Q. 結露やカビは住宅会社の保証対象?
A. 結露やカビが発生しただけでは、必ずしも住宅会社の保証対象にはなりません。加湿、換気不足、室内干しなどが原因なら所有者側の負担になる可能性があります。一方、断熱材の欠損、気密・防湿施工の不良、換気設備の設計不足など、建物側に原因があれば、補修を求められる可能性があります。
結露やカビは「住み方の問題」と言われやすい
新築住宅で結露やカビが発生すると、住宅会社から次のように説明されることがあります。
「加湿しすぎています」
「24時間換気を止めたからです」
「室内干しが原因です」
「家具を壁に付けているからです」
「住み方の問題なので保証対象外です」
確かに、生活の仕方によって室内の湿度は大きく変わります。
しかし、結露やカビの原因を、すべて居住者の責任にすることはできません。
住まいるダイヤルの技術資料でも、外壁と天井・床の取り合いは断熱材が不連続になりやすく、断熱材や気流止めの施工不良によって結露が発生する場合があるとされています。住まいるダイヤル|結露
結露やカビが発生したら、住み方と建物性能の両方を調べる必要があります。
そもそも、なぜ結露が発生するのか
空気には水蒸気が含まれています。
暖かく湿った空気が、冷たい窓、壁、床、天井などに触れると、空気中の水蒸気が水滴に変わります。これが結露です。
例えば、室温20℃、相対湿度60%の場合、露点温度はおおむね12℃です。
窓や壁の表面温度が約12℃を下回れば、結露が発生する可能性があります。
同じ室温でも、
- 湿度が高い
- 窓や壁の断熱性能が低い
- 断熱材が欠損している
- 冷気が入り込んでいる
ほど、結露しやすくなります。
国土交通省も、高断熱の窓やドアは表面が冷たくなりにくいため、結露の発生を抑える効果があると説明しています。国土交通省|住宅の省エネ・脱炭素について
結露には3つの種類がある
1.窓や壁の表面に発生する結露
窓ガラス、サッシ、外壁に面した壁、収納内部など、目に見える場所に発生する結露です。
原因として、次の両方が考えられます。
居住者側の原因
- 加湿器の過剰使用
- 洗濯物の室内干し
- 24時間換気の停止
- 給気口を閉じている
- 石油・ガスストーブの使用
- 家具を外壁へ密着させている
建物側の原因
- 窓の断熱性能不足
- 断熱材の欠損
- 柱や金物部分の熱橋
- サッシ周辺の気密施工不足
- 換気量不足
- 換気経路の設計不良
表面に出た水滴だけを拭いても、原因を改善しなければ結露は繰り返します。
2.壁や天井の中で発生する内部結露
最も注意が必要なのが、壁、屋根、床などの内部で発生する結露です。
表面からは見えないため、気づいたときには、
- 断熱材が濡れている
- 柱や土台が腐食している
- カビが広がっている
- 金物がサビている
- 断熱性能が低下している
という状態になっている可能性があります。
内部結露が、防湿層、気密層、断熱材、通気層などの設計・施工不良によって発生したのであれば、単なる住み方の問題とはいえません。
3.複層ガラスの内部に発生する結露
ペアガラスの室内側表面ではなく、2枚のガラスの間に水滴や曇りが発生している場合は、ガラスの密封性能が失われている可能性があります。
これは室内の湿度や換気だけでは解消できません。
LIXILでは、正常な施工・使用状態で複層ガラスの中空層に結露が生じた場合、製造後10年間、代替品を無償提供する保証を案内しています。天窓など垂直に設置されないガラスは期間が異なります。LIXIL|複層ガラス内部の結露保証
「窓の結露」といっても、室内側表面の結露とガラス内部の結露では、原因も保証も違います。
保証対象になりにくいケース
次のような場合は、居住者の使用方法や維持管理が原因として、保証対象外になる可能性があります。
- 24時間換気を長期間停止していた
- 給気口を家具などで塞いでいた
- 換気扇のフィルターを清掃していなかった
- 加湿器を強く使用していた
- 開放型の石油・ガス暖房を使用していた
- 大量の洗濯物を毎日室内干ししていた
- 入浴後に浴室を換気していなかった
