登記簿の面積(公簿面積)と実際の面積(実測面積)が違う場合のトラブル対処法
A. 公簿面積と実測面積が違っても、直ちに建て替えられなくなるわけではありません。ただし、登記簿の面積だけで間取りを決めると、建物を小さくする、配置を変更するなどの手戻りが発生する可能性があります。
特に古くから所有している土地では、数㎡から数十㎡の差が出ることもあります。建替え前に、面積だけでなく「境界がどこにあるか」を確認することが重要です。
公簿面積と実測面積の違い
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 公簿面積 | 登記事項証明書に記録されている土地面積 |
| 実測面積 | 現地を測量して算出した面積 |
| 建築に使える敷地面積 | 接道・セットバックなどを反映した法的な敷地面積 |
登記簿に「200㎡」と記載されていても、実際に測ると190㎡しかない場合があります。さらに道路後退が必要なら、建築面積を計算する敷地はもっと小さくなる可能性があります。
面積が違う主な原因
- 明治・大正期などの古い測量精度
- 縄や簡易な方法で測られていた
- 過去の分筆・合筆時の誤差
- 境界杭がなくなった、または動いた
- 塀が境界と一致していない
- 隣地からの越境・隣地への越境
- 道路拡幅やセットバック
- 相続時に測量せず登記を引き継いだ
- 公図と現況の形状が一致していない
法務省も、登記上の地積と実測面積が異なる場合に、地積更正登記によって実測面積へ修正する制度を案内しています。法務省「分筆や地積更正登記について」
実測面積が小さい場合
最も注意したいケースです。
例えば、公簿面積200㎡、建ぺい率60%なら、単純計算では建築面積120㎡まで可能に見えます。
しかし、実測面積が185㎡なら、
185㎡×60%=111㎡
となり、建築面積は9㎡、約2.7坪小さくなります。
さらにセットバック部分が10㎡あれば、建築面積を計算する敷地面積が175㎡となり、
175㎡×60%=105㎡
まで縮小する可能性があります。
公簿面積を前提に間取りを完成させていると、確認申請前に玄関、収納、居室などを削ることになりかねません。
実測面積が大きい場合も安心できない
実測すると登記簿より広かった場合でも、その部分が自動的に自分の土地になるわけではありません。
- 隣地を事実上使っている
- 道路部分を敷地へ含めている
- 古い塀が隣地側へずれている
- 水路や里道が含まれている
といった可能性があります。
境界を確定せずに「実測では広いから大きな家が建つ」と判断すると、後から隣地所有者とのトラブルになる恐れがあります。
現況測量と確定測量の違い
現況測量
現在見えている塀、杭、建物、道路などを測る方法です。設計初期の配置検討には役立ちますが、隣地所有者と境界を合意したことにはなりません。
確定測量
隣接する土地の所有者や道路管理者などに立ち会ってもらい、境界を確認する測量です。売却、分筆、地積更正、境界トラブルの予防には確定測量が重要です。
一般的な宅地でも、確定測量には数か月かかることがあります。隣地所有者が不明、相続登記が未了、官有地との境界確認が必要といった場合は、さらに長期化します。
費用も、一般的な住宅地で数十万円から、境界点や隣接所有者が多い土地ではそれ以上になることがあります。
地積更正登記は必ず必要か
公簿面積と実測面積が違っても、建て替えのたびに必ず地積更正登記が必要になるわけではありません。
ただし、次の場合は土地家屋調査士へ相談した方がよいでしょう。
- 面積差が大きい
- 分筆や土地の一部売却を予定している
- 金融機関から求められた
- 境界を明確にして子どもへ相続したい
- 将来の売却を予定している
- 隣地との境界に争いがある
- 建築可能面積へ影響する
地積更正登記を行うには、原則として正確な測量と境界関係の資料が必要になります。
建替え前に確認する資料
- 土地の登記事項証明書
- 公図
- 地積測量図
- 建築確認申請時の配置図
- 過去の売買契約書
- 境界確認書
- 道路境界確定図
- 現地の境界杭
- セットバックに関する資料
登記事項証明書、公図、地積測量図などは法務局で取得できます。法務局「登記事項証明書・地図・図面証明書の取得」
古い配置図に線が描かれているだけでは、境界が確定している証明にならないことがあります。
安全な進め方
- 法務局資料を取得する
- 現地で境界杭を探す
- 建築士と土地家屋調査士が資料を確認する
- 必要に応じて現況測量を行う
- 道路種別とセットバックを確認する
- 建築に使える敷地面積を確定する
- その面積を基に間取りと総額を決める
- 必要なら確定測量・地積更正登記を行う
測量前に建物契約をすると、面積不足による設計変更や追加費用が発生する可能性があります。
デザインハウス甲府では、登記簿に記載された坪数だけで間取りを作らず、境界、道路、セットバック、擁壁、工事車両の進入まで確認したうえで配置を決めます。
土地で重要なのは、登記簿に何坪と書いてあるかではありません。「法的にどこからどこまでを建築敷地として使えるか」を確認することです。










