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瑕疵保険と住宅会社の長期保証は同じ?

Q. 瑕疵保険と住宅会社の長期保証は同じ?

A. いいえ、まったく同じものではありません。住宅瑕疵担保責任保険は、新築住宅の構造・防水部分に重大な欠陥が見つかった場合に、住宅会社が負う法律上の責任を資金面で支える保険です。一方、住宅会社の長期保証は、その会社が独自の保証期間・対象範囲・延長条件を定めた制度です。

「瑕疵保険に加入しているから安心です」

「当社の住宅は60年保証です」

この二つを同じような保証だと思っている人がいますが、目的も仕組みも異なります。

違いを理解するには、次の三つを分けて考える必要があります。

  • 住宅会社が法律上負う責任
  • 住宅会社が独自に約束する長期保証
  • その責任の履行を資金面で支える瑕疵保険

新築住宅には法律上の10年責任がある

新築住宅を供給した住宅会社や売主は、引渡しから10年間、次の部分について責任を負います。

  • 構造耐力上主要な部分
  • 雨水の浸入を防止する部分

例えば、基礎、柱、梁、耐力壁、屋根、外壁の防水部分などです。

これらに施工不良などによる重大な不具合があれば、住宅会社は補修などの責任を負います。

ただし、この10年責任は家全体を対象にしたものではありません。

キッチン、トイレ、給湯器、エアコン、照明、クロス、床の傷など、住宅設備や内装まですべて10年間無償修理される制度ではないのです。

瑕疵保険は「住宅会社の責任」を支える保険

住宅会社が法律上の責任を負っていても、補修資金がなければ対応できません。

さらに、住宅会社が倒産してしまえば、責任を追及する相手そのものがいなくなる可能性があります。

そのため、新築住宅を引き渡す建設業者や宅地建物取引業者には、原則として次のいずれかによる資力確保が義務付けられています。

  • 住宅瑕疵担保責任保険への加入
  • 住宅瑕疵担保保証金の供託

つまり、すべての新築住宅が必ず瑕疵保険へ加入しているわけではありません。

住宅会社によっては、保険ではなく供託を選択している場合があります。

保険金を受け取るのは原則として住宅会社

住宅瑕疵担保責任保険は、一般的な火災保険のように、住宅所有者が自分で加入する保険とは仕組みが異なります。

原則として保険を申し込むのは住宅会社です。

対象となる瑕疵が見つかった場合は、通常、住宅会社が補修を行い、その補修費用について保険法人から保険金を受け取ります。

ただし、住宅会社が倒産して補修できない場合などには、保険付き住宅を取得した人が保険法人へ直接請求できる制度があります。

ここが、住宅会社独自の保証との大きな違いです。

長期保証は住宅会社独自の約束

住宅会社が表示する「30年保証」「60年保証」「永年保証」は、法律で一律に内容が決められた制度ではありません。

住宅会社ごとに、次の内容が異なります。

  • 初期保証の期間
  • 保証対象となる部分
  • 無償修理の条件
  • 定期点検の時期
  • 保証延長の条件
  • 必要となる有償メンテナンス
  • 他社で修繕した場合の扱い
  • 所有者が変わった場合の扱い

同じ「60年保証」という表示でも、最初から60年間無条件で保証される制度とは限りません。

初期保証終了後、住宅会社の点検を受け、指定された有償修繕を実施することで保証期間を延長する制度もあります。

瑕疵保険と長期保証の違い

比較項目 住宅瑕疵担保責任保険 住宅会社の長期保証
主な目的 法律上の補修責任を資金面で支える 住宅会社が独自に長期間の保証を約束する
一般的な期間 新築住宅は引渡しから10年間 20年、30年、60年、永年など会社ごとに異なる
主な対象 構造耐力上主要な部分と防水部分 保証書で定められた部分
加入・設定主体 原則として住宅会社 住宅会社
有償修繕による延長 当初10年間の保険には通常不要 延長条件として必要になる場合がある
住宅会社倒産時 保険付き住宅なら直接請求できる場合がある 第三者の裏付けがなければ継続が難しい場合がある
内容の根拠 法律と保険契約 住宅会社の保証書・契約条件

