「高気密」だと息苦しくない?シニアが誤解しやすい気密性能(C値)の真実
結論:高気密だから息苦しくなるのではありません。換気計画が悪いと空気が悪くなります
高気密住宅は、隙間を減らした住宅です。
「家を密閉したら酸素がなくなる」「窓を開けてはいけない」と誤解されることがありますが、高気密住宅にも24時間換気設備が設置されます。
本来は、
- 必要な場所から外気を取り入れる
- 室内の汚れた空気を計画的に排出する
- 住宅の隙間から無秩序に空気が入るのを減らす
ために気密性能を高めます。
問題になるのは高気密そのものではなく、換気設備を止める、給排気口を塞ぐ、設計どおりの換気量が出ていない場合です。
C値とは?
C値は、住宅全体にどの程度の隙間があるかを示す数値です。
単位は㎠/㎡で、数値が小さいほど隙間の少ない住宅です。
例えば延床面積100㎡でC値0.7なら、住宅全体の隙間を合計した面積は約70㎠です。
ただし、C値は図面やカタログだけでは確定しません。施工後に気密測定を行って初めて確認できます。
「高気密仕様」と説明されても、全棟測定をしていなければ、その家の実際のC値は分かりません。
隙間風は換気の代わりにならない
古い住宅では、窓、床、壁、コンセントまわりなどから隙間風が入ります。
このため「昔の家は自然に換気できていた」と考える人もいます。
しかし、隙間風による換気は、
- 風の強さ
- 外気温
- 建物の向き
- 隙間の位置
によって変わります。
風の強い日は換気量が増え、穏やかな日は不足するなど、安定しません。また、足元や壁の隙間から冷気が入り、冬の寒さや結露につながることもあります。
計画換気とは、意図しない隙間風に頼らず、決めた給気口から外気を入れ、トイレ、洗面、収納などから排気する仕組みです。
息苦しく感じる主な原因
高気密住宅で息苦しさを感じる場合、次の原因を確認します。
- 24時間換気を停止している
- 給気口を寒いからと塞いでいる
- フィルターが汚れている
- ダクトが詰まっている
- 換気風量が調整されていない
- 寝室の人数に対して換気量が不足している
- 室温が高過ぎる
- 湿度が高過ぎる
- 臭い、建材、家具などの影響
- 石油・ガス暖房器具を室内で使用している
- 不安や呼吸器・循環器系の体調変化
換気不足で二酸化炭素濃度が上がると、眠気、頭痛、倦怠感などにつながる場合があります。
厚生労働省では、一定規模以上の建築物における空気環境の管理基準として、二酸化炭素濃度1,000ppm以下を示しています。一般住宅へ直接適用される基準ではありませんが、換気状態を確認する参考になります。厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
24時間換気は止めてはいけない
住宅では、シックハウス対策として、原則0.5回/時以上の機械換気設備が設けられます。
0.5回/時とは、計算上、室内の空気の半分程度を1時間で入れ替える換気量です。
換気を止めると、
- 二酸化炭素
- 生活臭
- 湿気
- 建材や家具から出る化学物質
- ほこり
- 室内干しの水分
が排出されにくくなります。
電気代や冬の寒さを理由に換気を止めるのではなく、フィルター清掃や風量調整、換気方式の見直しで対応してください。
高気密だからこそ換気が計画どおりに働く
住宅の隙間が多いと、換気扇を動かしても、近くの隙間から空気を吸い込んでしまい、遠い部屋まで空気が流れないことがあります。
高気密住宅では給気位置と排気位置を決めやすくなるため、
- 寝室やリビングへ新鮮な外気を入れる
- 廊下やドア下を通して空気を移動させる
- トイレ、洗面、収納などから排出する
という換気経路をつくりやすくなります。
つまり、高気密と換気は反対の考え方ではありません。
高気密にする目的の一つが、換気設備を正しく働かせることです。
窓を開けてもよい
高気密住宅でも、窓を開けて問題ありません。
春や秋に外気が快適なときは、窓を開けて換気できます。
ただし、
- 花粉が多い
- PM2.5が多い
- 外が高温・低温
- 湿度が高い
- 交通騒音が大きい
ときは、機械換気を利用した方が快適な場合があります。
「窓を開けられない家」ではなく、「窓を開けなくても必要な換気ができる家」と考えてください。
第一種換気なら絶対安心ではない
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行うため、空気の流れを管理しやすい方式です。
熱交換型なら、排気する空気の熱を回収し、外気を室温に近づけて給気できるため、冬の冷気を抑えやすくなります。
ただし、設置しただけでは十分ではありません。
- 設計風量が確保されているか
- 各室の風量調整を行ったか
- フィルターを掃除しているか
- ダクト施工に問題がないか
- ドアを閉めても空気が流れるか
- 交換用フィルターを入手できるか
を確認する必要があります。
カタログの熱交換率は一定条件での数値であり、住宅全体の実際の熱回収効果と完全に同じとは限りません。
シニア世代に高気密が向いている理由
適切な断熱・換気と組み合わせた高気密住宅には、次の利点があります。
- 廊下や脱衣室への冷気を減らしやすい
- 部屋間の温度差を小さくしやすい
- 足元の冷えを抑えやすい
- 暖房効率を高めやすい
- 花粉や外気の取り入れ口を管理しやすい
- 結露や壁内への湿気流入を抑えやすい
ただし、呼吸器疾患や心疾患などがある人が息苦しさを感じた場合、住宅性能だけが原因とは限りません。症状が続く場合は、換気状態の確認と併せて医療機関へ相談してください。
入居後に確認したい6項目
- 24時間換気が常時運転しているか
- 給気口を家具やカーテンで塞いでいないか
- フィルターを定期的に清掃しているか
- 寝室の二酸化炭素濃度が高くなっていないか
- 室内湿度が高過ぎないか
- 石油・ガスの開放型暖房器具を使っていないか
市販のCO2モニターを使えば、寝室やリビングの換気不足を発見する目安になります。ただし、CO2だけで臭気、化学物質、粉じんなどすべての空気質を判断できるわけではありません。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、高気密をカタログ上の宣伝文句にはしません。
全棟で気密測定を行い、C値0.7以下を確認します。
さらに、
- 第一種熱交換換気
- 給排気位置の設計
- ドア下などの空気経路
- フィルター交換・清掃方法
- 入居後の換気設備の使い方
まで含めて計画します。
気密性能を高めても、換気量を確認せず、入居後に換気設備を止めれば意味がありません。
まとめ
高気密住宅は、空気を閉じ込める住宅ではありません。
- 隙間風を減らす
- 計画した場所から給気する
- 汚れた空気を機械で排出する
- 温度差と冷気を抑える
ための住宅です。
息苦しさを防ぐ鍵は、隙間を増やすことではなく、気密測定と換気設計、入居後の維持管理です。
「C値はいくつですか」だけでなく、「全棟測定するか」「完成後に換気風量を確認するか」「フィルターを誰でも清掃できるか」まで住宅会社へ確認してください。










