複数社から見積もりをとる「相見積もり」の正しいマナーと断り方。
こんなご相談をいただきました
建て替えを検討しているため、複数の住宅会社から見積もりを取りたいと考えています。
何社くらいに依頼するのが適切でしょうか。また、他社にも見積もりを依頼していることを伝えてよいのか、断る際に失礼にならない方法も教えてください。
A. 相見積もりは2~3社が適切です。ただし、同じ間取り・性能・工事範囲で依頼しなければ、正しい価格比較にはなりません。
相見積もりは住宅会社を値切るためではない
相見積もりの目的は、最も安い住宅会社を探すことではありません。
確認すべきなのは、次の違いです。
- 提示された金額の範囲
- 建物の構造と住宅性能
- 標準仕様とオプション
- 追加費用の考え方
- 保証とアフターサービス
- 担当者の説明力と対応
- 会社の経営状態や完成保証
同じ30坪の家でも、耐震性、断熱性、設備、外構工事などが違えば、500万円以上の価格差が出ることもあります。
金額だけを並べても、内容が違えば相見積もりにはなりません。
比較する住宅会社は2~3社で十分
住宅会社を5社、6社と比較すれば、より良い判断ができるとは限りません。
会社ごとに打ち合わせを行い、間取りや見積書を確認するには、大きな時間と労力がかかります。
比較する会社が多すぎると、次のような問題が起こります。
- 情報が多すぎて判断できなくなる
- 見積条件が会社ごとに変わる
- 打ち合わせ内容を混同する
- 断ることが目的になってしまう
- 最後は値引額だけで決めてしまう
性能、価格帯、工法などを事前に調べ、候補を2~3社に絞ってから見積もりを依頼するのが現実的です。
全社へ同じ条件を伝える
相見積もりでは、各社へ同じ要望を伝えなければなりません。
最低限、次の条件を統一しましょう。
- 延床面積と階数
- 部屋数と間取り
- 耐震等級と計算方法
- 断熱等性能等級とUA値
- 気密測定の有無と目標C値
- 換気システム
- 太陽光発電の容量
- 住宅設備のグレード
- 解体・外構・給排水工事の範囲
- 予算に含める諸費用
A社には断熱等級6、B社には断熱等級5で依頼して、B社が安いと判断するのは正しい比較ではありません。
間取りを完全に統一できない場合でも、面積、性能、設備、工事範囲は可能な限り揃えてください。
坪単価ではなく「住める状態の総額」で比較する
住宅会社によって、見積書へ含める範囲が異なります。
本体価格が安くても、次の費用が別途になっていることがあります。
- 解体工事
- 仮住まいと2回の引っ越し
- 屋外給排水工事
- 地盤改良工事
- 建築確認申請
- 長期優良住宅などの認定
- 照明・カーテン・エアコン
- 外構・駐車場工事
- 登記・融資・火災保険
- 消費税
比較すべきなのは「坪単価」や「建物本体価格」ではありません。
古い家の解体から新居へ入居するまでに、実際に必要となる総額です。
性能は名称ではなく数値で比較する
「高断熱」「高気密」「地震に強い家」という表現には、統一された基準がありません。
見積書と一緒に、次の数値や証明方法も確認してください。
| 比較項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 耐震性能 | 耐震等級と計算方法 |
| 断熱性能 | 断熱等級・UA値 |
| 気密性能 | 全棟測定の有無・C値 |
| 換気 | 第一種・第三種、熱交換率 |
| 窓 | 枠、ガラス、ガスの種類 |
| 太陽光 | パネル容量と保証 |
| 完成保証 | 工事中に倒産した場合の対応 |
| 長期保証 | 無償か、有償工事が条件か |
特に「耐震等級3相当」と正式な「耐震等級3」、「気密に配慮」と全棟気密測定では、意味がまったく異なります。
安い見積もりを値引き交渉の道具にしない
他社の見積書を見せて「この金額まで下げてください」と交渉する方法は、おすすめできません。
大幅な値引きが成立したように見えても、実際には次の部分が調整される可能性があります。
- 断熱材や設備のグレード
- 外構工事の予算
- 見積りに含める工事項目
- 現場管理や施工にかける手間
- 契約後の追加変更費
住宅は、まったく同じ商品を店舗ごとに比較する買い物ではありません。
適正価格の会社に無理な値引きを求めるより、不要な面積や設備を減らした方が、品質を落とさず総額を抑えられます。
相見積もりであることは伝えてよい
他社にも相談していることを隠す必要はありません。
最初の打ち合わせで、次のように伝えれば十分です。
現在、御社を含めて3社へ相談しています。価格だけではなく、総額、住宅性能、保証、担当者の対応を比較し、〇月末までに決める予定です。
候補会社数と決定時期を伝えることで、住宅会社も具体的なスケジュールを組みやすくなります。
一方で、存在しない他社価格を持ち出したり、何度も値引きだけを競わせたりする行為は、信頼関係を損ないます。
断るときは早く、簡潔に伝える
依頼しない会社が決まったら、できるだけ早く連絡してください。
詳しい言い訳や、他社の金額を伝える必要はありません。
次のような文章で十分です。
このたびは、間取りと見積もりをご提案いただき、ありがとうございました。家族で検討した結果、今回は別の会社へお願いすることに決めました。お時間をいただいたにもかかわらず申し訳ありません。丁寧にご対応いただき、ありがとうございました。
住宅会社から理由を聞かれた場合は、「総額」「性能」「間取り」「担当者との相性」など、決め手を簡潔に伝えましょう。
契約していない段階であれば、断ること自体は失礼ではありません。連絡をせず、そのまま放置する方が問題です。
デザインハウス甲府からのアドバイス
正しい相見積もりとは、価格表を横に並べることではありません。
同じ性能、同じ設備、同じ工事範囲で、入居までに必要な総額を比べることです。
デザインハウス甲府では、建物本体を安く見せて、契約後に付帯工事を積み上げる見積もりは行いません。
耐震等級3、断熱等級6、全棟気密測定、第一種熱交換換気、太陽光発電などの内容と、付帯工事を含めた総額を明確にしてご提案します。
相見積もりで最も警戒すべきなのは、最初に提示された安い金額です。
価格差があったら、どちらが安いかではなく、何が入っていないのかを確認してください。最初の見積もりが一番安い会社より、最後まで総額が変わりにくい会社を選ぶことが、後悔を防ぐ方法です。










