「住宅取得資金の贈与税の非課税特例」はシニアから子への贈与でどう使えますか?
結論:親や祖父母から子・孫へ、住宅資金を援助するときに利用できます
75歳の父親が、子どもの建て替え資金を援助する場合でも、一定の要件を満たせば「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」を利用できる可能性があります。
2026年12月31日までの贈与について、非課税限度額は次のとおりです。
| 取得する住宅 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 |
| 上記以外の住宅 | 500万円 |
贈与する親や祖父母に、この制度独自の上限年齢はありません。重要なのは、贈与を受ける子や孫、住宅、資金の使い方が要件を満たしているかです。
誰から誰への贈与が対象?
対象になるのは、父母や祖父母などの直系尊属から、子や孫への住宅資金贈与です。
- 父から子:対象になり得る
- 母から子:対象になり得る
- 祖父母から孫:対象になり得る
- 義父から子の配偶者:原則として対象外
- 兄弟から兄弟:対象外
- 子から親:対象外
義父から娘婿へ直接贈与しても、この特例の対象にはなりません。義父から実の娘へ贈与し、娘が住宅の取得資金を負担する場合は、娘の建物持分にも注意が必要です。
主な受贈者の要件
贈与を受ける子や孫には、主に次の要件があります。
- 贈与者の直系卑属である
- 贈与年の1月1日時点で18歳以上
- 合計所得金額が原則2,000万円以下
- 日本国内の対象住宅を新築・取得・増改築する
- 原則として贈与翌年3月15日までに資金を住宅取得へ充てる
- 取得した住宅に期限内に居住する、または遅滞なく居住する見込みがある
住宅の床面積や居住部分についても条件があります。
所得、建物面積、入居時期によって適用できない場合があるため、贈与前に税理士または税務署へ確認してください。
省エネ等住宅なら1,000万円まで
1,000万円の非課税枠を利用するには、住宅が一定の省エネルギー性能、耐震性能またはバリアフリー性能を満たし、それを書類で証明する必要があります。
「高性能住宅です」という住宅会社の説明だけでは足りません。
- 住宅性能証明書
- 建設住宅性能評価書
- 長期優良住宅の認定書類
など、制度が指定する証明書が必要です。
デザインハウス甲府の標準仕様である断熱等級6や耐震等級3は性能面で有利ですが、税制上の適用には所定の証明書を期限までに用意できることが必要です。
現金で贈与する必要がある
この特例は、住宅の新築・取得・増改築に使うための「金銭」の贈与が基本です。
親が所有している土地や建物そのものを子へ贈与しても、この非課税特例の対象にはなりません。
また、贈与された資金を次の用途に使う場合も注意が必要です。
- 家具・家電
- 仮住まい費用
- 引っ越し費用
- 通常の生活費
- 住宅取得と関係のない外構
- すでに支払い済みの費用の補填
どこまで住宅取得等の対価に含まれるかを、支払う前に確認してください。
申告しなければ非課税にならない
最も多い誤解は、「1,000万円以内なら申告しなくてもよい」というものです。
この制度を利用する場合、贈与税がゼロになる場合でも、原則として贈与を受けた翌年の申告期間に贈与税の申告が必要です。
申告時には、
- 贈与税申告書
- 戸籍など関係を証明する書類
- 工事請負契約書
- 登記事項証明書
- 住宅性能を証明する書類
- 所得を確認する書類
などが必要になります。
申告を忘れると、後から「親から借りただけ」と説明しても認められない可能性があります。
建物の持分にも注意
親から1,000万円の贈与を受け、子ども自身が1,000万円を負担したなら、原則として子どもの負担額に対応した持分を登記します。
夫婦で2,000万円ずつ負担したのに、建物を夫だけの名義にすると、妻から夫への贈与と判断される可能性があります。
確認すべきなのは、
- 誰が贈与を受けるか
- 誰が住宅ローンを借りるか
- 誰が自己資金を出すか
- 土地と建物を誰の名義にするか
- それぞれの持分を何%にするか
です。
資金負担と登記持分を一致させることが基本になります。
住宅ローン控除にも影響する
住宅ローン控除を併用できる場合でも、控除対象額の計算では、住宅取得価格から贈与税の非課税特例を受けた金額を差し引く必要があります。
例えば、住宅取得価格2,500万円に対し、親から1,000万円の非課税贈与を受けた場合、2,500万円全額を住宅ローン控除の計算対象にできるとは限りません。
非課税贈与を受けた金額以上に住宅ローンを借りても、二重に税制優遇を受けられない部分が生じます。
親の老後資金を減らし過ぎない
制度が使えるからといって、1,000万円を必ず贈与する必要はありません。
贈与する親には、今後次の支出があります。
- 毎月の生活費
- 医療費・介護費
- 自宅の修繕費
- 高齢者施設の入居費
- 葬儀費用
- 物価上昇への備え
子どもの住宅ローンを減らすために、親の老後資金が不足しては意味がありません。
非課税限度額ではなく、親が90歳、100歳まで生活できる資金を残したうえで、援助額を決めるべきです。
贈与前に確認したい7項目
- 贈与者と受贈者の関係は対象になるか
- 受贈者の年齢・所得要件を満たすか
- 贈与から入居までの期限に間に合うか
- 500万円枠か1,000万円枠か
- 住宅性能の証明書を発行できるか
- 資金負担と登記持分が一致しているか
- 贈与後も親の老後資金が十分に残るか
デザインハウス甲府の考え方
この特例は、シニア世代から子・孫への住宅支援として有効です。
しかし、住宅会社の判断だけで、贈与日や登記持分を決めてはいけません。
工事請負契約、贈与、支払い、住宅完成、登記、入居、贈与税申告を一つのスケジュールにし、事前に税理士へ確認することが重要です。
1,000万円もらえるかではなく、要件を満たして確実に非課税にできるか、親の生活資金を守れるかまで確認して利用してください。
※制度は2026年12月31日までの贈与が対象とされています。今後延長・変更される可能性があるため、実行前に国税庁または税理士へ最新条件をご確認ください。










