Q. アドバイザーが間違った説明をした場合、誰が責任を負う?
A. 一律には決まりません。紹介会社、住宅会社、担当アドバイザーの誰が、どの立場で、何を説明したのかによって責任関係が変わります。特に危険なのは、契約前は「専門家として助言した」と見せながら、問題が起きると「住宅会社の情報を伝えただけ」と責任を否定されることです。
住宅相談アドバイザーから、
「この会社なら追加費用はほとんどありません」
「耐震等級3なので安心です」
「住宅設備も長期間保証されます」
「この収入なら住宅ローンは問題ありません」
「他社より高性能です」
と説明され、その言葉を信じて住宅会社を選ぶことがあります。
しかし、契約後に説明が間違っていたと分かった場合、誰が責任を負うのでしょうか。
住宅会社でしょうか。
紹介会社でしょうか。
説明したアドバイザー本人でしょうか。
実際には、相談サービスの利用規約、住宅会社との契約、説明内容、証拠、損害との関係などによって判断が変わります。
「紹介会社を通したから守ってもらえる」と思い込むのは危険です。
住宅には複数の関係者がいる
無料住宅相談を利用した家づくりでは、主に次の関係者が存在します。
| 関係者 | 主な役割 |
|---|---|
| 相談者 | 相談を受け、住宅会社を選び契約する |
| 紹介会社 | 相談対応、情報提供、住宅会社の紹介 |
| アドバイザー | ヒアリング、説明、紹介先の提案 |
| 住宅会社 | 設計、見積り、請負契約、施工、保証 |
| 金融機関 | 住宅ローンの審査、融資 |
| 設計者・施工者 | 設計、構造、現場施工、工事監理 |
アドバイザーの説明に誤りがあっても、その内容によって責任を負う可能性のある相手が異なります。
例えば、建物の施工不良なら、基本的には施工した住宅会社との問題です。
紹介会社独自の説明が間違っていたなら、紹介会社側の説明責任が問題になる可能性があります。
住宅会社から渡された誤った情報を、紹介会社がそのまま説明した場合は、両社の関係や説明経緯を確認する必要があります。
誰との契約なのかを最初に確認する
住宅相談サービスを利用するとき、多くの人は「無料だから契約ではない」と考えがちです。
しかし、申込み時に利用規約へ同意している場合があります。
そこには、
- 紹介会社の業務範囲
- 情報の正確性に関する扱い
- 住宅会社との契約責任
- 損害賠償の範囲
- 免責事項
- 個人情報の提供
- 苦情への対応方法
などが記載されている可能性があります。
まず確認すべきなのは、紹介会社が何を約束しているかです。
単に面談の日程を調整するだけなのか。
住宅会社を独自に評価して推薦するのか。
予算や性能について専門的に助言するのか。
契約後のトラブルにも対応するのか。
業務範囲が違えば、求められる責任も変わります。
「紹介しただけ」で責任が終わる場合がある
紹介会社が住宅会社を、
「当社が厳選した優良会社です」
「あなたに最適な会社です」
と強く勧めていても、利用規約には、
- 住宅会社との契約は相談者自身の判断
- 提供情報の完全性や正確性を保証しない
- 紹介後の契約や施工には責任を負わない
- 住宅会社との紛争には関与しない
と書かれている可能性があります。
つまり、広告や相談時には安心感を強く訴えながら、法的な責任範囲は紹介や情報提供に限定している場合があります。
そのような利用規約が直ちにすべて有効、または無効と決まるわけではありません。
ただし、相談者は「紹介会社が保証してくれる」と思い込まず、どこまで責任を負うのかを契約前に確認する必要があります。
住宅会社の説明を伝えただけなのか
アドバイザーの説明には、大きく分けて次の3種類があります。
- 住宅会社の公表情報を、そのまま伝える
- 紹介会社が情報を比較・整理して説明する
- 紹介会社が独自に評価して推薦する
例えば、
「住宅会社の資料には、UA値0.46以下と書かれています」
という説明は、情報の紹介です。
一方で、
「この家なら必ず暖かく、光熱費も安くなります」
という説明は、アドバイザー独自の評価や断定に近くなります。
問題が起きたとき、紹介会社から、
「住宅会社の資料を読んだだけです」
と言われないよう、どこから得た情報なのかを確認してください。
住宅会社の自己申告と、紹介会社による独自評価は、明確に分けて説明されるべきです。
間違いの内容によって責任関係が変わる
| 間違った説明の例 | 確認すべき相手 |
|---|---|
| 標準仕様に含まれると言われた設備が別料金だった | 説明した側、見積りを出した住宅会社 |
| 正式な耐震等級3と言われたが「相当」だった | 紹介会社、設計・契約した住宅会社 |
| 追加費用はないと言われたが多額の別途工事が出た | 見積り作成者、説明者、契約相手 |
| 住宅ローンは通ると言われたが否認された | 発言者、ただし審査判断は金融機関 |
| 住宅設備も長期保証と言われたが対象外だった | 説明者、保証書を発行した会社 |
| 建築できる土地と言われたが許可を得られなかった | 調査・説明した事業者、契約関係者 |
| 高性能住宅と言われたが実測していなかった | 評価した側、性能を約束した住宅会社 |
誰が説明したかだけでなく、誰が資料を作り、誰が最終的な契約書へ記載したかが重要です。
「言った・言わない」になると相談者は不利になる
問題が起きたときに最も多いのが、
「そのような説明はしていません」
「一般的な話をしただけです」
「住宅会社へ確認してください」
「契約書には書かれていません」
という対応です。
口頭だけの説明は、後から内容を証明するのが難しくなります。
重要な説明は、次の方法で記録してください。