- 家具を外壁へ隙間なく密着させていた
- 発生した結露を長期間放置していた
パナソニックの案内でも、24時間換気は室内空気を入れ替える設備であり、一般住宅では換気回数0.5回/時が法令上の目安と説明されています。パナソニック|24時間換気とは
24時間換気は、寒いから、音が気になるからという理由で止めず、基本的に連続運転する必要があります。
建物側の問題を疑うケース
次のような場合は、住宅会社へ原因調査を求めてください。
- 引渡し直後から結露が続いている
- 特定の部屋だけ異常に結露する
- 同じ外壁の角だけカビが発生する
- 換気と除湿をしても改善しない
- 壁や天井の内部からカビ臭がする
- コンセントや巾木周辺から冷気を感じる
- 壁の表面温度が一部分だけ極端に低い
- 断熱材や防湿層の施工記録がない
- 換気設備が設計どおり動いていない
- 給気口から必要な空気が入っていない
- 床下や小屋裏に水滴やカビがある
築3年の高断熱・高気密住宅で、引渡し直後から特定の寝室の結露が改善しないという相談事例も、住まいるダイヤルに掲載されています。住まいるダイヤル|新築住宅の結露相談
「高断熱住宅だから結露しない」という説明だけで、調査を終わらせてはいけません。
高断熱・高気密住宅でも、断熱、気密、換気のどれか一つに問題があれば、局所的な結露が発生する可能性があります。
カビの清掃費や家財被害まで保証されるとは限らない
建物側に原因があり、断熱材や換気設備を補修してもらえたとしても、次の費用まで無条件で補償されるとは限りません。
- クロスの張り替え
- カビの除去・消毒
- カーテンや寝具の交換
- タンスや家具の処分
- 衣類のクリーニング
- 仮住まいの費用
- 健康被害に対する費用
- 第三者調査の費用
原因箇所の補修と、結露やカビによって発生した二次被害は、別に判断される場合があります。
どこまで住宅会社が負担するのか、書面で確認してください。
結露を発見したら記録すること
原因を調べるには、温度と湿度の記録が重要です。
最低でも、次の内容を1週間から2週間程度記録してください。
- 発生した部屋
- 発生した場所
- 発生した時刻
- 室温
- 相対湿度
- 外気温
- 暖房器具の種類
- 加湿器の使用状況
- 室内干しの有無
- 24時間換気の運転状況
- 窓や壁の写真
- カビが広がった範囲
できれば、問題のある部屋と問題のない部屋に温湿度計を置き、同じ時間に比較します。
同じ生活をしているのに、一室だけ結露が激しい場合は、建物側の原因を調べる材料になります。
住宅会社へ確認する質問
結露やカビが発生したら、次の質問をしてください。
- 住み方の問題と判断した具体的な根拠は何ですか
- 断熱材の欠損をどのように確認しましたか
- 壁・床・天井の表面温度を測定しましたか
- 換気量や給排気のバランスを測定しましたか
- 防湿層・気密層の施工記録はありますか
- 壁体内結露の可能性を調査しましたか
- 建物側に原因があった場合、カビ被害も補償されますか
- 補修後に再発しないことをどう確認しますか
「換気してください」という説明だけでは、建物側に問題がない証明にはなりません。
保証の有無より、原因調査が重要
結露やカビは、居住者の暮らし方と建物の断熱・気密・換気性能が複雑に影響して発生します。
住宅会社がすべて責任を負うものではありません。
しかし、住宅会社が「住み方の問題です」と言うだけで、断熱材、気密、防湿、換気を調べないのも正しい対応ではありません。
結露やカビが保証対象になるかどうかは、症状ではなく原因で決まります。
契約前には、断熱性能の数値だけでなく、
- 気密測定を全棟で行うか
- 換気量を確認するか
- 断熱施工の写真を残すか
- 結露発生時に原因調査をするか
- カビや二次被害をどこまで補償するか
まで確認してください。
「高断熱だから大丈夫」という言葉より、施工記録と測定結果を残す住宅会社を選ぶことが、結露とカビで後悔しないための自己防衛です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










