耐震性の低い「旧耐震基準(1981年以前)」の家を解体・建替える際の手厚い助成金
こんなご相談をいただきました
70歳です。昭和50年代に建てた木造住宅を解体し、平屋へ建て替えたいと考えています。旧耐震基準の住宅には、耐震改修だけでなく、解体や建て替えにも補助金が出るのでしょうか?
A. 山梨県では、旧耐震基準の木造住宅について、無料耐震診断や耐震改修・建て替えへの補助制度があります。ただし、古い家なら無条件で受け取れるわけではなく、耐震診断と工事前の申請が必要です。
旧耐震基準とは?
一般に旧耐震基準の住宅とは、1981年6月1日に新耐震基準が施行される前の基準で建てられた住宅を指します。
ただし、完成年月だけで判断するのではなく、建築確認日や着工時期を確認します。山梨県の耐震化支援では、主に昭和56年5月以前に着工された木造住宅が対象です。山梨県「耐震ポータルサイト」
1981年に完成した家でも、着工時期によって対象になる可能性があります。確認済証が見つからない場合は、市町村の建築担当窓口などで相談しましょう。
まず無料耐震診断を受ける
山梨県と市町村では、一定の条件を満たす旧耐震木造住宅について、無料の耐震診断を実施しています。
診断では、建築士などが次の項目を確認します。
- 建物の形と壁の配置
- 基礎の種類とひび割れ
- 柱・梁・接合部の状態
- 屋根の重さ
- 床下や小屋裏の劣化
- シロアリや腐朽
- 過去の増改築
- 地盤の状態
木造住宅の耐震診断では、一般に上部構造評点1.0未満の場合、耐震改修が必要と判断されます。国土交通省「耐震改修の進め方」
「古いから危険だろう」という感覚だけで建替えを決めず、現在の状態を数値で確認することが第一歩です。
耐震改修・建て替えの補助額
山梨県の制度では、一定の旧耐震木造住宅について、無料耐震診断に加え、耐震改修や建て替えへの支援があります。
2026年6月時点で、県が案内している主な内容は次のとおりです。
| 支援内容 | 主な対象・補助内容 |
|---|---|
| 耐震診断 | 昭和56年5月以前着工の一定の木造住宅・無料 |
| 耐震改修・建て替え | 耐震診断の総合評点1.0未満・補助限度額143万7,500円 |
| 耐震シェルター・防災ベッド | 条件を満たす住宅・補助限度額24万円 |
市町村によって対象条件、受付期間、予算、必要書類が異なる場合があります。山梨県「補助制度はあるの?」
重要なのは、補助金の名称に「建て替え」とあっても、新築工事費の全額が対象になるわけではないことです。対象工事と補助対象経費を、市町村へ事前に確認してください。
申請前に解体すると補助対象外になる可能性
最も多い失敗は、補助金を調べる前に解体工事を契約・着工してしまうことです。
一般的には、次の順序で進めます。
- 市町村の窓口へ相談
- 旧耐震住宅に該当するか確認
- 耐震診断を申し込む
- 耐震診断を実施
- 建て替え計画と見積書を作成
- 補助金を申請
- 交付決定を受ける
- 解体・建築工事に着手
解体してしまうと、耐震診断ができません。交付決定前の契約や着工も、補助対象外になる可能性があります。
住宅会社から「後で申請できます」と言われても、そのまま進めず、市町村へ直接確認しましょう。
耐震改修と建て替えは総額で比較する
補助金が出るからといって、耐震改修の方が必ず安いとは限りません。
旧耐震住宅では、耐震補強以外にも次の工事が必要になることがあります。
- 基礎の補強
- 屋根の軽量化
- 腐食した柱や土台の交換
- シロアリ被害への対応
- 断熱改修
- 窓の交換
- 配管・電気設備の更新
- 段差解消
- 浴室やトイレの改修
耐震改修だけで500万円、さらに断熱・設備・間取り改修で1,000万円以上となり、合計すると建て替えに近づくケースもあります。
一方、建て替えには、解体、仮住まい、往復の引越し、登記、外構などが必要です。建物本体価格だけで比較してはいけません。
補助金だけで建築会社を選ばない
「補助金が使えるから今すぐ契約しましょう」という営業には注意が必要です。
確認すべきなのは、補助金を差し引いた後の総額です。
例えば、建築会社Aが総額2,700万円で補助金143万円、建築会社Bが総額2,350万円で補助金100万円だった場合、補助額が大きいAの方が得とは限りません。
さらに、省エネ住宅の補助金などと併用できない場合や、同じ工事費を重複して補助対象にできない場合があります。契約前に制度ごとの併用条件を確認してください。
新築するなら「新耐震基準」だけで満足しない
旧耐震住宅を壊して新築するなら、単に現在の建築基準法を満たすだけでは不十分です。
建築基準法の最低基準は、住宅の無傷を保証するものではありません。大地震後も住み続けられる可能性を高めるためには、正式な耐震等級3と、計算根拠を確認する必要があります。
「耐震等級3相当」ではなく、次の点を確認しましょう。
- 許容応力度計算を行うか
- 正式な耐震等級3を取得するか
- 地盤と基礎まで検討されているか
- 大きな窓と耐力壁の配置に無理がないか
- 構造計算書を引き渡してもらえるか
デザインハウス甲府からのアドバイス
旧耐震住宅の建て替えでは、最初に住宅会社へ解体を依頼するのではなく、市町村への相談と耐震診断を先に行うことが重要です。
デザインハウス甲府では、補助金だけを強調せず、解体、仮住まい、往復引越し、登記、外構まで含めた総額から補助金を差し引いて資金計画を作ります。
新しい住宅は、許容応力度計算による耐震等級3を基本としています。
補助金143万円を受け取ることより、残りの2,000万円以上を何に使い、どの安全性を得られるのか。その確認の方がはるかに重要です。










