Q. 第三者保証なら、住宅会社が倒産しても安心?
A. 必ずしも安心とは限りません。住宅会社が倒産した後も保証を受けるには、第三者が実際の保証者となり、住宅所有者が直接請求できる契約になっている必要があります。「第三者機関が検査する」「保証業務を代行する」というだけでは、倒産後の修理費まで保証されません。
住宅会社から、
「当社が倒産しても、第三者保証があるので大丈夫です」
と説明されたら、安心したくなると思います。
しかし、「第三者保証」という言葉には、法律上統一された一つの意味があるわけではありません。
第三者機関の役割は、制度によって大きく異なります。
- 工事中の検査だけを行う
- 定期点検だけを行う
- 保証判定だけを行う
- コールセンターを運営する
- 補修費用を保険で支払う
- 住宅会社倒産後も保証を引き継ぐ
- 工事途中の完成を支援する
どこまで担当するのかを確認しなければ、「第三者」という言葉だけでは安心できません。
検査機関が保証するとは限らない
新築住宅では、住宅瑕疵担保責任保険へ加入するために、第三者機関による工事中の検査が行われます。
しかし、検査を行った機関が、住宅のすべてを保証するわけではありません。
検査の主な目的は、瑕疵保険の対象となる構造・防水部分について、決められた工程で確認することです。
次のような部分まで、すべての施工品質や性能を保証しているとは限りません。
- 断熱材の施工状態
- 気密性能
- 住宅設備の耐久性
- 内装の仕上がり
- すべての配管・配線
- 将来発生するすべての不具合
「第三者検査」と「第三者保証」は別の話です。
第三者機関の役割を分けて確認する
| 第三者機関の役割 | 住宅会社倒産後の補修費 |
|---|---|
| 工事中の検査だけ | 原則として支払われない |
| 定期点検の代行 | 原則として支払われない |
| 保証判定の代行 | 判定するだけで費用負担しない場合がある |
| コールセンター運営 | 相談窓口だけの場合がある |
| 瑕疵保険の引受け | 対象事故なら直接請求できる場合がある |
| 延長保証保険の引受け | 現在の保険期間内なら対象になる可能性がある |
| 連帯保証・保証契約 | 契約内容の範囲で責任を負う |
| 完成保証 | 工事中の倒産による前払金・追加工事費などを一定範囲で保証 |
広告に「第三者機関」と書かれているだけでは、その機関が補修費用を負担するかどうかは分かりません。
本当に重要なのは直接請求できるか
住宅会社が存続している間は、通常、住宅会社が不具合を調査し、補修工事を行います。
ところが、住宅会社が倒産すると、その窓口がなくなります。
このときに重要なのが、
住宅所有者が第三者機関へ直接請求できるかどうかです。
新築住宅の瑕疵保険では、住宅会社が倒産して補修できない場合、保険付き住宅の所有者が保険法人へ直接保険金を請求できる制度があります。
ただし、対象となるのは原則として、保険期間内に発生した構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵です。
住宅会社が倒産しただけで保険金が支払われるわけではありません。
また、住宅設備、内装、経年劣化、自然災害などは、別の保証や保険でなければ対象にならない可能性があります。
「最長60年保証」が60年分確保されているとは限らない
第三者保証で特に注意したいのが、「最長60年」という表示です。
例えば、次のような仕組みがあります。
- 最初の10年間は瑕疵保険
- 10年目に検査と必要な補修
- 次の5年または10年だけ延長保証へ加入
- その後も検査と補修を繰り返して最長60年
この場合、契約時点で60年分の保証が一括して確保されているわけではありません。
一定期間ごとに更新することで、結果として最長60年まで延長できる制度です。
例えば、20年目まで第三者保証が付いていて、住宅会社が17年目に倒産したとします。
現在の保証が20年目まで継続しても、20年目以降の更新手続きを行う住宅会社がなくなれば、その先の保証を延長できない可能性があります。
倒産後も現在の保証期間が残ることと、60年目まで保証を更新できることは別です。
倒産時点の保証満了までしか残らない場合もある
第三者保証制度によっては、住宅会社が倒産した場合、倒産時点で有効だった保証期間の満了までは保証されても、その後の更新までは保証されない場合があります。
例えば、
- 15年目から20年目までの保証は継続
- 20年目の再検査は受けられない
- 20年目以降の保証更新はできない
- 結果として「最長60年」が20年で終了
という可能性があります。
「倒産後も保証継続」という説明を受けたら、次の二つを分けて確認してください。
- 現在有効な保証はいつまで継続するのか
- 倒産後も60年目まで更新できるのか
点検が継続しても無償修理とは限らない
第三者機関が倒産後も、
- 定期点検
- 相談窓口
- 修理業者の紹介
- 住宅履歴の管理
を継続する制度があります。
これは有益なサービスですが、補修費用まで無償になるとは限りません。
