Q. 紹介会社にとって利益の大きい住宅会社が優先される可能性はある?
A. 可能性はあります。ただし、報酬の高い住宅会社が必ず優先されるとは断定できません。問題は、紹介する住宅会社によって相談会社の収益が変わる場合、その選定が本当に相談者だけを基準にしているのか、外部から確認しにくいことです。
無料住宅相談サービスが住宅会社から収益を得ること自体は、通常のビジネスです。
相談場所の家賃、広告費、人件費、システム費などが必要である以上、どこかから収益を得なければ運営できません。
しかし、住宅会社ごとに紹介料や成約時の広告費が異なる場合、そこに利益相反が生まれる可能性があります。
相談者にとって最適な住宅会社と、紹介会社にとって利益の大きい住宅会社が、必ず同じになるとは限らないからです。
住宅会社によって報酬額が違えば、収益差が生まれる
例えば、紹介会社が成約時に建築請負金額の一定割合を受け取る仕組みだと仮定します。
| 紹介先 | 建築請負金額 | 報酬率 | 紹介会社の収益 |
|---|---|---|---|
| A社 | 2,500万円 | 3% | 75万円 |
| B社 | 3,000万円 | 4% | 120万円 |
| C社 | 4,000万円 | 5% | 200万円 |
A社とC社では、一件の成約で125万円の差があります。
この差があるからといって、必ずC社を優先するとは限りません。
しかし、紹介会社も利益を必要とする民間企業です。年間の成約件数が増えれば、報酬条件の違いは経営へ大きく影響します。
仮に年間20件を成約させた場合、一件当たりの収益が75万円なら1,500万円、200万円なら4,000万円です。
その差は年間2,500万円になります。
これほどの差が生まれる仕組みでありながら、「紹介先の選定へ一切影響しません」と説明するのであれば、利益に左右されない具体的な仕組みが必要です。
報酬率だけでなく、成約しやすさも利益を左右する
紹介会社にとって利益の大きい住宅会社とは、単に手数料率の高い会社だけではありません。
次のような会社も、収益面では優先するメリットが生まれます。
- 紹介後の面談率が高い
- 営業担当者の対応が速い
- 住宅ローンへの対応力がある
- 土地探しから任せられる
- 契約までの期間が短い
- 高価格帯の商品を販売している
- 紹介した顧客の成約率が高い
- 進捗報告や手数料の支払いが確実
例えば、報酬が200万円でも成約率が10%なら、10組紹介して期待できる収益は200万円です。
一方、報酬が120万円でも成約率が40%なら、10組で期待できる収益は480万円になります。
| 住宅会社 | 1件当たりの報酬 | 成約率 | 10組紹介した場合の期待収益 |
|---|---|---|---|
| A社 | 200万円 | 10% | 200万円 |
| B社 | 120万円 | 40% | 480万円 |
つまり、紹介会社が重視する可能性があるのは、報酬額だけではありません。
「いくら払う会社か」に加えて、「どれだけ成約させやすい会社か」も重要になるということです。
「紹介回数が多い=最適な会社」とは限らない
ある住宅会社が頻繁に紹介されているとしても、その理由が建物の優秀さだけとは限りません。
- 多数の顧客を受け入れられる
- 営業担当者が紹介案件に慣れている
- 報告体制が整っている
- 商品が標準化され説明しやすい
- 成約率が高い
- 紹介会社との取引実績が多い
- 報酬条件が紹介会社にとって有利
こうした事情が重なっている可能性があります。
反対に、断熱・気密・耐震・施工管理に優れた地域工務店でも、紹介料を支払わない、営業担当者が少ない、年間施工棟数が限られているといった理由で、紹介候補に入らないことがあります。
紹介会社の取扱件数と、建物の品質順位を混同してはいけません。
「中立」と言うなら、利益相反への対策が必要
住宅会社から報酬を受け取りながら中立性を保つことは、不可能ではありません。
ただし、そのためには少なくとも次のような仕組みが必要です。
- 住宅会社ごとの報酬条件を選定担当者へ知らせない
- 報酬率によって紹介順位を変えない
- 相談者の要望を数値化して候補を選ぶ
