複数の補助金を「併用」して二重に受け取ることは可能なのか?
こんなご相談をいただきました
建て替えに国の省エネ住宅補助金を利用する予定です。
山梨県や市町村の補助金、太陽光発電・蓄電池・V2Hなどの補助金も同時に受け取れますか。利用できる補助金は、すべて申請した方が得なのでしょうか?
A. 複数の補助金を併用できる場合はあります。ただし、同じ住宅や同じ設備に対して、国費を財源とする補助金を二重に受け取ることは原則できません。
新築住宅は国の補助金を重ねにくい
新築や建て替えを対象とする国の補助制度は、住宅全体の省エネ性能向上に対して補助するものが多くあります。
そのため、同じ住宅について次のような国の補助制度を重ねて申請することは、原則としてできません。
- 省エネ住宅の新築を対象とする補助金
- ZEH住宅を対象とする国の補助金
- 長期優良住宅などを対象とする国の補助金
- 同じ住宅全体の性能向上を対象とする事業
たとえば「みらいエコ住宅2026事業」の新築住宅で補助を受ける場合、同じ住宅について国の給湯省エネ事業や窓リノベ事業を併用することはできません。みらいエコ住宅2026事業・新築住宅の併用条件
「窓は窓の補助金、給湯器は給湯器の補助金、住宅全体には新築補助金」と単純に足し算できるわけではありません。
国と自治体の補助金は併用できる場合がある
国の補助金と、山梨県や市町村が独自に実施する補助金は、併用できる場合があります。
代表的なものとして、次のような制度が考えられます。
- 県産材を使用した住宅への補助
- 太陽光発電や蓄電池の設置補助
- V2H設備の導入補助
- 浄化槽の設置補助
- 木造住宅の解体・除却補助
- 移住・定住を支援する補助
- 子育て世帯向け住宅取得補助
ただし、自治体の補助金に国費が充当されている場合は、国の補助制度と併用できない可能性があります。
自治体が受付窓口だからといって、すべて自治体独自の財源とは限りません。
確認すべきなのは、制度の実施主体ではなく、次の3点です。
- 補助金の財源に国費が含まれているか
- 補助対象となる工事や設備が重複しているか
- 各制度の要綱で併用が認められているか
国の制度でも、地方公共団体の独自財源による補助金は併用できる場合があるとされています。ただし、最終的な判断は自治体の窓口にも確認が必要です。
対象工事が異なれば併用できる可能性がある
同じ住宅に関係する補助金でも、対象となる設備や工事が明確に異なれば、併用できることがあります。
たとえば、次のような組み合わせです。
| 補助対象 | 併用の考え方 |
|---|---|
| 住宅全体の省エネ性能+浄化槽 | 対象工事が異なるため併用できる可能性 |
| 住宅本体+自治体独自の移住支援 | 制度の目的が異なれば併用できる可能性 |
| 住宅本体+V2H | 住宅補助の対象にV2Hが含まれなければ可能性あり |
| 同じ給湯器に国の補助金を2件 | 原則として不可 |
| 同じ窓に国と国の補助金 | 原則として不可 |
| 新築住宅全体に国の補助金を2件 | 原則として不可 |
実際に、みらいエコ住宅2026事業では、補助対象に含まれないV2Hや一定の蓄電池補助について、併用可能と示されている例があります。補助金の併用に関する申請要件
ただし、年度や制度改正によって扱いが変わるため、過去の併用例だけで判断してはいけません。
リフォームは工事箇所を分けられる場合がある
リフォームでは、補助対象となる工事を制度ごとに分けて申請できることがあります。
たとえば、窓の断熱改修は窓リノベ、給湯器は給湯省エネ、その他の断熱改修は住宅リフォーム補助という分け方です。
ただし、同じ窓や同じ給湯器を複数の補助制度へ重複して申請することはできません。
工事箇所、設備の型番、見積金額、領収書などを明確に区分する必要があります。みらいエコ住宅2026事業・リフォームの重複条件
二重申請が発覚すると返還を求められる
申請窓口が異なれば分からないだろうと考えて、同じ工事を複数の補助制度へ申請するのは危険です。
不適切な重複受給が確認されると、次のような処分を受ける可能性があります。
- 申請の却下
- 交付決定の取り消し
- 受け取った補助金の返還
- 他の補助制度への申請制限
- 加算金や延滞金の請求
住宅会社任せにせず、施主側も申請する補助金の名称と対象工事を一覧にしておきましょう。
契約前に「併用判定表」を作る
補助金の併用を考える場合は、契約前に次のような表を作ると分かりやすくなります。
| 確認項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 補助制度名 | 正式名称 |
| 実施主体 | 国・県・市町村 |
| 補助対象 | 住宅全体・窓・給湯器・太陽光など |
| 財源 | 国費を含むか |
| 予定補助額 | 上限額ではなく申請予定額 |
| 申請期限 | 予約・交付申請・完了報告 |
| 併用可否 | 各制度の窓口へ確認 |
| 申請者 | 建築会社・施主・設備業者 |
| 不採択時 | 追加費用を誰が負担するか |
「最大〇〇万円もらえます」ではなく、併用できる根拠を建築会社から示してもらうことが重要です。
補助金総額だけで住宅会社を選ばない
補助金をたくさん提案する住宅会社が、必ずしも施主に有利とは限りません。
複数の補助金を利用するために、認定費、申請費、設備変更費が増えることがあります。
たとえば補助金が合計150万円でも、仕様変更と申請関連費用が120万円かかれば、実質的なメリットは30万円です。
判断すべきなのは、補助金の合計額ではありません。
実質メリット=補助金総額-性能変更費-設備追加費-認定費-申請手数料
この金額を、契約前に確認してください。
デザインハウス甲府からのアドバイス
補助金は、制度名を並べて足し算するものではありません。
住宅全体、窓、給湯器、太陽光、蓄電池、V2H、浄化槽など、何に対する補助なのかを分けて考える必要があります。
デザインハウス甲府では、利用予定の補助制度、対象工事、申請費用、併用の可否を整理し、追加費用を含めた総額で判断します。
補助金の併用可否については、建築会社の口頭説明だけでなく、各制度の事務局や自治体にも確認してください。
「全部使えば得」ではありません。重複申請による返還リスクを避け、実際に手元へいくら残るのかまで確認することが大切です。










