土地は父名義のままですが、新しい家も父名義にすると贈与税がかかるのでしょうか。親子で同居する場合、どのような名義にすればよいですか?
A. 子どもが建築費を負担したのに、新しい建物を親名義にすると、子どもから親への贈与と判断される可能性があります。原則は、実際に資金を出した割合と建物の登記持分を一致させることです。
古い家と建て替え後の家は別の財産
「親名義の家を建て替える」という言い方から、新居も自動的に親名義になると思われがちです。
しかし、古い家を解体すれば、その建物の所有権はなくなります。新しく建てる家は、建築費を誰が負担したかによって所有者を決めるのが基本です。
たとえば、建築費2,500万円をすべて子どもが負担する場合、建物を子ども名義にすれば、通常は資金負担と所有権が一致します。
ところが、子どもが2,500万円を負担し、新居を父親名義にすると、父親が子どもから2,500万円相当の利益を受けたと判断される可能性があります。
親子だから自由に名義を決められるわけではありません。
出資割合と登記持分を一致させる
親と子が共同で建築費を負担する場合は、それぞれの負担割合に合わせて共有登記します。
たとえば、建築総額が3,000万円の場合を考えます。
| 資金負担 | 適切な建物持分 |
|---|---|
| 親1,000万円 | 3分の1 |
| 子2,000万円 | 3分の2 |
親子で2分の1ずつ登記すると、親は1,000万円しか負担していないのに、1,500万円分の持分を持つことになります。
差額の500万円について、子どもから親への贈与と判断される可能性があります。
国税庁も、住宅の購入資金の負担割合と登記持分が異なる場合、差額について贈与税の問題が生じると説明しています。資金負担と所有権登記の考え方
親名義の土地に子ども名義の家は建てられる
土地が親名義でも、建物を子ども名義にすることは可能です。
親へ地代や権利金を支払わず、無償で土地を借りて子どもが家を建てる形を「使用貸借」といいます。
個人間で親の土地を使用貸借し、子どもが自分名義の家を建てる場合、土地を使用する権利の価額はゼロとして扱われ、通常は借地権相当額について子どもへ贈与税は課税されません。親の土地に子どもが家を建てた場合
ただし、土地そのものを子どもが取得したわけではありません。将来、親が亡くなったときには、土地は親の相続財産になります。
住宅ローンでは親の土地も確認される
子どもが住宅ローンを組み、親名義の土地に家を建てる場合、金融機関から次のような対応を求められることがあります。
- 親による土地使用の承諾
- 親名義の土地への抵当権設定
- 親が物上保証人になること
- 親子関係を確認する書類
- 土地・建物を一体とした担保設定
- 他の相続人への説明
親が住宅ローンを返済するとは限りませんが、土地を担保として提供すれば、子どもが返済できなくなった場合に土地を失う可能性があります。
親には「名前を貸すだけ」と説明せず、抵当権設定の意味まで金融機関から説明を受けてください。
親が資金を出す場合は子どもへの贈与に注意
反対に、建物を子ども単独名義にする一方で、親が建築費の一部を負担すると、親から子どもへの贈与と判断される可能性があります。
対策としては、主に次の方法があります。
- 親の出資額に応じて建物を共有名義にする
- 親から子への貸付けとして契約する
- 住宅取得等資金の贈与税非課税制度を検討する
- 相続時精算課税制度を検討する
親子間の貸付けにする場合は、借用書を作るだけでは不十分です。
返済期限、金利、毎月の返済額を定め、実際に子どもの口座から親の口座へ返済した記録を残す必要があります。返済実態がなければ、実質的な贈与と判断される可能性があります。
税制特例には、年齢、所得、住宅性能、床面積、入居期限などの条件があるため、契約前に税理士へ確認してください。
増築と建て替えは扱いが異なる
古い家を解体せず、親名義の建物へ子どもが増築費用を出す場合は、特に注意が必要です。
増築部分は原則として既存建物と一体になり、親の所有物になります。親が対価を支払わなければ、子どもが負担した増築費相当額について、親への贈与となる可能性があります。
国税庁は、子どもが負担した増築資金に相当する建物持分を子どもへ移転して共有にする方法を示しています。ただし、親から子への持分移転に譲渡所得の問題が生じる場合があります。親名義の建物に子どもが増築した場合
建て替えと増築では税務上の整理が異なるため、同じように考えてはいけません。
将来の相続まで決めておく
親名義の土地に子ども名義の家を建てる場合、建築時の贈与税だけでなく、将来の相続も考える必要があります。
親が亡くなり、土地を兄弟姉妹で共有することになると、次の問題が起こる可能性があります。
- 建物所有者と土地相続人が異なる
- 他の相続人から土地代を求められる
- 土地を売却したくても建物がある
- 建物を担保にした借入が残る
- 遺産分割がまとまらない
子どもが住宅ローンを返済して家を建てたからといって、親の土地を自動的に相続できるわけではありません。
建築前に家族で話し合い、遺言書、生命保険、他の相続財産との配分などを検討しておきましょう。
契約前に決めるべき6項目
親子で建て替える場合は、住宅会社との契約前に次の項目を書面で整理してください。
- 土地の所有者
- 建物の所有者と持分割合
- 親と子それぞれの出資額
- 住宅ローンの債務者と実際の返済者
- 土地の使用貸借と抵当権設定
- 将来、土地と建物を誰が相続するか
契約後や登記直前に相談すると、資金計画や住宅ローンを組み直すことがあります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
親子の建て替えで最も危険なのは、「家族のお金だから、誰の名義でも同じ」と考えることです。
税務では、誰がいくら負担し、誰がその財産を取得したのかを見られます。
デザインハウス甲府では、建築費だけでなく、土地・建物の名義、出資割合、住宅ローン、抵当権、将来の相続まで確認して資金計画を進めます。必要に応じて、税理士、司法書士、金融機関と契約前に整理します。
子どもが全額を支払うなら、原則として新しい建物も子ども名義です。親名義の土地に建てられるからといって、名義を曖昧にしたまま契約してはいけません。
贈与税の問題は、家が完成してからでは修正が難しくなります。建築請負契約を結ぶ前に、資金負担と登記持分を確定させてください。










