Q. 私なら借りない住宅ローンとは?
A. 私なら「今の月々返済額だけを安く見せる住宅ローン」は借りません。50年返済、ボーナス払い、夫婦収入を限界まで使うペアローンなどは特に慎重に判断します。
住宅ローンは、金利が低ければ安全というものではありません。
本当に確認すべきなのは、次の5点です。
- 何歳で完済するのか
- 金利上昇後も返済できるか
- 収入が減っても耐えられるか
- 教育費・修繕費・老後資金を残せるか
- 手数料・団信まで含めた総支払額はいくらか
住宅営業から「月々この金額なら家賃と変わりません」と説明されても、それだけでは判断しません。
家賃と住宅ローン返済額が同じでも、持ち家には固定資産税、火災・地震保険、修繕費、設備交換費がかかるからです。
私なら借りない住宅ローン一覧
| 住宅ローンの組み方 | 借りない理由 |
|---|---|
| 予算を増やすための50年ローン | 完済年齢と総利息が増える |
| ボーナス払い前提 | ボーナス減少時に返済が崩れる |
| 借入可能額上限のローン | 教育費・修繕費・老後資金を圧迫する |
| 金利上昇を計算していない変動金利 | 将来返済額が読めない |
| 夫婦収入を限界まで使うペアローン | 片方の収入減に弱い |
| 手数料だけ高く金利差が小さい借換え | 費用を回収できない |
| 保障内容を理解していない疾病団信 | 必要なときに対象外となる可能性 |
| 退職後も長期間残るローン | 年金生活と返済が重なる |
| 頭金を入れすぎるローン | 購入後の現金がなくなる |
| ボーナス・残業代込みで返すローン | 収入変動に耐えられない |
共通するのは、「現在の支払いだけを見て、将来の変化を考えていない」ことです。
予算を増やすための50年ローン
私なら、住宅予算を引き上げるための50年ローンは借りません。
50年ローンは、毎月返済額を小さく見せる効果があります。しかし、住宅価格が安くなったわけではありません。
借入額3,200万円、金利年1.5%、元利均等、ボーナス払いなしで比較します。
| 返済期間 | 毎月返済額の概算 | 総利息の概算 | 35歳で借りた場合の完済年齢 |
|---|---|---|---|
| 35年 | 約9万8,000円 | 約920万円 | 70歳 |
| 40年 | 約8万9,000円 | 約1,060万円 | 75歳 |
| 50年 | 約7万6,000円 | 約1,350万円 | 85歳 |
50年返済にすると、35年返済より月々約2万2,000円下がります。
しかし、返済は15年延び、総利息は約430万円増える試算です。
35歳で借りれば完済は85歳です。その間に、外壁、屋根、給湯器、エアコン、太陽光設備などの交換時期も来ます。
ローンと大規模修繕が重なる計画を、安全とは考えません。
50年ローンを利用するなら、借入額を増やすためではなく、繰上返済や早期完済の具体的な計画が必要です。
ボーナス払い前提の住宅ローン
私なら、ボーナスが出なければ返済できない住宅ローンは借りません。
ボーナスは会社業績、転職、休職、景気によって減少する可能性があります。
たとえば、毎月返済8万円に加えて、年2回それぞれ20万円のボーナス返済がある場合、年間返済額は次のようになります。
| 返済項目 | 年間返済額 |
|---|---|
| 毎月8万円×12か月 | 96万円 |
| ボーナス20万円×年2回 | 40万円 |
| 合計 | 136万円 |
月8万円の住宅ローンに見えても、年間返済額を12か月で割れば、実質月額は約11万3,000円です。
住宅会社が「月々8万円」とだけ説明していたら、ボーナス払いを含めた年間返済額を必ず確認してください。
銀行が貸してくれる上限まで借りるローン
銀行の借入可能額は、「家計に余裕を持って返せる金額」ではありません。
金融機関の審査条件を満たし、融資できる可能性がある金額です。
住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、平均総返済負担率は22.8%、土地付注文住宅では26.4%でした。ただし、これは額面の世帯月収に対する予定返済額の割合です。2025年度フラット35利用者調査
