Q. 無料相談会社へ支払う費用は、住宅会社の広告予算から出ている?
A. 広告宣伝費や販売促進費として処理される場合はあります。しかし、広告予算は外部から無料で与えられるお金ではありません。住宅販売で得た売上や粗利益から確保する会社経費です。「広告予算から払う」と「住宅価格へ影響しない」は同じ意味ではありません。
無料住宅相談の費用について質問すると、住宅会社や相談会社から、
「紹介費用ではなく、住宅会社があらかじめ確保している広告予算から支払います」
と説明されることがあります。
相談者から見ると、
「最初から用意された広告予算なら、自分の住宅価格には関係ない」
と感じるかもしれません。
しかし、広告予算はどこから生まれるのでしょうか。
広告会社や相談会社が負担してくれるわけではありません。
住宅会社が住宅を販売して得た売上の中から支払います。
つまり、広告予算も住宅販売によって回収しなければならない会社経費です。
広告予算は別に存在する無料のお金ではない
住宅会社の売上は、主に住宅の建築代金です。
その売上から、次の費用を支払います。
- 木材・建材
- 住宅設備
- 職人の施工費
- 基礎・屋根・外壁などの工事費
- 設計・申請費
- 現場管理費
- 保証・アフターサービス費
- 社員の人件費
- 事務所・店舗の維持費
- 車両・通信費
- 税金
- 広告宣伝費
- 販売促進費
無料相談会社へ支払う広告費等も、この会社経費の中へ入ります。
会社が年間広告予算を3,000万円と決めたとしても、その3,000万円がどこかから無料で入ってくるわけではありません。
住宅会社が販売する住宅の売上と利益によって確保します。
広告予算から支払うこと自体は普通
住宅会社が相談会社へ支払う費用を、広告宣伝費や販売促進費として処理すること自体は不自然ではありません。
住宅会社は、お客様と出会うためにさまざまな費用を使っています。
- テレビCM
- 新聞・雑誌広告
- チラシ
- ポータルサイト
- SNS広告
- 住宅展示場
- モデルハウス
- 完成見学会
- 紹介キャンペーン
- 住宅相談サービス
- 営業担当者の人件費
どの方法を利用しても、集客には費用がかかります。
したがって、
「相談会社へ広告費を払っているから悪い住宅会社」
という話ではありません。
問題は、
広告予算から支払うので、住宅を買う人には一切関係ない
と説明することです。
広告予算も最終的には住宅会社の売上から支払われるため、購入者と完全に無関係とは言えません。
会社の売上から経費を支払う流れ
住宅会社のお金の流れを単純化すると、次のようになります。
- お客様から工事代金を受け取る
- 建材・設備・職人などの原価を支払う
- 残った粗利益から会社運営費を支払う
- 広告費や人件費を支払う
- さらに残った金額が会社の利益になる
広告費が増えれば、ほかの条件が同じなら最終利益は減ります。
会社が必要な利益を維持するには、次のいずれかが必要です。
- 住宅価格を上げる
- 契約棟数を増やす
- 原価を下げる
- 値引きを減らす
- 標準仕様を調整する
- 人件費や別の経費を削る
- 広告費を削る
広告費だけを、住宅価格や会社経営から切り離すことはできません。
広告費を誰に負担させるのか
住宅会社が紹介関連費用を支払う方法は、大きく三つ考えられます。
1.紹介されたお客様へ反映する
紹介経由のお客様に、その顧客を獲得するための費用を含めて価格を提示する方法です。
この場合、紹介経由と直接問い合わせで価格や値引き条件が変わる可能性があります。
2.すべてのお客様で広く負担する
年間広告費を会社全体の必要経費として計算し、すべての住宅価格へ少しずつ含める方法です。
この場合、相談サービスを利用していないお客様も、会社全体の広告費を間接的に負担します。
3.住宅会社が利益を削って負担する
住宅価格や仕様を変えず、住宅会社が自社の利益から支払う方法です。
この場合、購入者の価格へ直接反映されない可能性があります。
ただし、会社の利益と将来の経営体力は減ります。
どの方法を採用しているかは、住宅会社によって異なります。
年間20棟の住宅会社で考える
具体例で考えてみましょう。
ある住宅会社が年間20棟を建築し、そのうち5棟が無料相談会社からの紹介だったとします。
一棟の建築金額を3,000万円、相談会社へ支払う費用を5%と仮定します。
一棟当たりの費用は150万円です。
5棟なら、年間750万円になります。
| 内容 | 数字 |
|---|---|
| 年間建築棟数 | 20棟 |
| 紹介経由の成約 | 5棟 |
| 一棟の建築金額 | 3,000万円 |
| 一棟当たり5%相当額 | 150万円 |
| 年間支払額 | 750万円 |
この750万円を、住宅会社がどのように負担するかで意味が変わります。
紹介された5棟だけで負担する場合
750万円を紹介経由の5棟だけで負担すると、一棟当たり150万円です。
| 年間支払額 | 対象棟数 | 一棟当たり |
|---|---|---|
| 750万円 | 5棟 | 150万円 |
紹介されたお客様の価格、値引き、仕様、サービスなどへ反映される可能性があります。
ただし、実際にそのまま150万円を加算していると断定することはできません。
価格設定は住宅会社によって異なります。
全20棟で広く負担する場合
750万円を会社全体の広告費として20棟へ配分すると、一棟当たり37万5,000円です。
| 年間支払額 | 年間建築棟数 | 一棟当たり |
|---|---|---|
| 750万円 | 20棟 | 37万5,000円 |
この方法なら、紹介サービスを利用していない15組も、会社全体の広告費を間接的に負担する計算になります。
これが、
「紹介されたお客様の住宅へ個別に上乗せしていません」
という説明の一つの形です。
個別に上乗せしていなくても、会社全体の価格設定には含まれている可能性があります。
会社がすべて利益で吸収する場合
年間750万円を住宅価格へ反映せず、会社が利益からすべて支払うことも理論上は可能です。
しかし、年間の最終利益が2,000万円だった会社なら、750万円の支払いによって残る利益は1,250万円になります。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 支払い前の利益 | 2,000万円 |
| 相談会社への支払い | 750万円 |
| 支払い後の利益 | 1,250万円 |
利益が750万円減れば、次の資金にも影響する可能性があります。
- 将来の保証対応
- アフターサービス体制
- 社員教育
- 採用
- 設備投資
- 現場管理
- 不況への備え
- 会社存続のための内部留保
住宅会社が利益を削れば、お客様に直接関係がないとは言い切れません。
住宅会社の経営状態は、将来の保証やメンテナンスにも関係するからです。
「あらかじめ確保している」ことは説明にならない
住宅会社が、
「紹介費用は最初から広告予算として確保しています」
と説明することがあります。
しかし、最初から確保しているか、契約後に確保するかは、会計上の時期の違いです。
年間予算へ入れていたとしても、そのお金を住宅販売によって回収する必要があることは変わりません。
例えば、毎年3,000万円を広告費として予算化する会社は、住宅価格や販売棟数を決めるときに、その3,000万円を含めて経営計画を作ります。
広告予算へ入れた瞬間に、費用が消えるわけではありません。
広告費は住宅原価ではないから関係ない?
