金融機関がシニアの建て替え融資で最も重視する「審査基準」とは?
こんなご相談をいただきました
「69歳です。自宅を平屋に建替えるため住宅ローンを申し込みましたが、金融機関から『総合的に審査します』と言われました。年齢だけで融資が難しくなるのでしょうか?」
A. 年齢だけで決まるわけではありません。シニア融資で最も重視されるのは、退職後の収入で完済まで返済を続けられるかです。現在の年収より、完済年齢、年金収入、返済負担率、健康状態、手元資金を総合的に見られます。
シニア審査の中心は「完済までの返済原資」
50代までは給与収入が審査の中心になりますが、60代以降は状況が変わります。
金融機関は、次の点を確認します。
- 何歳まで働く予定か
- 退職後の年金はいくらか
- 配偶者の収入を合算できるか
- 何歳で完済するのか
- 完済まで預貯金を維持できるか
- 病気や介護が始まっても返済できるか
現在の給与が月40万円あっても、2年後に退職して年金が月20万円になるなら、金融機関は退職後の収支を重く見ます。
「今は払える」ではなく、最後まで払える根拠があるかが問われます。
完済年齢が借入期間を左右する
住宅ローンには、申込時年齢と完済時年齢の上限があります。上限は金融機関や商品によって異なります。
例えば、完済時年齢が80歳未満の商品を69歳で利用する場合、借入期間はおおむね10年前後になります。
借入期間が短くなるほど、毎月返済額は高くなります。
仮に1,000万円を金利年2.5%、10年、元利均等で借りると、毎月返済額は約9万4,000円です。年間では約113万円になります。
年金収入が年間300万円なら、この住宅ローンだけで約38%です。さらに車のローンやカードローンがあれば、返済負担は一層重くなります。
返済負担率は住宅ローン以外も含む
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。
計算には、建替えの住宅ローンだけでなく、次の借入れも含まれる場合があります。
- 現在の住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットカードの分割・リボ払い
- 携帯電話端末の分割払い
フラット35では、年収400万円未満は総返済負担率30%以下、400万円以上は35%以下という基準があります。フラット35「利用条件」
ただし、基準以内なら安全という意味ではありません。
シニア世代は、医療費や介護費の増加も考え、住宅ローンの返済額をさらに低く抑える方が安心です。
土地があっても返済能力は必要
「親から相続した土地があるから、担保にすれば借りられる」と考える方もいます。
しかし、金融機関が見る担保価値は、建築費や所有者の希望価格とは異なります。
山梨県では、次のような土地は評価が低くなる可能性があります。
- 市街化調整区域
- 接道条件が悪い土地
- 旗竿地や不整形地
- 古い擁壁がある土地
- 土砂災害や浸水の危険がある土地
- 郊外で買い手が少ない土地
- 再建築に制約がある土地
2,500万円をかけて新築しても、金融機関が土地と建物を同額で評価するとは限りません。
担保は返済できなくなった場合の備えです。担保価値があっても、毎月の返済能力が不足していれば審査は厳しくなります。
団体信用生命保険への加入
一般的な住宅ローンでは、団体信用生命保険への加入を融資条件とする金融機関が多くあります。
シニアの場合は、高血圧、糖尿病、心疾患、がんなどの治療歴によって、団信へ加入できないことがあります。
ただし、持病があるから住宅ローンをすべて諦める必要はありません。
- 引受基準緩和型のワイド団信
- 団信加入が任意のフラット35
- 団信不要の商品
- 配偶者や子どもを含めた借入方法
などを検討できる場合があります。
病歴を隠して申し込むことは絶対に避けてください。保険金が支払われず、残された家族に債務が残る危険があります。
建替え特有の総額も審査される
建替えでは、新築工事費以外にも資金が必要です。
- 解体工事
- アスベスト調査・除去
- 仮住まい
- 2回の引越し
- 地盤改良
- 屋外給排水
- 外構工事
- 登記・融資手数料
- 火災・地震保険
本体価格2,000万円でも、建替え総額が2,500万円になる可能性があります。
見積もりに含まれていない費用が多いと、契約後に自己資金が不足します。金融機関も、計画全体に無理がないかを確認します。
審査を有利にするための準備
融資相談の前に、次の資料と数字を整理しておきましょう。
- 年金見込額または年金振込通知書
- 源泉徴収票・確定申告書
- 預貯金、保険、退職金などの資産
- 車やカードを含む借入残高
- 土地と建物の登記事項証明書
- 解体・仮住まいを含む建替え総額
- 完成後に残す老後資金
- 希望借入額と完済年齢
そのうえで、次のような調整を行います。
- 車やカードローンを先に完済する
- 建物を小さくして借入額を下げる
- 自己資金を入れつつ、預金を使い切らない
- 返済期間を短くしすぎない
- 配偶者収入や親子リレー返済を検討する
- 一般ローンとフラット35を比較する
事前審査前に「総額」を確定させる
審査を通すために借入希望額を低く申告し、契約後に追加費用が出る計画は危険です。
本体価格だけで事前審査を申し込まず、解体から入居までの総額を出してから金融機関へ相談してください。
「借入額を少なく見せる」より、不足費用まで含めた現実的な資金計画を示す方が、金融機関にも信頼されます。
デザインハウス甲府からのアドバイス
シニアの住宅ローンで、最も危険な考え方は「土地も退職金もあるから借りられるだろう」です。
金融機関が知りたいのは、資産を持っているかだけではありません。
- 退職後も返済できるか
- 完済時に何歳になるか
- 配偶者一人でも生活できるか
- 建替え後に現金が残るか
- 担保物件を現実に売却できるか
ここまで確認して融資を判断します。
デザインハウス甲府では、建築費だけでなく、解体、仮住まい、引越し、登記まで含めた総額を先に明確にします。そのうえで、年金生活になっても返済できる借入額へ調整します。
住宅ローン審査に通ることがゴールではありません。医療や介護が必要になっても、最後まで返済できる計画にすることが本当の合格です。