「瑕疵保険の検査に合格したから欠陥住宅ではない」は誤解

瑕疵保険へ加入する住宅は、工事中に保険法人による検査を受けます。

しかし、この検査は住宅のあらゆる部分を完全に調べる検査ではありません。

瑕疵保険の対象となる構造や防水部分を中心に、決められた工程で確認するものです。

次のような項目まで、住宅全体の品質を保証しているわけではありません。

  • 断熱材のすべての施工状態
  • 気密性能
  • 住宅設備の耐久性
  • 内装の仕上がり
  • 傷や汚れ
  • 将来発生するすべての不具合

瑕疵保険に加入していることと、高性能住宅であることや、施工不良が絶対にないことは別の話です。

60年保証を瑕疵保険が60年間支えるとは限らない

特に注意したいのは、住宅会社の「60年保証」と新築住宅の瑕疵保険を混同することです。

新築住宅に関する一般的な瑕疵保険の保険期間は10年間です。

住宅会社が60年保証を掲げていても、その60年間すべてを当初の瑕疵保険が支えているわけではありません。

10年経過後には、検査やメンテナンス工事を加入条件とする「延長保証保険」もありますが、これは当初の保険とは別の制度です。保険期間や保険金額も商品によって異なります。

したがって、長期保証については次の点を確認する必要があります。

  • 10年目以降も第三者保険が付いているのか
  • 住宅会社だけが責任を負う自社保証なのか
  • 延長保証保険へ加入するための条件は何か
  • 検査や補修工事にいくらかかるのか
  • 保険金額や免責金額はいくらか
  • 住宅会社が倒産した場合も保証されるのか

瑕疵保険があれば、どんな不具合でも保険金が出るわけではない

住宅に不具合があっただけで、必ず瑕疵保険の対象になるわけではありません。

保険金が支払われるためには、保険の対象部分に保険事故となる瑕疵があり、契約上の支払条件を満たす必要があります。

例えば、次のような原因は対象外になる可能性があります。

  • 通常の経年劣化
  • 適切な維持管理をしなかったことによる不具合
  • 台風、洪水、地震などの自然災害
  • 所有者が行った増改築や不適切な工事
  • 住宅設備そのものの故障
  • 対象範囲外の仕上げや内装の不具合

「保険付き住宅」という言葉だけで判断せず、保険の対象部分と免責事項を確認することが重要です。

契約前に確認すべきこと

住宅会社へ、次の質問をしてください。

  1. この住宅は瑕疵保険と供託のどちらですか
  2. 瑕疵保険の場合、保険法人はどこですか
  3. 保険の対象部分と保険金額はいくらですか
  4. 保険付保証明書はいつ受け取れますか
  5. 住宅会社の長期保証とは別の制度ですか
  6. 10年目以降の保証を支える第三者保険はありますか
  7. 保証延長に必要な点検と有償修繕は何ですか
  8. 住宅会社が倒産した場合、長期保証はどうなりますか

営業担当者から「瑕疵保険にも入っていますし、60年保証なので安心です」と説明されても、それだけでは不十分です。

何が法律上の10年責任で、何が保険による資力確保で、何が住宅会社独自の長期保証なのかを分けて説明してもらいましょう。

瑕疵保険は品質証明書ではない

瑕疵保険は、万一の重大な瑕疵に備えるための重要な制度です。

しかし、住宅の性能や施工品質そのものを証明する制度ではありません。

一方、長期保証は住宅会社が将来にわたって責任を負うという約束ですが、その価値は保証年数の数字だけでは判断できません。

本当に重要なのは、

  • 誰が責任を負うのか
  • 何が保証されるのか
  • どのような条件があるのか
  • その責任を支える資金的な裏付けがあるのか

という点です。

瑕疵保険は、住宅会社の法律上の責任を資金面で支える制度。長期保証は、住宅会社が独自に定めた将来の約束です。

「保険付き」と「60年保証」という二つの言葉を並べられても、家全体が60年間、第三者によって無条件で保証されるわけではありません。

保証年数を見る前に、保証する主体、対象範囲、延長条件、倒産時の対応まで確認してください。

参考:

デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁

デザインハウス甲府
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