広告費は、木材や設備のように一棟ごとの工事原価へ直接計上しない場合があります。
そのため、
「広告費は住宅の原価ではないので、建築価格とは関係ありません」
という説明がされることがあります。
確かに、会計上の分類は異なる場合があります。
しかし、住宅会社が必要な売上を決めるときには、工事原価だけでなく販売管理費も回収しなければなりません。
住宅価格には、材料と職人の費用だけでなく、次の費用も必要です。
- 営業担当者
- 設計担当者
- 経理担当者
- 店舗
- 電話
- 車
- 広告
- 保証
- アフターサービス
広告費が直接工事原価に入っていなくても、住宅会社が事業を続けるために回収すべき経費であることは変わりません。
広告費が高い会社と低い会社
同じ性能・同じ仕様の住宅でも、集客方法によって販売経費は変わります。
広告費が高くなりやすい会社
- 大型住宅展示場へ出展
- テレビCMを大量に放映
- 営業担当者が多い
- 複数の紹介サービスを利用
- 高額なポータルサイト広告を利用
- 豪華なカタログやモデルハウスを維持
広告費を抑えやすい会社
- 紹介や口コミが中心
- 完成住宅を借りて見学会を開催
- ウェブ発信を自社で行う
- モデルハウスを持たない
- 営業専任者が少ない
- 成約手数料の高いサービスを使わない
広告費が高い会社だから悪いとは限りません。
多くの人が会社を知り、比較しやすくなる価値もあります。
重要なのは、その広告費に見合う価値が住宅購入者へ返っているかです。
広告費を削れば必ず安くなるわけではない
紹介費用を支払わない住宅会社が、必ずその分だけ安いとは限りません。
浮いた広告費を、
- 住宅価格の引下げ
- 標準仕様の向上
- 社員の給与
- 会社の利益
- アフターサービス
- 別の広告
のどこへ使うかは住宅会社次第です。
したがって、
「紹介サービスを利用しなければ、必ず5%安くなる」
とは断定できません。
ただし、紹介費用を支払わなければ、住宅会社の経費が減ることは事実です。
その経費削減を購入者へどのように還元するかを確認する必要があります。
直接問い合わせと価格を比較できるか
相談者が知りたいのは、
「紹介サービスを通した場合と、直接問い合わせた場合で価格は同じか」
という点です。
住宅会社へ次のように聞いてください。
紹介経由と直接問い合わせで、同じ建物、同じ仕様、同じ工事範囲なら価格は同じですか?
確認するのは本体価格だけではありません。
- 値引き
- 無料サービス工事
- 設計料
- 付帯工事
- オプション価格
- 外構
- 紹介特典
- アフターサービス
まで含めて比較する必要があります。
本体価格が同じでも、値引きやサービス内容が違えば、実質的な負担は変わります。
住宅会社への質問
相談サービス経由で住宅会社と商談するときは、次の質問をしてください。
- 相談会社への支払いは広告予算から出しますか
- その広告予算は年間いくらですか
- 成約時に建築金額連動の費用が発生しますか
- 紹介経由と直接問い合わせで価格は同じですか
- 値引きやサービス条件も同じですか
- 紹介費用は全契約者で負担しますか
- 住宅会社が利益を削って負担しますか
- 紹介費用がなければ、何へ還元しますか
- 広告費は一棟当たりいくらかかっていますか
- 広告費を含めた販売経費を公開できますか
すべての内部情報を公開できない会社もあるでしょう。
それでも、自社の価格制度と紹介経由による条件の違いは説明できるはずです。
最終結論
無料相談会社へ支払う費用が、住宅会社の広告予算から出ている場合はあります。
しかし、広告予算は別の場所から無料でもらえるお金ではありません。
住宅会社が住宅を販売して得た売上や粗利益から支払う会社経費です。
その費用を、
- 紹介されたお客様だけで負担するのか
- すべてのお客様で広く負担するのか
- 住宅会社が利益を削って負担するのか
によって、購入者への影響は変わります。
「広告予算から支払う」という説明を聞いたら、そこで納得してはいけません。
次にこう質問してください。
「その広告予算は、最終的にどの住宅の売上から回収するのですか?」
広告予算という名前の別財布があるわけではありません。
住宅会社のすべての経費は、住宅の売上と利益によって支えられています。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










