見積書の数量と図面が違ったら、差額は誰が払う?
A. 一律に施主負担とは限りません。契約図面に記載された工事を住宅会社が見積もりから漏らしたのか、契約後に施主が追加したのかによって負担者が変わります。
例えば、契約図面には窓が10カ所あるのに、見積書では8カ所しか計上されていなかったとします。
着工後に住宅会社から、
「窓2カ所分が見積もりから漏れていたので、追加で60万円必要です」
と言われても、直ちに施主が払うと決まるわけではありません。
誰が払うかを決める5つのポイント
1.図面が契約書に添付されているか
契約時に正式な添付図面として双方が合意しているなら、その図面に描かれた内容も契約判断の重要な資料になります。
一方、契約前の参考図面や古い図面であれば、契約内容として扱われない可能性があります。
確認するのは、
- 図面の作成日
- 改訂番号
- 契約書に記載された図面番号
- 施主と住宅会社の確認印
- 「契約図面」という表記
です。
2.見積もり漏れか、施主の追加変更か
負担の判断が大きく変わります。
| 不一致の原因 | 一般的な考え方 |
|---|---|
| 住宅会社が数量を数え間違えた | 住宅会社負担となる可能性がある |
| 契約図面にある工事を見積もりから漏らした | 住宅会社負担となる可能性がある |
| 契約後に施主が追加した | 原則として施主負担 |
| 施主が図面変更を承認した | 変更内容に応じて施主負担 |
| 実費精算・数量精算と書かれている | 実際の数量で増減精算 |
| 契約書類が矛盾している | 契約条件と協議内容による |
重要なのは、誰の指示によって、いつ数量が変わったのかです。
3.請負金額が固定価格か
契約が「一式2,500万円」の固定請負金額なら、住宅会社の積算ミスだけを理由に、必ず追加請求できるとは限りません。
一方、見積書に、
- 数量確定後に精算
- 実測数量で増減
- 概算数量
- 実費精算
- 別途見積もり
などの記載があれば、実際の数量に応じて金額が変わる可能性があります。
4.契約書類の優先順位
契約書・約款・仕様書・図面・見積書の内容が違う場合、どの書類を優先するかが約款や特約に書かれていることがあります。
ただし、すべての住宅契約に共通する絶対的な優先順位があるわけではありません。
国土交通省も、契約内容に不明確・不正確な点があると、後日の紛争原因になり得ると説明しています。国土交通省「建設工事標準請負契約約款」
契約前に不一致が見つかったら、優先順位で解決しようとせず、図面と見積書の両方を修正します。
5.変更を事前に承認したか
追加費用が発生する場合は、施工前に次の内容を確認する必要があります。
- 変更理由
- 追加数量
- 商品・材料の品番
- 単価
- 取付工事費
- 税込追加額
- 工期への影響
住宅会社が金額を提示し、施主が書面で承認してから発注・施工するのが基本です。
住宅会社の見積もり漏れなら?
例えば、契約図面に窓10カ所が明確に記載されており、住宅会社が作成した見積書だけ8カ所だったとします。
この場合は住宅会社へ、次のように確認してください。
「契約後に私たちが追加した窓ではありません。契約図面には当初から10カ所あります。なぜ施主負担になるのか、契約書と約款上の根拠を示してください」
単に、
「担当者が数え間違えました」
「見積もりに入っていませんでした」
という理由だけで、施主負担が確定するわけではありません。
住宅会社が契約前に図面と見積書を作成し、その内容で固定価格の請負契約を結んだのであれば、住宅会社側の積算ミスとして扱われる可能性があります。
ただし、最終判断は契約書・約款・図面・見積書・打ち合わせ記録の内容によって変わります。
施主の変更なら施主負担
契約時は窓8カ所だったものを、契約後に施主が10カ所へ変更したなら、追加2カ所分は原則として施主負担です。
ただし、追加金額を知らされないまま施工された場合は問題が残ります。
変更時には、
「窓2カ所追加・商品代40万円・取付費15万円・電気や内装調整5万円・税込合計60万円」
など、施工前に差額見積もりを出してもらいます。
見積数量より少なかったら返金される?
これも契約方式によります。
例えば、見積書に外壁材200㎡と書かれていたものの、実際には190㎡だった場合です。
固定価格契約
合意した建物を固定金額で完成させる契約なら、実際の使用量が少なかっただけで自動的に減額されるとは限りません。
材料の端材・加工ロス・予備材などもあるためです。
数量精算契約
「実測数量で精算」と書かれているなら、数量が少ない場合は減額、多い場合は増額するのが基本です。
増えた場合だけ請求し、減った場合は返金しない仕組みになっていないか確認してください。
不一致が見つかったときの対応
工事中に見つかった場合は、次の順番で対応します。
- 該当部分の工事を一度止めてもらう
- 契約図面と見積書を並べる
- 不一致の原因を文書で確認する
- 契約書・約款の根拠を示してもらう
- 負担者と金額を決める
- 変更契約書を作成する
- 書面承認後に施工する
口頭で、
「必要な工事なので、とりあえず進めます」
と言われても、負担者と金額が決まるまで承認しないことが重要です。
ただし、紛争になった場合に自己判断で契約代金全体の支払いを止めると、別の問題が生じる可能性があります。金額が大きい場合は、契約資料をそろえて住宅専門の相談窓口や弁護士へ確認してください。
契約前に防ぐ方法
契約前に、図面から見積書へ数量を照合します。
- 窓
- 室内ドア
- 収納扉
- トイレ・洗面台
- 照明
- コンセント
- エアコン
- 換気口
- 収納棚
- 太陽光パネル
- 外部水栓
- 駐車場台数
- フェンス延長
住宅会社には、次のように依頼してください。
「契約図面と見積書の数量を照合し、不一致がないことを確認した一覧表をください」
さらに契約書へ、
「契約図面に記載され、施主による契約後の変更ではない工事について、請負者の積算漏れだけを理由とする追加請求は行わない」
という考え方を確認しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
差額を誰が払うかは、見積書だけでは決まりません。
契約図面・約款・変更時期・不一致の原因を確認し、住宅会社の見積もり漏れを自動的に施主負担にしないことが重要です。