- 紹介理由を具体的に説明する
- 成約件数だけで担当者を評価しない
- 提携していない住宅会社の存在も伝える
- 収益構造と利益相反の可能性を開示する
- 定期的に紹介結果を検証する
こうした対策がなく、紹介会社の判断だけで候補が決まるのであれば、相談者は本当に自分のために選ばれた会社なのか確認できません。
「中立です」という言葉より、中立性を守るために何をしているかを見るべきです。
相談者の希望より「成約しやすさ」が優先される危険
住宅会社の紹介は、本来、相談者の希望を基準に行われるべきです。
例えば、
- 総予算3,000万円以内
- 月々の返済額8万円以内
- 断熱等級6
- 耐震等級3
- 平屋
- 将来の維持費を抑えたい
という希望があるなら、この条件を満たせる会社を比較する必要があります。
ところが、紹介会社側が成約を急げば、
- 予算を増やせる会社
- 営業力の強い会社
- 住宅ローンを多く借りさせられる会社
- 契約までの期間が短い会社
が選ばれやすくなる可能性があります。
それでは「相談者に合う会社」ではなく、「契約へ進めやすい会社」の紹介になってしまいます。
特に、借りられる金額を基準に予算を引き上げる提案には注意が必要です。
住宅会社との契約が成立すれば紹介会社の売上になりますが、その後35年、40年、50年と住宅ローンを返済するのは相談者です。
契約成立と家計の安全は、同じではありません。
住宅会社側にも紹介されるための競争が起きる
紹介会社から安定して顧客を得られるなら、住宅会社にとっても大きなメリットがあります。
そのため、住宅会社側が、
- 高い広告費を受け入れる
- 紹介案件を優先して対応する
- 成約率を上げるために営業を強化する
- 紹介会社との関係を深める
- イベントや相談会へ協賛する
といった対応を行う可能性があります。
ここで競われるのが施工品質ではなく、紹介会社への支払い能力や営業対応力になれば、相談者の会社選びとズレが生じます。
本当に比較すべきなのは、住宅会社が紹介会社へいくら支払えるかではありません。
その予算で、どのような性能、設計、施工、保証、アフターサービスを提供できるかです。
紹介前に確認すべき質問
無料相談サービスを利用するときは、次の質問をしてください。
- 住宅会社によって紹介料や広告費は違いますか
- 報酬は定額ですか、建築金額に連動しますか
- 建築金額が高いほど、相談会社の収益も増えますか
- 紹介先を決める担当者は、各社の報酬条件を知っていますか
- 成約件数や売上が、アドバイザーの評価へ影響しますか
- 住宅会社ごとの紹介回数に偏りはありますか
- 提携していない住宅会社も比較対象にできますか
- 今回この会社を紹介する具体的な理由は何ですか
- 私の予算、性能、返済計画のどの条件に合っていますか
- 紹介会社の利益ではなく、相談者の条件を優先する仕組みはありますか
すべての報酬額を公開できない場合でも、定額なのか、成約連動なのか、建築金額に連動するのかは確認できます。
説明を避け、「無料なので心配ありません」とだけ答えるのであれば、慎重に判断したほうがよいでしょう。
結論
紹介会社にとって利益の大きい住宅会社が、結果として優先される可能性はあります。
ただし、実際に優先されているかどうかは、外部から簡単には判断できません。
だからこそ問題なのです。
紹介会社が住宅会社から収益を得ることを隠す必要はありません。しかし、中立性を掲げるのであれば、
- 誰から収益を得ているのか
- 何を基準に紹介先を決めているのか
- 報酬差が選定へ影響しない仕組みがあるのか
を説明する責任があります。
相談者が無料で利用できることと、相談者の利益だけを考えて紹介されることは、同じではありません。
「おすすめされた会社」ではなく、「なぜ自分におすすめなのか」を確認してください。
そして、紹介された会社だけで契約を決めず、紹介サービスと利害関係のない住宅会社も一社以上比較してください。
紹介会社の売上を最大化する住宅会社ではなく、あなたの予算、暮らし、将来を守る住宅会社を選ぶことが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