額面年収600万円でも、実際に使える手取りはもっと少なくなります。
さらに、返済負担率には住宅取得後の次の支出が十分に反映されません。
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 外壁・屋根の修繕
- 給湯器やエアコンの交換
- 車の買い替え
- 子どもの大学進学
- 親の介護
- 老後資金
「審査に通ったから安全」とは判断しません。
私なら住宅ローン返済だけで手取り月収の20%前後、税金・保険・修繕積立を含めた住居費総額を25%程度に抑えます。
金利3%を払えない変動金利
変動金利そのものが悪いわけではありません。
私なら、金利上昇時の返済額を計算せずに変動金利を借りることはしません。
借入額3,000万円、35年返済の場合を比較します。
| 金利 | 毎月返済額の概算 |
|---|---|
| 年1.0% | 約8万5,000円 |
| 年1.5% | 約9万2,000円 |
| 年2.0% | 約9万9,000円 |
| 年3.0% | 約11万5,000円 |
年1.0%から年3.0%になると、単純比較では毎月約3万円、年間約36万円の差が生まれます。
実際の変動金利では、金利や返済額の見直し方法が商品によって異なります。
住宅金融支援機構の2026年調査では、変動型・固定期間選択型利用者のうち、金利上昇時の適用金利や返済額の変化について「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」とする回答が、調査項目によって42.6%から55.6%ありました。住宅ローン利用者調査
変動金利を選ぶなら、少なくとも次の3条件を満たしたいところです。
- 金利3%でも返済を続けられる
- 毎月の家計に余裕がある
- 現金や運用資産を残している
今の低い返済額でギリギリなら、金利上昇に耐えられません。
夫婦の収入を限界まで使うペアローン
私なら、夫婦2人が今の収入を維持し続けなければ返せないペアローンは借りません。
ペアローンを利用すれば、借入可能額が増え、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できる可能性があります。
一方で、次のリスクがあります。
- 出産や育児による収入減
- 病気や休職
- 転職による年収低下
- 親の介護
- 離婚
- 事務手数料や登記費用が2契約分になる場合
- 一方が死亡しても、もう一方のローンは残る
たとえば夫3,000万円、妻1,500万円のペアローンなら、夫の団信が適用されても、妻の1,500万円は原則として残ります。
「2人なら借りられる」ではなく、「1人の収入が減っても耐えられるか」で判断します。
退職後も長期間残る住宅ローン
私なら、完済年齢が80歳を超える住宅ローンをそのまま放置しません。
会社員の給与は、定年や再雇用を境に下がる可能性があります。年金生活になっても、固定資産税、修繕費、医療費は続きます。
35歳で50年ローンを組めば85歳完済、45歳で35年ローンを組めば80歳完済です。
金融機関が認める完済年齢と、家計が安全に返済できる完済年齢は違います。
私なら70歳前後までの完済を一つの基準にします。
完済が70歳を超える場合は、次のいずれかを行います。
- 借入額を下げる
- 建物をコンパクトにする
- 土地予算を下げる
- 返済期間を短くする
- 退職前の繰上返済計画を作る
- 省エネによる削減額を積み立てる
「退職金で返せばよい」という計画にも頼りません。退職金は老後生活、医療、介護、住宅修繕にも必要だからです。
頭金を入れすぎて現金がなくなるローン
借入額を減らすために、貯金をすべて頭金へ入れる方法も選びません。
たとえば預貯金700万円から600万円を頭金に入れれば、住宅ローンは減ります。しかし、購入後の現金は100万円しか残りません。
新築後には次の支出が重なる可能性があります。
| 支出 | 費用目安 |
|---|---|
