親子リレーローンで、親が死亡した際に「親の分の債務」は団信でチャラになる?子への引き継ぎルール。
こんなご相談をいただきました
65歳の親と35歳の子どもで、親子リレーローンを利用して建て替える予定です。
返済途中で親が亡くなった場合、親が返済する予定だった分は団体信用生命保険でなくなるのでしょうか。それとも、残りをすべて子どもが引き継ぐのでしょうか?
A. 親が亡くなっただけで、親の返済予定分が自動的になくなるわけではありません。誰が団信へ加入しているか、保険でいくら弁済される契約かによって結果が変わります。
親子リレーローンに「親の分・子の分」がない場合もある
親子リレーローンは、親が一定期間返済し、その後を子どもが引き継ぐ仕組みです。
ただし、ローン残高が「親の分1,000万円、子の分2,000万円」のように、明確に分割されているとは限りません。
たとえば【フラット35】の親子リレー返済では、後継者である子どもは借入当初から連帯債務者になります。【フラット35】親子リレー返済の条件
そのため、親が亡くなっても団信で弁済されなければ、子どもには残った住宅ローンを返済する義務が残ります。
結果を決めるのは団信の加入者
最初に確認すべきなのは、次の3点です。
- 親と子のどちらが団信へ加入しているか
- どちらかが死亡した場合、残債の全額と一部のどちらが弁済されるか
- 親子2人を保障する団信を選べるか
一般的な結果は、次のように分かれます。
| 団信の加入状況 | 親が死亡した場合 |
|---|---|
| 親が加入・残債全額保障 | 保険が適用されれば残債全額が弁済 |
| 子のみ加入 | 親の死亡では団信が適用されず返済継続 |
| 親が未加入 | 原則として債務が残る |
| 親子それぞれ一部保障 | 契約で定めた割合のみ弁済 |
| 親子2人を保障する連生型 | 商品ごとの保障条件による |
金融機関によって仕組みが違うため、「親子リレーなら親が亡くなれば親の分はなくなる」という説明を信用してはいけません。
【フラット35】では加入者死亡時に残債全額が弁済される
現在の機構団信では、団信加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合、保険が適用されれば住宅ローン残高の全額が弁済されます。
親子リレー返済で債務者が2人いる場合も、加入者の住宅持分や返済割合にかかわらず、残債全額が弁済されると案内されています。機構団信で債務弁済される場合
つまり、親が団信加入者なら、親の死亡時に「親の予定分だけ」ではなく、残債全額が弁済される可能性があります。
反対に、団信加入者が子どもだけなら、親が亡くなっても保険事故には該当せず、返済は続きます。
ただし、民間金融機関の親子リレーローンがすべて同じ仕組みとは限りません。
親が団信に加入できないケースもある
シニア世代では、年齢や健康状態によって、親が団信へ加入できないことがあります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 心疾患
- がんの治療歴
- 脳血管疾患
- 通院・服薬中
- 団信の加入年齢上限を超えている
この場合、子どもだけが団信へ加入する商品や、団信へ加入せずに借りられるローンを選ぶことがあります。
親が団信へ加入していない状態で死亡しても、団信による弁済はありません。
「親の年齢でもローンが組める」ことと、「親の死亡時にローンがなくなる」ことは別問題です。
相続放棄をしても子どもの返済義務が消えるとは限らない
親が亡くなり、親の借金を相続した場合、相続放棄を検討することがあります。
しかし、親子リレーローンで子どもが最初から連帯債務者になっている場合、子どもの返済義務は相続によって生じたものではありません。
子ども自身が契約した債務です。
したがって、親の相続を放棄しても、子ども自身の連帯債務まで消えるとは限りません。
相続放棄は、住宅ローンだけを放棄して、親の預金や土地だけを相続することもできません。家庭裁判所への申述期限もあるため、相続発生後は早めに弁護士や司法書士へ相談してください。
ローンがなくなっても親の持分は相続される
団信で住宅ローン残高が全額弁済されても、親が所有していた土地や建物の持分まで自動的に子どもへ移るわけではありません。
親名義の財産は相続財産になります。
相続人が複数いる場合、次のような問題が起こる可能性があります。
- 建物持分を兄弟姉妹が相続する
- 親名義の土地が共有になる
- 家に住む子どもへ代償金を求められる
- 売却や借り換えに相続人全員の協力が必要になる
- 団信でローンがなくなった家の価値を巡って揉める
親子リレーローンを利用するなら、返済方法だけでなく、親の持分を誰が相続するのかも決めておく必要があります。
建物持分と資金負担も一致させる
親と子が共同で建築費を負担する場合は、実際の資金負担に合わせて建物持分を登記することが基本です。
たとえば建築費3,000万円のうち、親が1,000万円、子どもが2,000万円を負担するなら、建物持分は親3分の1、子ども3分の2が一つの考え方です。
資金負担と持分が大きくずれると、親子間の贈与と判断される可能性があります。
さらに、団信で残債が弁済された後の税務や相続への影響も、契約形態や持分によって変わります。契約前に税理士へ確認してください。
契約前に金融機関へ聞く7項目
親子リレーローンを検討する際は、口頭説明だけでなく、次の回答を書面でもらいましょう。
- 親と子の法的な立場は何か
- 団信へ加入するのは誰か
- 親が死亡した場合、残債はいくら弁済されるか
- 子どもが死亡した場合はどうなるか
- 親が団信へ加入できない場合の代替策
- 団信が不払いとなる条件
- 親の死亡後に必要な手続きと返済方法
「親の分は団信で消えますか?」だけでは不十分です。
親が死亡した翌月から、誰がいくら返済するのかを具体的に確認してください。
団信が支払われない場合もある
団信へ加入していても、必ず保険金が支払われるとは限りません。
告知内容に事実と異なる点がある場合や、免責事由、保障開始前の事故などに該当すると、債務が弁済されない可能性があります。
持病や通院歴を軽く考えず、告知書には本人が事実を正確に記入してください。
親の死亡後は、返済を勝手に止めず、速やかに金融機関へ連絡します。団信の加入状況が分からない場合も、まず取扱金融機関へ確認してください。
デザインハウス甲府からのアドバイス
親子リレーローンは、親の年齢だけでは組めない長期ローンを、子どもの年齢を基準に利用できる点がメリットです。
しかし、借入期間を延ばせることは、子どもが長期間返済義務を負うことでもあります。
デザインハウス甲府では、次の3つのケースで返済計画を確認します。
- 親が予定どおり返済できる場合
- 親が死亡し団信で全額弁済される場合
- 親が死亡しても団信が適用されず、子どもが返済する場合
最も厳しい3つ目のケースでも生活できる借入額に抑えることが重要です。
「親が亡くなればローンがなくなる」という前提だけで、借入額を増やしてはいけません。確認すべきなのは親の返済予定額ではなく、団信の加入者と残債全体の扱いです。
団信、建物持分、相続先の3点を契約前に整理してから、親子リレーローンを利用してください。