「アフターサービスを継続します」という表現は、
「無料で修理します」
という意味ではない場合があります。
確認すべきなのは、点検の継続ではなく、保証対象事故が起きたときに誰が修理費用を負担するのかです。
第三者保証でも保証対象は限定される
第三者機関が保証者となっていても、家全体が保証されるわけではありません。
主な保証対象は、制度によって次のように分かれます。
- 構造・防水
- 地盤の不同沈下
- 防蟻
- 住宅設備
- 太陽光発電・蓄電池
- 完成前の工事中断
- メンテナンス工事の瑕疵
それぞれ別契約になっていることがあります。
構造の第三者保証があっても、給湯器の故障は対象外。
地盤保証があっても、雨漏りは対象外。
設備保証があっても、配管の施工不良は対象外。
「第三者保証が付いている」という一言で、すべてをまとめて判断してはいけません。
保証限度額と免責事項も確認する
第三者保証には、一般的に次のような条件があります。
- 保証期間
- 保証限度額
- 免責金額
- 対象となる不具合
- 対象外となる原因
- 必要な点検
- 必要なメンテナンス
- 不具合発見後の通知期限
- 修理業者の指定
- 所有者変更時の手続き
例えば、補修費用が1,000万円かかっても、保証限度額が500万円なら、差額は自己負担になる可能性があります。
また、原因調査費、仮住まい費、引越し費、家財の損害まで対象になるとは限りません。
「保証あり」ではなく、「いくらまで、何の費用が支払われるのか」を確認してください。
「第三者機関」と「保険会社」は同じではない
第三者機関が保証サービスを運営していても、その機関自体が保険金を支払うとは限りません。
制度によっては、次のような複数の会社が関係します。
- 保証制度の運営会社
- 現場検査会社
- 定期点検会社
- 保証判定会社
- 保険を引き受ける会社
- 実際に修理を行う会社
- 住宅会社
広告では一つの「第三者保証」に見えても、責任が複数の会社に分かれている場合があります。
契約前に、保証書へ記載される正式な保証者と保険引受会社を確認してください。
保証書が発行されなければ証明できない
住宅会社が、
「当社は第三者保証制度を採用しています」
と言っていても、あなたの住宅が実際に保証登録されているとは限りません。
次の書類を受け取る必要があります。
- 保証書
- 保険付保証明書
- 保険法人名
- 証券番号または登録番号
- 保証開始日
- 保証終了日
- 保証限度額
- 倒産時の連絡先
- 住宅所有者の直接請求に関する説明
制度を導入している会社であることと、建築した一棟に保証が付いていることは別です。
第三者保証を見極める10の質問
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- 第三者機関の正式な法人名は何ですか
- その機関は検査会社ですか、保証会社ですか
- 修理費用を実際に負担するのは誰ですか
- 住宅会社が倒産したら、所有者が直接請求できますか
- 直接請求できることは保証書のどこに書かれていますか
- 倒産後も現在の保証はいつまで継続しますか
- 倒産後も60年目まで保証を更新できますか
- 保証限度額と免責金額はいくらですか
- 原因調査費、仮住まい費、引越し費も対象ですか
- 一棟ごとの保証書はいつ発行されますか
この質問に書面で回答できない会社は、「第三者保証」という言葉だけを営業に使っている可能性があります。
第三者保証でも住宅会社の経営状態は重要
第三者保証があるからといって、住宅会社の経営状態を確認しなくてよいわけではありません。
住宅会社が倒産すると、保証で一部の補修費用が支払われても、次のサービスが失われる可能性があります。
- 日常的な相談
- 小さな不具合への対応
- 定期点検
- 修繕履歴の管理
- 設計・施工情報の確認
- 部材や設備の特定
- 保証対象外の有償修理
- 将来の保証更新
保証金が支払われることと、家を建てた会社が長期間面倒を見ることは同じではありません。
第三者保証で本当に見るべきこと
第三者保証には、住宅会社の倒産リスクを軽減する大きな価値があります。
特に、保険法人への直接請求が認められている瑕疵保険は、住宅所有者を守る重要な制度です。
しかし、
「第三者だから安心」
「60年だから安心」
という二つの言葉だけでは判断できません。
確認すべきなのは、
- 第三者が何を担当するのか
- 修理費を誰が支払うのか
- 所有者が直接請求できるのか
- 倒産時点の保証はいつまで残るのか
- 倒産後も保証更新できるのか
という点です。
第三者が関わっているだけでは、第三者保証ではありません。第三者が保証書に名前を出し、倒産後も責任を負う契約になって初めて意味があります。
「最長60年」という大きな数字より、倒産した翌日にどこへ電話し、誰へ直接請求できるのかを確認してください。
参考:
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