- メールで回答をもらう
- 面談後に確認メールを送る
- 提案書へ記載してもらう
- チャットの履歴を保存する
- カタログや画面を保存する
- 見積書へ含まれる範囲を明記する
- 契約書や仕様書へ反映する
- 同席者と説明内容を共有する
例えば、面談後に次のようなメールを送ります。
本日のご説明では、耐震等級3を正式取得し、断熱等級6、全棟気密測定を実施するとの理解です。また、これらは提示された建築総額に含まれるとの説明でした。認識に相違がないか、書面でご回答ください。
この確認に明確な返信があれば、後から認識の違いが起きにくくなります。
「住宅ローンは大丈夫」という説明は特に注意
アドバイザーが年収や勤務先だけを見て、
「この年収なら4,000万円は借りられます」
「住宅ローンは問題なく通ります」
と断定することがあります。
しかし、住宅ローン審査には、
- 勤続年数
- 雇用形態
- 年齢
- 健康状態
- 自動車ローン
- カードローン
- 分割払い
- 過去の延滞
- 物件の担保評価
- 金融機関ごとの審査基準
などが影響します。
最終的に融資を承認するのは金融機関です。
アドバイザーの「大丈夫」は、融資承認ではありません。
誤った期待を持たせた責任と、金融機関が融資しない責任は分けて考える必要があります。
住宅会社を紹介する前に、必要に応じて事前審査を行うべきです。
間違った説明で契約した場合
重要な事項について事実と異なる説明を受け、それを信じて契約した場合には、契約の取消しや損害賠償などが問題になる可能性があります。
ただし、
- 誰が説明したか
- 何を説明したか
- それが事実と違うか
- 契約判断へ影響したか
- どのような損害が出たか
- 説明を証明できるか
によって判断が変わります。
消費者契約法では、重要事項について事実と異なることを告げる「不実告知」などが、契約取消しの問題になる場合があります。消費者庁・消費者契約法の解説
ただし、個別のトラブルへ適用できるかは事案ごとに異なります。
重大な問題が起きた場合は、紹介会社や住宅会社との話合いだけで終わらせず、消費生活センター、建築士、弁護士などへ相談してください。
アドバイザー個人ではなく、運営会社へ確認する
担当者が間違った説明をした場合でも、実際の対応窓口は、そのアドバイザーを雇用または管理する運営会社になることが一般的です。
相談前に次の点を確認してください。
- アドバイザーは社員か、業務委託か
- 説明内容を会社が管理しているか
- 面談記録を保存しているか
- 苦情対応の責任者がいるか
- 誤説明があった場合の補償制度があるか
- 担当者が退職した後も対応するか
「担当者へ確認します」だけで終わらず、運営会社としてどのような対応をするのかを聞くべきです。
責任を負わないなら、どこまで相談価値があるのか
紹介会社が、
- 住宅会社を厳選する
- 性能を比較する
- 予算を診断する
- 最適な会社を推薦する
と宣伝するなら、その説明には一定の責任が伴うと相談者が期待するのは自然です。
一方、問題が起きると、
「当社は場所を提供しただけです」
「契約は住宅会社とお客様の間です」
「情報の正確性は保証していません」
という対応なら、相談者は利用価値を考え直す必要があります。
何の責任も負わない人の「この会社がおすすめです」という言葉へ、数千万円の判断を任せてよいのでしょうか。
紹介会社の役割が限定されること自体が悪いのではありません。
その範囲を相談前に正直に説明することが必要です。
相談前に確認すべき10の質問
- アドバイザーの説明内容について、運営会社が責任を負いますか
- 住宅会社の情報と独自評価を分けて説明していますか
- 説明内容を記録していますか
- 重要な回答を書面でもらえますか
- 説明が間違っていた場合の相談窓口はどこですか
- 紹介後の契約トラブルにも対応しますか
- 施工や追加費用の問題へ、どこまで関与しますか
- 利用規約の免責事項を事前に見せてもらえますか
- 担当者が退職しても会社として対応しますか
- 損害が発生した場合の補償制度はありますか
「これまで問題はありません」という回答ではなく、問題が起きた場合の具体的な手順を確認してください。
間違いに気づいたときの対応
説明内容に疑問が生じたら、次の順序で対応します。
- 広告、メール、チャット、提案書を保存する
- いつ、誰から、何を言われたか記録する
- 契約書、見積書、仕様書と照合する
- 紹介会社と住宅会社の両方へ書面で確認する
- 回答期限を設ける
- 契約や追加支払いを急いで進めない
- 必要に応じて第三者の専門家へ相談する
口頭で何度も話すだけでは、記録が残りません。
問題が大きくなる前に、書面で事実関係を整理することが重要です。
結論
アドバイザーが間違った説明をした場合、誰が責任を負うかは一律には決まりません。
紹介会社の業務範囲、利用規約、住宅会社との関係、説明内容、証拠、発生した損害によって変わります。
だからこそ、無料相談を受ける前に、
- 誰が説明責任を負うのか
- 何を保証し、何を保証しないのか
- 誤説明があった場合にどう対応するのか
を確認しておく必要があります。
契約前は専門家、問題が起きたら単なる紹介者。この立場の使い分けを許してはいけません。
アドバイザーの説明を参考にすることはできます。
しかし、数千万円の契約に関わる重要事項は、住宅会社の見積書、仕様書、計算書、保証書、契約書へ必ず反映させてください。
「大丈夫です」という言葉より、「書面に記載します」という対応を信頼するべきです。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