| 家具家電 | 150万円~250万円 |
| 引越し | 10万円~30万円 |
| 外構追加 | 数十万円以上 |
| 固定資産税 | 毎年必要 |
| 車の故障・買い替え | 数十万~数百万円 |
| 急な収入減 | 生活費数か月分 |
頭金を増やして住宅ローンを月1万円下げても、手元資金がなくなりカードローンやカーローンを借りたら意味がありません。
私なら、住宅購入後も生活維持費の6か月分を残します。自営業、歩合給、片働きなら12か月分を検討します。
金利だけ低く手数料が高い住宅ローン
住宅ローンは表面金利だけでは比較しません。
確認する費用は次のとおりです。
- 融資事務手数料
- 保証料
- 団信の金利上乗せ
- つなぎ融資金利
- つなぎ融資手数料
- 抵当権設定登記費用
- 繰上返済手数料
- 固定金利への変更手数料
- 条件を満たせなかった場合の優遇金利
借入額3,500万円で事務手数料が2.2%なら、手数料だけで77万円です。
金利がわずかに低くても、手数料、団信、保証料を含めると、他行より総支払額が高くなることがあります。
比較するのは「適用金利」ではなく、諸費用を含めた総支払額です。
保障条件を理解していない疾病団信
「がん団信」「8大疾病」「全疾病」と書いてあれば、病気になったとき必ず住宅ローンがなくなるわけではありません。
商品によって条件が異なります。
- 診断だけで残高がゼロになるか
- 一定期間の就業不能が必要か
- 上皮内がんは対象か
- 精神疾患は対象か
- 免責期間があるか
- 月々返済だけを保障するのか
- 残高全額を保障するのか
名称だけで安心し、保障条件を読んでいない団信は選びません。
金利上乗せが年0.2%の場合、借入額3,000万円では当初年間約6万円相当の負担です。35年間では無視できない金額になります。
必要な保障と既存の生命保険を比較し、重複を整理します。
私なら選ぶ住宅ローンの条件
私なら、次の条件を満たす住宅ローンを選びます。
| 確認項目 | 判断基準 |
|---|---|
| 毎月返済 | 手取り月収の20%前後 |
| 住居費総額 | 手取り月収の25%程度 |
| 完済年齢 | 70歳前後を目標 |
| ボーナス払い | 原則なし |
| 金利上昇 | 年3%でも返済可能 |
| 収入減少 | 世帯収入30%減でも一定期間耐えられる |
| 手元資金 | 生活維持費6~12か月分を残す |
| 総支払額 | 金利・手数料・団信を含めて比較 |
| 教育・老後資金 | 住宅購入後も積立を継続 |
| 修繕費 | 毎月1万~2万円程度を別途積立 |
住宅金融支援機構の住宅ローンシミュレーションなどを使い、現在の金利だけでなく、金利上昇、繰上返済、将来の家計収支まで確認します。
契約前に金融機関へ聞く10項目
住宅ローンを契約する前に、次の内容を書面で確認します。
- 適用金利は何%か
- 優遇金利はいつまで続くか
- 金利上昇時に返済額はどう変わるか
- 融資事務手数料はいくらか
- 保証料は必要か
- 団信の保障条件と上乗せ金利はいくらか
- つなぎ融資費用はいくらか
- 繰上返済手数料はいくらか
- 返済条件を変更する場合の費用はいくらか
- 金利・手数料を含めた総支払額はいくらか
答えが曖昧なまま契約しないことです。
「みなさん選んでいます」「今月中ならこの金利です」という言葉では、35年から50年の返済責任を負えません。
俺流結論
私なら借りない住宅ローンとは、金利が高いローンだけではありません。
今の月々返済額を安く見せるために、返済期間を延ばし、ボーナスを使い、夫婦の収入を限界まで合算し、老後まで返済を残す住宅ローンです。
住宅会社は、家が完成すれば代金を受け取ります。しかし、お客様の返済は、その後35年、40年、50年と続きます。
「審査に通る」「月々払える」だけで決めてはいけません。
私なら、70歳前後で完済できること、金利3%でも返せること、収入が30%減っても耐えられること、教育費と老後資金を守れることを確認します。
住宅ローンは、家を買うための道具です。住宅ローンを返すための人生にしてはいけません。










